守るための力3
約束の日まで、翔はイメージトレーニングをしたりして過ごした。
尋伊と約束していた退院祝いは、3月の3日にする事になった。
翔にとっては、退院祝い等はする程の事でも無かったのだが、美夏と尋伊がどうしても「やろうやろう」と言う為だ。
「最近、翔、部屋に篭ってる事が多いよなぁ」
春日はリビングのソファに腰を掛けて、洋画を観ながらスマホを弄ってそんな事を言った。
その時点で、駆は翔に何があったのかなど全然、把握していなかった。
「何なのかな?勉強してるのかな、関心関心」
駆はそんな呑気な事を言いながら、右手に塩大福を持ち、左手に湯呑みを持っていた。
「いやいや…あいつが勉強とかあり得ねぇから…確か、退院してきてからだと思う。何かあったのか…」
春日は二階への階段を眺めながらこう言った。
「退院してきてから…?!」
駆は春日の言葉に突然、反応して塩大福を手から落とした。
「親父…何そんなに動揺してるんだよ…?」
「え、あぁ…いやいや、何でもないんだ」
直ぐに平静を装うものの、心の中ではある不安を隠せずにいた。
(もしかして、黒翼に関係があるんじゃ…)
一方の翔は、親の心配を他所に連日、学校から帰ると部屋に篭もる様になった。
駆も仕事が終わり帰宅して見るとやはり翔は部屋に篭ってる様子で、流石に駆は黙っていられずに、2階の翔の部屋に向かった。
「翔、居るかな?」
コンコン
ドアをノックすると、中からキャミソールにスパッツ姿という、年頃の女子とは思えない服装で顔を出す。手には着替えとタオルを持っていた。
「あ、親父。おかえり。ご飯なら台所に置いてあるよ」
「翔、最近は部屋にばかり居るみたいだけどどうかしたのかな?」
翔は駆の質問に、スルーをしてきた。
「アタシ、今から風呂に入ってくるわ〜」
「ちょっと、待ちなさい。話は終わってないよ!」
駆は階段を降りていく翔に、付いて下に降りてきた。
「親父…風呂にまで付いてくる気か?」
翔がそうからかうと、駆はそのままその場に立ち止まってしまった。
「前にも話したけど、黒翼には関わっては駄目だよ!とても危険な相手なのだから!」
「あ~はいはい、分かった分かった」
翔はそう言うと、お風呂場に入って行った。




