奇妙な出会いRW編
帝公園のセントラル通り沿いに、街路樹が植えられており、そこには一人の少年が居た。
公園から見えない様にしながら、公園の様子を伺っていた。
年齢は10代半ば位で淡い緑の髪の毛が後ろでクセがあり、少し跳ねている。
服装はデニムジャケットに黒と白のインナーと言う姿。
彼が見ている先には、中学生くらいの少女が少女を背負い、道路の向かい側にある国帝病院に向かって歩いて行く姿があった。
「黒魔は新生翼が撃破した様です。それと…1つ気になる事がありますが。それは、後ほど報告させて頂きます」
簡潔に正確な、情報のみ相手に伝えると少年はスマホをポケットに収めた。
そして国帝公園の目の前の大通りを、薄暗くなってきて街灯が照らす下を歩き出した。
少年は大通りを西に向かっていた。西の大通りが途切れる所には北帝公園駅があり、駅の構内を通り改札を抜け、少年は電車に乗り込んだ。
少年を乗せた電車は南の方角、終点のピースセントラルに向かっていた。
ピースセントラルは、国の全ての機関が集まっており、とても広大で栄えた都市だ。
地方に向かう電車の全ての始発駅でもある。
少年は、セントラルに辿り着くと、改札、駅を抜けて更に南に向かう。
セントラルの駅の周りは、高級住宅街が広がっている。
南に進めど進めど、高給取りや、貴族の末裔、議員等の身分の高い人種が暮らしている家の群ればかりだ。
少年はそんな芸術的な建物の群れには全く、目を向ける事無くひたすら南に向かう。20~30分程歩くと、段々と家の数が少なくなってくる。
そうして、少年が南に歩いて行くと、やがて遠目から見ても、ハッキリとその存在を確認出来る程の高くそびえる塀が現れる。
その塀は普通の5階建ての高さを、圧倒的に超える高さだった。
そして、その塀は東西に向かってずっと、果てが無いとさえ思える程に続いていた。
そして、その塀の前には草木が茂っている場所があった。
少年はその茂みに、屈んで頭から中に入って行く。
すると、茂みの中には獣道の様な僅かに人が通れる道が開かれていた。
少年は特に躊躇いもなく、茂みの中を進んで行く。
そして…
「ガサガサッ…」
た。
少年の眼下には、古くなり、今にも崩れてしまいそうな不気味な建物が沢山あった。
空が既に暗くなり、余計に不気味さを際立たせていた。
少年は足元に、あるのか無いのか分かりくい道を更に下っていく。
暫く進んで行くと、もう既に潰れたと見られる、とても古い喫茶店らしき建物があった。
少年は、その建物の扉のドアノブに手を掛けて扉をゆっくり開いた。
「ギギギギ…」
今にもネジや金具が外れそうな位の、扉が軋む音が響く。




