奇妙な出会いRW編3
翌朝…。普通に朝は訪れる。何時もと同じく、中学校の登校時間になり学生たちは、緩く長い坂を登り校門を通り抜けて行く。
友達と談笑したり、遅刻しそうになっている子も居たり。
キーンコーンカーンコーン…
チャイムと共に、四時限目が終わりお昼休み時間になった。
1のC組から、一人の少年がA組に向い廊下を歩いていた。
髪の毛には癖があり、淡いブルーの髪の毛、そして中学生の男の子とは思えないような、綺麗な顔の少年だった。
手にはブルーのチェック柄の布で包まれた、お弁当を持っていた。
少年は何時もの通りに、普通に廊下を歩いていた。だが、何かが欠落していた。何かに違和感を覚えて、歩みを止める。
目の前からは幼馴染の少女、結城翔が歩いて来た。隣には青斗尋伊の姿もあった。
「お、隼人。春日なら屋上に行ったよ。」
翔に呼び止められた少年は、目の前の幼馴染の事をじっと見つめた。
隼人と呼ばれたこの少年、名前は長瀬隼人と言う。翔とは託児所からの知り合いで、春日とも親友という間柄。
「…君、誰?」
なぜかポツリとそんな一言を漏らした。幼馴染の翔は、その一言に対して、は?と言う間抜けた顔をした。
「隼人、何、意味分からない事を言ってるのさ…」
尋伊は隼人に向かって、こんにちは!と挨拶をしてきた。
階段の前で立ち止まっていた3人。そこに下からもう一人の人物がやって来た。
…その人物は、翔だった。
隼人と向かい合っていた翔は、下からやって来た翔の姿を見て、異様に驚いた顔をして後退りをした。
尋伊は目の前に二人いる翔を見て、ええっ?と瞳を大きく見開いた。
一方の下からやって来た翔は、次の瞬間には左手に拳を握り、もう一人の自分にアッパーをお見舞しようとする。しかし、翔はその攻撃をスルリとかわすと、大慌てで階段を駆け下りていった。
「えええ〜!何でこのタイミングで本物が〜!?」
そう叫びながら、一目散に逃げる。
「逃がすかぁ〜コノぉ!待ちやがれぇ!」
もう一人…もとい、本物の翔は物凄い剣幕で、偽物の自分を追いかけて行く。
隼人も、尋伊に弁当を手渡すと翔に続いて階段を駆け下りて行った。
「ええっ…ナニ…何だったの??翔ちゃんが二人居た?」
尋伊は三人の姿が見えなくなるのを見詰めながら、瞬きを何度もして再び瞳を見開いた。
「尋伊、こんな所で何してんだ?」
背後から春日が、声を掛けて来てそれに驚き、小さく悲鳴を上げた。
「きゃ!」




