ホワイトデー(男子サイド)番外編2
「…そんな事、聞いてどうするんだよ?」
「うん、ちょっと参考にしようと思って」
隼人のその言葉に、春日は流石にどう言う意味か悟ったらしい。
「…もしかして、貰ったのか?チョコ?貰わない主義じゃ無かったのか?」
隼人はう~ん、と困った表情になる。
「そうなんだけど、断る理由も無かったし」
「はぁ?一体誰から貰ったんだ?」
隼人は困った表情のまま、口を開く。
「翔からだよ」
春日は、その一言で一瞬、思考回路が凍りついた。
「えっ?何?誰だって?冗談だろ?」
春日は今、聞いた言葉を否定したかった。聞き間違いだったのだと。
「…春日も貰ったんだよね?」
「…あぁ。俺も貰ったよ」
そう言いながら、春日は思いっ切り、落胆している空気を出していた。
初めて翔から貰ったチョコに、今までの人生の中で一番と言える位に喜んでいた春日。
それが、本命でなくても、義理でも嬉しかったのだ。
「それで、春日なら何をプレゼントする?」
隼人は、ホントに今までは誰からもチョコは貰わないで来たので、いざ貰ってみるとお返しはどうすれば良いのか全く、予想がつかなかった。
「それは、俺も悩んでた所なんだよな。アイツは甘いのは嫌いだし、小さいのだと、小さいって言いそうだろ。
安かったら、安かったでケチ付けられそうだし。気に入らなくても、捨てられそうだしな。
何かなぁ。貰ったのは小さくて安いのに、一番面倒で一番厄介だよな。
適当に買って来ても多分、バレるだろうしな」
春日の完全な個人的私見だが、隼人もこれは納得した。
では、どうすれば良いのだろうか。
「女の子の事なら、女の子に聞くのが良いかも?」
隼人はふと、そう思い立った。
「そうか!!尋伊だ!尋伊に聞けば、何かヒントになる事が有るかも知れないな! 」
「え~?女の子が喜びそうな物~?」
次の日。中学校の人目につかない、屋上への扉の前で春日と、隼人、尋伊の3人でホワイトデーのプレゼントは女子には何が良いのか、と言う話をしていた。
「あぁ~2人共、翔ちゃんにチョコ貰えたんだね~!」
尋伊は、翔の事は一言も口にしていないのに、何故か話を直ぐに理解した様だ。
「私は、翔ちゃんは、ありきたりな物じゃダメだと思うんだ~」
春日も隼人も、それは想像の範疇だった。
「えっと、此処だけの話なんだけど…翔ちゃん、猫が好きなんだよね」
その尋伊の一言に、二人は不思議そうな顔をしていた。
「翔ちゃんの部屋に…
そこまで口にすると同時に、始業のチャイムが鳴り始めた。
「あっ!もうこんな時間?今の続きはまた後でね!」
尋伊、春日、隼人は急いで教室に向かった。




