守るための力6
美夏と早紀はここでアルバイトをしている。今日は二人共、偶然休みだった為に「じゃあ、ここの雛祭りバイキングに行こう」となったらしい。
4人は適当に窓際の席に座り、それからは完全に翔は置き去りにされる形となった。
尋伊は両手にお皿を持ち、皿には苺のショートケーキ、モンブラン、チョコレートケーキ、チーズケーキ等、沢山乗せて来た。
「…尋伊、太るぞ」
翔がそう、ボソッと呟くと尋伊は一瞬、動揺した様だが開き直って、ニコッと微笑む。
「今日だけ!だから大丈夫だよ~!」
翔はとりあえず、コーヒー、ミルクティー、コーラ、ジンジャーエール等ジュースを飲みながら、唯一食べられるチーズケーキを食べて、スマホを弄っていた。
それぞれが思い思いに、スイーツ飲み物等を持って来てさて、席につこう。と言う時。
カラカラン!
入り口の扉の開いた音がした。
そしてウェイトレスの女の子が入って来た客の姿を見た瞬間、表情が凍り付いた。
「オラオラぁ!テメー等死にたく無かったら、そこから動くなよ!動いたらブチ殺してやるゼェ!!」
顔から服からまっ黒、黒ずくめの男が3人入って来た。
それぞれ手には大きな銃らしき物を持っていた。
「オラァ!金だ金!さっさと出しやがれ!」
尋伊と早紀は恐怖で完全に、体が震えてお互いに寄り添って居た。
「…何か、台詞がありきたりだな…」
翔はそんな呑気な事をボソッと呟いて、呆れ顔をした。
「何よ…翼が居ない時にこんな奴が来るとはね…」
美夏は舌打ちをしながら、翔に視線を向けた。
(翔、イケる?)
翔は美夏に黙ってコクリと頷いて見せた。
「よっしゃ!じゃあ行くわよ!」
その言葉を合図に、翔と美夏は席を離れ、入り口の3人組目指して全速力で走る。
「コイツら!死にてぇのか!」
次の瞬間、こちらに向けられた銃口から銃弾が何発も放たれた。
しかし、二人はそれをかわしながら、3人組に突っ込んで行く。
そして。
翔は高く飛び上がり男の首に思いっきり、エルボーを喰らわせた。
その衝撃で、男は後ろに倒れた。
「いっちょ上がりぃ!次っ!」
翔は一人をあっさり倒して、二人目に向かって行く。
一方の美夏は、飛び蹴りを喰らわせる。この男も後ろに倒れ込んだ。
「あと一人!」
そして最後の男一人に、二人で同時に顔面にパンチを喰らわせた。
こんな感じで、強盗3人組はあっさりと倒された。




