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一等星 最強の流星、覚醒

 アエタース紀元896年。


 模造の太陽的天体を軸に公転する有酸素天体では、人びとが暮らせる環境である。プレ・アエタース時代の千年前なんて、考古学者が史学をはっきりさせないから、未確認のままだ。


 有酸素天体『層宮そうきゅう』とは、きゅうと呼ばれる階級差大陸が地上と天空とに分離されていて、その歴史は長い。


 層宮の溝を埋めるかも知れないハプニング。

 

 天空浮遊大陸のロードが、地上世界シチズンに巨大輸送台車を落下させてしまったのだった。


 トップインパクタルと名の超高速航空機が、地上世界シチズンの真上を駆けていった。


 インパクティサーモスカウトに、信号が反応しだした。


 ヤグディの駆るメテオールマシン『レブスン・プリメーロ』では、計器のレーダーモニタにサーモスカウト信号が点滅したのだ。



「モデル機の兄弟……セグンドの熱源か? とにかく、プロトタイプのプリメーロは、セグンドの回収を急ぐぞ!!」



 プリメーロのパイロット、ヤグディはロードディフェンサーサイトに随時、無線報告しだした。


「こちらはレブスン・プリメーロ。サイトブリッジに告ぐ。セグンドらしき機影を確認。回収完了後、随時連絡する」



 天空浮遊大陸『ロードポリス』。


 ロード防衛機関のロードディフェンサーサイトには、シチズンが造った数十体のメテオールマシン格納庫が設置されてある。そのサイトブリッジのオペレータへと、レブスン・プリメーロからの受信が入った。



「ヤグディ機、セグンドらしき機影を確認。詳細は入り次第随時連絡のことであります」



「ほう、処女飛行に哨戒を兼ねての働き……か。彼に、その一任期待する」



 言うのは、サイトブリッジの総指揮官アリクレイン。メテオールマシンの量産と管理の導入者であった。


 シチズンにも、機体簡易操縦の可能性を引き立たせることに提案。アピール拡大のため、試験操縦士のデモンストレーション披露の意味を兼ね揃え、処女飛行させていた。


 デモンストレーション飛行をするのに、同型機の双子マシンが産み出されたのだ。対になる一方が、地上大陸に落下したという。


 台車車輌……つまり輸送トレーラーが、輓曳ばんえいするケーブルを切断された。地上世界への落下事故なので、事を穏便に済ませたいのがロード側の願いだった。



 一方のムティー・カッサムクは、偶然に搭乗してしまったトップインパクタルという超高速航空機で、シチズンの地上大陸の高空を飛行していた。



「キーなんて無いのに……エンジンがかかる乗り物なんて……どういう動力構造なんだ、この航空機は」



「チャンネルオープンのまま、周波数があっているなら……聞こえてるはずだ。搭乗員に告ぐ。ただちに、航空機を今から指定ポイントまでに移動せよ!!」



 機体の計器類に設置されたラジオスピーカーからの音声が、トップインパクタルに受信出来たのだ。


 プリメーロからヤグディの声が周波数に乗って、スピーカー出力された訳だ。



「声? まさか、この航空機を知る人? これは一体何さ? マニュアルガイドをマニピュレイタ操作したら、トップインパクタルって表示されたけど……」



「搭乗員は、インパクティ・カルディアでエンジンかけた様子か……そんなことよりも回収せねば。相手機がトップならば、ブーストインパクタルの方も探さなくてはな」



「ブースト? もう一体あったんだ。そこまでは知らなかった」



「お前、その声……まだ子供か? なんでそれに乗っているのだ」



「衝撃音が学校から近かったんだよ。授業抜けてさぁ、気になって行ってみたら、案の定こうなってた」



「好奇心旺盛もその程度では構わない。だが、その持ち物の権利者が私たちだ。だから、回収に協力されたい」



「お返しのご協力はします。が、好奇心でキーも無いのに稼働なんてあり得ません。ロード住民の方々の偉そうな振舞い、すみません……」



「少年、謝るな。階級差はあってもだな……警察権、拘束権、奴隷制度権はない。あるのは自治区安定の社会維持という統治のみ。圧力制裁はないから安心したまえ」



 ヤグディは理解を履き違えていた。制裁しないのは、表向きの都合に過ぎない。実体は地上更正のためにはやむを得なく制裁は必要不可欠だという大人による大人の都合が存在している事を……。


 それがゆえ、一般市民の地上世界が、二足歩行鋼鉄機体の開発と製造を完成させた事実も頷ける。全ての機体を買収しているのも、制裁が理由なのだと明白されている。


 もっとも気付かないヤグディが処女飛行している自体、可笑しい話なのだ。ロードがシチズンを制裁しないと思っては、二足歩行機体の操縦を任されているなんて、馬鹿も甚だしい。


 飛んだ幸福者とは、ヤグディを言うものだろう。



 ロードディフェンサーサイト・前線開発局本部。


 本部内に、開発局局長のハグマイセンが中央席を占拠しきっていた。


「馬鹿も甚だしい幸福者……ヤグディを初陣に出すとは、開発し甲斐あるもの。浮かれて制裁しない安定社会更正機関なのだとうつけになっている輩よ」


 と言い、馬鹿笑いしだすハグマイセンだった。


 右に座する開発支援協会会長のアイムフというご高齢男性は、余りに乗り気しなかった。



「これ、ハグマイセン殿、はしゃぎ出すでない。シチズン地上大陸を制裁下におくのは、やり過ぎではないのか?」



「制裁下社会。シチズンが勝手にメテオール開発したから出来た社会構成です。メテオールあればこそ、し甲斐あるでしょうに……」



「その……メテオールが恐ろしい」



「ご老人、何か? 我らがロード、何も恥じらいもありませんよ」



「ヤグディが可哀想だ……」



「チッ……(ヤグディを連れだしたのは、会長のアンタだろうに。何が可哀想だだよ)」



 前線開発局本部の会議室に、突然の入室者が女子だということで、環境が嫌にざわつきだした。



「身内のヤグディをここに置いたのはロードの最高支援部でしょう? 戦いに狩り立たせるための彼なのだから、ちゃんとやってくださいよ!!」



 口うるさい婦人のように説教じみた意見を出すのは、弱冠16歳の少女のリフシア・ウォナーヤだった。



「ウォナーヤ家が彼を見張りしているのは、判ったよ。だからといって、前線で戦わせる理由って何なんだね。お嬢さん」



 会議室衛兵が介入してきたのだ。


 リフシアは、カルディア解放資格者のヤグディの話を持ち出した。



「稼働キーのカルディアなどと、ニュートラルキー無しの場合の都合品よ。……ヤグディは、今日が初陣だということが、かなりプレッシャーになっているわ。カルディア平衡感覚のバランスが心配よ!!」



「へんっ、謹厚な青年を保護するのも大変だろうが、他人のファミリーが身内やるなんてなぁ。やめちまえよ、見張りをさぁ」



 出席部外者の騒々しさに耳を傾けたハグマイセン。



「外野、騒がしいぞ。ン? リフシア? ヤグディの未来の嫁が来てたのか……」



「嫁だなんて……私はリフシアであって、嫁じゃないわよ!!」



「反発するところ……やはり、恋に芽生えた乙女だからか」



「はぁ? そんなんじゃないわ!! ヤグディなんて、ファミリーがパトロンやってるだけよ」



「ご都合悪けりゃ、ピーピー喚くお嬢さんだな」



なーにあれ? ロード最高支援重役が、あんな態度だなんて、呆れるわ……もう」



 シチズンの地上大陸では、ムティーはヤグディのいる指定ポイントへと向けて移動し、やっと接触した。


 ヤグディの乗るプリメーロのインパクタル解除を素早くやって見せた。


 プリメーロのトップインパクタルが、ムティーの乗る機体と同型機と確認が取れた。



「航空機が可変して、ブーストインパクタルとドッキングするのか? それで、あの人の姿へと強化する……素晴らしいですよ!! ヤグディさん」



「インパクティ・カルディアがドッキングまで導いてくれるらしい。君……ムティーくんだってあるんだろ、インパクティ・カルディアをさ」



「そんな……そういうシステム持ってないです」



「また、搭乗したまえ。インパクティ・カルディアがコックピットで導いてくれるはずだ」



 言われた通り、色違いの同型機に再搭乗しだしたムティー。


 席に着くなり計器類からは盲点の場所にあるダイヤ形の弁を捻り出すのであった。


 すると、次第にリモコン方式で、プリメーロ専用のブーストインパクタルがチェストとブーツの形に可変しだした。


 ムティー搭乗のトップインパクタルが、ブレスト、トランク、アームズに可変して、ドッキング照準合わせを行った。


 胴体ユニットのジョイントパーツが見事に融合しだす。仕上げにブレストに内蔵されていた頭部ヘッドが突きだして、兄弟機ドッキングが完了した。



「私のボトムパーツが同型機とドッキング!? こんな……ことが、罷り通るとはな」



 ヤグディが、驚愕しだす。



 

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