2月14日編3
そして駆に引き連れられて、翔と春日、隼人はピースセントラルにある、大きなホテルのパーティー会場にやって来た。
「うわ…凄い豪華なホテルだな…俺達、来るの間違えてる様な気がしてきた…」
「僕も、存在は知ってたけど初めて来たなぁ…」
春日と隼人は西洋風の大きな真っ白な建物に、周りを囲む公園等を見つめて驚きを隠せなかった。
「うげ…何、この混雑具合…オマケにお偉いサンばかりみたいだな…」
翔は相変わらず、会場にやって来てもげんなりとしている様だ。
「それじゃあ、僕は他の方に挨拶をしに行ってくるから。
君たちは自由に楽しんで良いよ。また用がある時はスマホで呼ぶから!」
駆はそう言うと人混みの中に消えて行った。
「マジか…」
翔達3人は、駆が居なくなりお互いに顔を見合わせた。
「自由にしていいだって。…どうしようか?」
「「…適当に何か食べるか…?」」
翔と春日は同じ言葉を発して、そして同じテーブルを指差していた。
そのテーブルには、ローストビーフやフルーツ等色んな食べ物が並べられていた。
「…アタシは、1人で回るからそっちは2人で行けよ…」
「翔、別行動はしない方が良いよ。迷ったら大変だし…」
翔と隼人がそんなやり取りをしていた所、突然、翔の手を後ろからサッと掴んで来た存在が居た。
翔はその手を掴んで来た存在を見上げると、ぱっと見切れ長の瞳にワイン色の綺麗な髪の毛の男が立っていた。
「美しいお嬢さん…ここで出会えたのも何かのご縁。一緒に踊って貰えませんか?」
男は翔の手を握り締めたまま、ニコリと笑う。
翔はその手を払おうとするが、相手はその手を離そうとしない。
「…は?何、いきなり現れてこっちの意見は無視か?」
翔は苛立ちを隠さずに口元に現した。笑ってる様に見えるが、表情は他人から見たら恐ろしい事になっているだろう。
「お前!なんだよ!いきなり現れて、俺達を無視する気かよ?翔が嫌がってるだろ?その手を離せよ!」
同じく怒りをあらわにした春日が、赤毛の男に食ってかかるが、男はそんな春日の言葉を完全にスルーをして、翔の手を引いてさっさと人混みの中に紛れ込んで行ってしまった。
「…翔、どこに連れて行かれたのかな…早く探さないと…」
どこの誰かも全く分からない男に、翔を連れ去られ春日と隼人はお互いに顔を見合わせた。




