それぞれの想い3
「翔、最後にひとつだけ、条件をつけるよ。2年に進級する時のテストを、全部80点以上取ってきなさい。それが出来たら認めるよ」
駆はようやく落ち着いた口調になり、それだけを翔に伝えて、台所に向かって行った。
「マジかよ…全部80点って超、ハードじゃんか…」
「テストは15日だからな、それまでなら少しは余裕もあるんじゃないか?」
春日は自分自身が頭が良いので、翔がこれからするであろう苦労なんて、想像もつかないのだろう。
(これは、隼人と尋伊にでも助けてもらわないと無理だろうなぁ…)
その日から、翔は4月の進級に向けて、猛勉強を始める事になった。
「えっ!翔ちゃん、特別クラスに進級するの〜??」
次の日…学校で、昼の時間になり翔と尋伊は二人で屋上に居た。
尋伊は突然の翔の告白に、驚きを隠せなかった。
「あぁ、それで尋伊に頼みたい事があるんだ…」
「期末テストまで、勉強に付き合ってもらえないかな?アタシ一人じゃ80点なんて無理だからさ…」
翔は申し訳なさそうに頭を掻きながら、そう伝えた。
「そうなんだ…うん、良いよ〜!翔ちゃんなら頭良いから、直ぐに80点取れるよ〜!」
尋伊は何時もの笑顔で、軽い口調でそんなことを言い、翔が気を遣うのを避けるようにしていた。
(何時も翔ちゃんに助けてもらってるから、私で出来る事なら何でもしてあげたい…!)
そんなことを話しながら、お昼を済ませた。
一方の春日はと言うと、隼人と共に食堂を出て来て、中庭の前を歩いていた。
「翔が馬鹿なことを言い始めて、昨日はウチ大騒ぎだったんだよな〜」
「馬鹿な事って?」
春日は、はーっと溜息を漏らす。
「あいつ、特別クラスに進級するって言い出してさ…」
「特別クラスに…?どうして?」
「前に化け物に遭遇したのが原因だと思う…自分の身を自分で守るから、色々と知りたいとか…」
「そうなんだ。彼女らしいね」
隼人は特に驚いた様子も見せず、冷静だ。
「お前、落ち着いてるな…あいつは昔からの友達だろ?良いのかそれでも?」
「僕がどう思ってても、彼女は自分の意思を変えたりしないでしょう?それは分かってるからね。今更動じても仕方が無いからね」
「そうか…お前、やけに大人だよな…」
「え、そんな事は無いけどね」
春日は隼人とは小学校4年からの付き合いだが、本当に何時もこんな事を考えさせられるのだ。




