翼と翔3
翔は退院して来たあと、自分の部屋の窓から夜の月を見上げていた。
昼間、瀬川摩夜と名乗っていた女性が言っていた(貴方は命を狙われているのよ)の意味が理解出来なかった。
アタシは特に、自分が命を狙われるなどと言う理由など特に思い当たるフシも無いからだ。
そして、摩夜が去り際にアタシに渡して来た小さな紙…。
カサカサと広げてみると、そこには「新生翼」
とあり更に住所らしきものが記載されていた。
これはどういう事なのだろう…。あの男は、摩夜と何かしらの繋がりがあると言う事なのだろう。
しかし、何故、摩夜はアタシに翼の住所を伝えて来たのか…?
「…まぁ、この流れだと此処に行ってみろって事だよな…」
翔はふっと溜息をついた。
思えば、翼と初めて出会った時から…何故なのか分からないのだが、翼の事をふと考えると心臓がドキドキとなる様な気がしていた。
今も…このメモを眺めながら、翼に会いに行くべきなのか迷いがある。
(摩夜って人は何を考えてこんな物をよこしたのか…)
単純に考えて良いものなのか、それが分からない。何か裏があるのか…?
「…今こんなに考えてても、何も分からないよな…」
翔は再びふっと溜息を漏らしながら、ベッドに横になった。
しかし、最近は本当におかしな事ばかり起きる…
その時
「♪♬♫〜」
翔のスマホが着信を知らせた。
相手は…西城院美夏で、翔の母方の親戚の高校生だ。
「もしもし、今日、病院から退院したんでしょ?近いうちにブルームーンに来なさいよ。
そうねぇ…3月の3日に、尋伊ちゃんも連れて来なさいよ」
「3月の3日?何でわざわざ…」
「まぁ、来れば分かるわよ。じゃあね!」
「ちょっと…!」
それだけ言うと、夏美はあっという間に通話を切ってしまった。
翔は気怠そうにはぁと溜息をついた。
「…3日に、ブルームーン…??」




