それぞれの想い
ひな祭りも終わったばかりのある日。
中学校の教室では窓を全開にして、教室の掃除をしていた。
尋伊は箒とちりとりで床を履いていた。
「最近は暖かくて、本当に春って感じだね〜もう少しで桜も咲くね〜!」
「まぁ、そうだな…」
しかし、翔は気怠そうに机を運んでいた。
そこに、担任の式神 千歳が入って来た。
「結城さん、私に話があるって?」
この先生は、金色の肩くらいまでの短い髪の毛に、スタイルがよくみえる様なピチッとしたピンク色のタートルネックを着ている。
「あ、千歳ちゃん。うん、後で良いから聞いて欲しいんだ…」
「おや、翔さん〜悩み事?珍しいねぇ〜!あ、ひょっとして恋の悩み??」
千歳はそんな風にからかいながら、笑った。
「はぁぁ!?翔が恋の悩み?」
そこに、千歳の笑い声を聞きつけた春日が廊下から顔を覗かせてきた。
「バカタレ…んな訳無いだろーが!それよりもさっさと掃除終わらせろよ!」
翔は春日に、怒号を浴びせる。
「ちょっと、進路相談てヤツかな」
尋伊、春日は顔を見合わせてえ?と声を上げた。
「ふーん、ナルホド。君は4月からナイト育成教室に進みたい訳ねぇ…ちょっと、驚きだねぇ〜」
千歳は髪の毛を指で触りながら、ふんふんと頷いた。
「私には、全然問題ないし、好きなようにしていいわよ。…て言いたい所だけどね。ご両親にも先ずは相談しなさいよ?」
翔はただ無言でコクリと頷く。
翔と千歳は生徒指導室で、二人で会話をしていた。
一方その頃。翼はと言うと、今日は研究所に来て駆の事務の手伝いをしていた。
「博士…あの、お知らせしておきたい事があるんですけど」
「ん?翼くん改まってどうかしたのかな?」
駆は何も把握していない為に、いつもの様にパソコンに向かってキーボードを叩きながら、翼の言葉を聞いていた。
「事後報告になってしまったのですが、娘さんに黒翼との戦い方を指導しました。黙って事を進めてしまい、すみません…」
「ほお、そうなのか…それは良かった…って、えっ??」
駆は翼の言葉を直ぐには頭に理解できず、少しの間があった。そしてその間の後、激しく動揺した。
「えっ翔を、黒翼と戦わせる為の手伝いをしたって!?何でそんな事に!?」
「本人がそう望んでいましたから、止めるのも無意味かと思ったので」
「いやいや…駄目なんだ。それは。あの子は絶対に黒翼とは戦ってはいけないんだ…」
駆はキーボードを打ち付けていた手を止めて、暫く愕然と立ち尽くしていた




