守るための力2
「じゃあ、次はお前がやってみろ。さっき、手元に意識を集中したのと同じ感覚で、自分の身体に力を込めるイメージだ」
(力を込める、イメージ…??)
「目は閉じたままで、ただイメージをするんだ」
翔はあぐらをかいたままで、ただ無言で暫く、意識を集中させた。
「身体が…熱くなってくる…」
翔はそっと瞳を開けてみると、青白い光が自分の腕や手、脚から
まるでどんどん湧き上がるように出ていた。
「これは…??」
翔は驚いて、思わず集中力が途切れてしまい青白い光は、消えていった。
「へぇ、一日でここまで出来るとはな…。お前、戦いに向いてるのかもな」
翼は少し驚きながら、何故か苦笑いを浮かべていた。
一方の翔はただ、謎の出来事の連続で翼の表情やらは全く気がついていなかった。
「今の青白い光がお前のエネルギーで、オーラでもある。これを操りながら戦うのが俺の戦い方だな」
「翼の戦い方…」
「誰でも簡単に使える訳じゃない。俺は今の翔の段階に行くまでに、2週間掛かったからな」
「2週間?!」
「これでも、早かった方なんだけどな」
翔は自分が3〜40分でやって退けた事が、そこまで大変な事だったのか。と改めて驚いた。
「次は、そのオーラの制御の仕方を教えてやる。明日、明後日はバイトだから、その次の日だな…」
「分かった!分かりやすく色々と教えてくれてありがとう!」
「気にすんなよ。それよりも帰ったら復習くらいはしておけよな」
時間は夕方の五時を回っていた。翼はそれだけ言うと自分のマンションに帰って行った。
翼は相変わらず、ぶっきらぼうながらもちゃんと指導をしてくれたり、案外優しい奴なんだなぁと、翔は思った。
それと同時に、手を突然握られた時の感覚が鮮明に蘇る。
(何なんだよ…毎回、人の意識を揺さぶる様な事ばかりしてきて…)
そう思いながら、翔は翼に握られた
右手を、左手でそっと覆う。
(いやいや、アタシは戦い方を教えてもらうだけで、そんな変なつもりじゃないんだって…)
翔は自分自身の浮ついた気持ちを振り払う様に、顔を勢い良く左右に振った。
何とかして、戦えるだけの力を手に入れて…皆を守りたい今度こそ…




