表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Wing〜天使の聖典〜  作者: 樹羅
奇妙な出会いRW編
16/56

奇妙な出会いRW編4

「はぁはぁ…待って…あの二人、どこまで追いかけて来るの〜?超怖いよ〜!!」


翔の偽物は、そう言葉を漏らしながら全速力でひたすら、校内を逃げ回った。

追いかけっこはかれこれ、15分は続いている。


「あぁぁ…もう無理…死んじゃう…」


偽物は、自分の愚行に今更ながら後悔をした。こんなにハードな役回り、幾らお小遣い貰っても絶対に、やりたくないよ…!


「何かおかしいと思ったら…偽物だったんだね…」 


隼人は、肩を大きく揺らし苦しそうにしながらも、偽物を追いかけ続ける。


「隼人、体力続かないんだから無理するな。アタシが一人で片付けるから!」


翔は何段かずつ階段を飛び降り近道をしながらそう言う。

翔は運動は、大会に代表として出るほど得意な分野なだけに、苦痛ではなかった。

ただ、脚は速くても、持久力の無い隼人の事を気遣う。


「大丈夫…何か、放って置けないから…」

隼人は健気にそう言い放つと、よろめきながらも走り続けようとした。


そして、偽物はついに体育館に追い込まれた。


「ふぇっ!追いつかれた…?!」


後ろを振り返ると、追い付いてきた翔が飛び蹴りを食らわして来た。


「にゃ〜!!ごぉっ!」


危なく胴体に蹴りを受けそうになるが、案外すばしっこく逃げ回る偽物。


「テメェ!いい加減捕まりやがれ!!」


自分の偽物が目の前に居る、と言うだけでかなり不機嫌になっている翔は、相手を中々捕まえる事も出来ずに更に苛々を募らせていた。


「翔、落ち着いて…!」


隼人ははぁはぁと荒い呼吸をしながらそう言う。


「コノヤロォ!」


翔は鬼の形相になりながら、やっとこさ偽物の制服の襟首を捕まえた。


「!!あっ…」


「捕まえた!もう逃さないゾ!コノぉ!」


偽物は身体を引っ張られそうになりながら、懐から小瓶を取り出した。


「追いかけっこは!もうお終いだよ〜!はい、残念でしたぁ〜〜!!」


パリン!


瓶の割れる衝撃と共に、真っ白い煙が周りを包み込んだ。


「っ!!」


「前が見えない…っ」


翔と隼人は、ゴホゴホと咳き込みながら周りを見回した。

煙が消えてゆき、二人が前を見た時には目の前にいた筈の偽物は、姿を消していた…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ