奇妙な出会いRW編5
「はぁ…全く何が何なのか、意味不明な日だったな…」
学校が終わり、帰宅時間。
翔は尋伊と、校門の辺りで別れてからひたすら、東の海の方に向かって進んで歩く。
最近、よく分からない事が色々と続いている気がする。翔は一人でそんな事を考えながら歩いていた。
「にゃーん」
今までの様々な事を考えていた、彼女だったが黒い子猫の鳴き声にふと脚を止める。
「…何だ、お前。迷子か?」
翔は地面に屈み込んで、猫に目線を近くして、声をかける。
「ゴメンな。家では猫飼えないんだ…」
翔はそう言うと、再び立ち上がり海沿いの住宅通りをスタスタ歩いて行く。
だが、その子猫は翔の後をちょこちょこと付いて来た。そうして結局、翔の家の近くまで来てしまった。
「何だお前…結局、付いて来たのか…」
翔は再び、子猫を見下ろして、口元でふふっと笑った。
「仕方無いな…少しある物でも食べさせてやるか」
翔は子猫を抱き上げ、玄関の鍵を開けた。
「ただいま…。って言っても誰も居ないよな」
春日は部活だろうし、父はいつもの如く研究所に缶詰状態。玲子さんは…まだ学校の仕事だろうし。
「…少し早いけど、風呂にでも入るかな。」
子猫は翔が出してきた、ミルクをペロペロ飲んでいた。
「お前も、砂だらけだから一緒に入るんだぞ?」
翔のその言葉を聞いた子猫は
「ブシっ!!」
とクシャミをした。
子猫は悩んでいた。このシチュエーション…これは不味いと。だが、今更ここから逃げ出す方法も無かった…
(どうしようかなぁ…)
翔は着ていた服を一枚ずつ、脱いでゆく。
セーラー服、そしてスパッツ…ブラジャー、ショーツ。
子猫の目の前には翔が脱ぎ捨てた下着の山が出来た。
「ほら、こっちに来いよ」
子猫はそのまま、翔に首根っこを捕まれお風呂に連れ込まれた。
身体を洗われたりシャワーをかけられたりしたが、それよりも自分と年の変わらない女子中学生の綺麗なシルエットが子猫の脳裏に強く残された。
「……はぁ~っ…」
日和は、仕事から戻ってからずっと、溜息をついていた。
有理や摩夜は何も言わずに、そんな日和の様子を不思議そうに、顔を見合わせた。
命と同じくらい大好きだと常に言っていた目の前のお菓子も喉を通らないと言う、この少年にとってはある意味異様な様子であった。




