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終章 ~私の好きな日常~

「魔女よ。確かにこの流星のごとく白く流れる麺を俺は見過ぎてしまっている」

「そうめんね」

「まさか!俺を狙う悪魔どもが仕掛けた罠!この白い麺を毎日の俺の食事にするために魔界から送りつけられてきたに違いない!」

「今すぐ送ってくれたおばあちゃんに謝りなさい」

 確かにバカ弟の言うとおりさすがにここ毎日そうめんばかり胃袋が受け付けてくれないせいで箸が進まないのは分かる。でも、食べないのは勿体ないというケチ精神が働いて毎日のようにそうめんを食べている。そろそろ、バリエーションを変えて食べないと食べられない気がする。

「お姉ちゃん。私、これいらないです」

「文句を言わないで食べなさい」

「え~」

「文句言うな」

「はい!」

 そう言うとエリーは渋々そうめんをするすると食べる。すごく嫌そうな顔をしているけど。

 エリーはもう見慣れた私の日常。本当の悪魔のエリーがいて設定上の死神の弟がいる。無駄に会話がかみ合ってめんどくさくて騒がしい私にとってはもう普通の光景だ。

「よ、ようやく、俺は白い悪魔に勝ったぞ」

「食べ終わったら水につけておきなさいよ」

「了解!では、俺はすぐに死神の集まりがある!」

「何だって!」

 エリーもいちいち反応しない。

「貴様ら悪魔に場所の特定はされない!」

「高架下以外だったら近所の公園かショッピングモールのフードコートにいるでしょ」

「な、なぜそれを知っている!」

 いつもそうじゃない。

 あんたの行動はいつも単純で分かりやすいじゃない。

「さすが、お姉ちゃんです。魔女の力は死神をも圧倒していますね」

 魔女の力じゃなくて姉の力ね。

「お姉ちゃんの力さえあればデスキャンサーたち死神を一網打尽にするのも夢じゃないですね」

「チクショー!」

 そんな風にバカ弟は悔しそうな感じでリビングを飛び出していった。なんか見慣れ光景過ぎてため息が出る。いい加減にあのバカ弟が私を出し抜くような嘘をつけるようになれば少しくらい張り合いが持てるのになと思う。

 するとリビングの扉が再び開いた。弟が覗いてきた。

「お姉ちゃん。覚えてるよね?」

「ん?」

 巣の弟が急に出てきて若干動揺しながらも何か約束したけっな記憶を奥の方を辿るとそういえばしたなって思い出す。

「分かってる。夕方にいつものところにね」

「了解した!では!」

 今度こそ出かけて行ったようだ。

「何か夕方にあるんですか?」

「お祭り。毎年、駅前の大通りを歩行者天国にしてたくさんので店が並ぶのよ」

 毎年バカ弟とは中二病になる前からいっしょに行っているお祭りだ。私自身も友達で行く約束をしているけど、二日間ある祭りの一日だけは弟とで店を回るのだ。

「今年はエリーも行く?」

「・・・・・もしかしたら、死神がいるかもしれないで」

 めんどくさいな。

「私の着物来ていこうか。着付けは私がやってあげるわよ」

「ありがとう」

 その笑顔を見るとなんか顔がほころぶ。素直にありがとうと言われると照れる。

「そういえば、バカ弟たち死神を追わなくてもいいの?」

 ちょっと悪魔モードじゃないエリーを見るのは何か慣れなくて中二病設定のことについて会話を振る。

「・・・・・大丈夫ですよ。デスキャンサーはサリエルとは違います」

「そう」

 あれから数日が経った。エリー曰くサリエルはエリーの仲間によって拘束されたらしい。そこで問題になったのがサリエルが持っていた魔剣が完全に破壊されていたということらしい。魔剣、グラムを破壊するほどの強力な攻撃をエリーはできない。死神同士で仲間割れでもしているのではないかという議論が飛び交ったらしいのだ。

「デスキャンサーがいないので話しますがダークソードを存在はまだ仲間には伝えていません。混乱を招きかねないんで」

「そ」

「それよりもいろいろ気になることがあるんですよ」

「何よ?」

「お姉ちゃんとデスキャンサーの記憶は確かに消したはずなんですよ」

 確かに消されていたわよ。実際に私も忘れていたわけだし。

「でも、なぜデスキャンサーには利かなかったんでしょうか?ダークソードがあったとはいえ記憶操作は記憶を抜き取る効果を持っています。抜き取る際に魔力を使いますが抜き取った後は魔力を必要としません。ダークソードのような魔力を削る剣では記憶の回復はできないはずなんですよ」

「へぇ~」

 テレビをつける。熱中症注意報が出ている。あのバカ弟は涼しいショッピングモールのフードコートにいるだろう。

「それにお姉ちゃんの放つ魔力。サリエルに向かってダークソードを抜いたとき、魔王レベルの魔力の量でした。それなのにダークソードではサリエルは切り傷を負わなかった。いろいろ謎が多いんですよ。今回のことで」

 エリーは手を顎において考えを言っているけど半分以上聞き流している。こんなことを毎回真剣に聞いていたら頭がパンクする。こういうのは聞いているふりをして聞き流す程度が一番いいのだ。毎日のように中二病のバカと過ごしていると勝手に身につく。

 でも、これだけは言いたい。

「記憶のことだけど、たぶん嫌だったのよ」

「何がですか?」

 私自身の経験で一番エリーの悪魔の力を実感したのが記憶の操作だ。本当にエリーのことを忘れてしまっていたんだから驚きだ。だから、いつもの設定に乗っかった話をして解説すればきっとこうだ。

「バカ弟と私がエリーのことを忘れるのが嫌だったのよ。だから、私たちは忘れていても記憶は抜き取っている最中だったのよ。私たちが抵抗したから。魔力によって抜き取られている記憶。そんな抜き取っている最中にダークソードの妨害を受けて記憶が突然戻った」

 その時に起きた脳の衝撃は突然戻ってきた記憶のせいだろう。こんなことまで考えられるなんて私も人のことを言えた身じゃないな。

「お姉ちゃんとデスキャンサーは私のことを忘れたくなかったんですか?操作を妨害するほどの強い意志がないと」

「それだけ私はあんたのことが好きなのよ」

 親近感があるというかバカ弟とどこか同じにおいを感じるのだ。放っておけない。

「そうじゃなかったらいつまででも家に居候させておくわけないでしょ。親が帰ってきたらどうなるか分からないけど」

 するとエリーは深々と頭を下げる。

「こんな私のために住まいを提供してくれてありがとうございます。私もお姉ちゃんとデスキャンサーのことが好きです。大好きです。だから・・・・・・」

 頬を赤らめて上目使いで私の方を見る。直視することのできない悪魔ではなく天使のような表情で私の方を見る。

「もう少しここにいていいですか?」

 こっちまで恥ずかしくなってしまう。私が男ならここで絶対に告白している気がする。

 しばらくして落ち着いてからエリーの答えを返す。何も考えることもないありふれた答えだ。

「別にいいわよ」

 そう言うとより一層エリーが笑顔を見せる。実際の悪魔って言うのはかわいい子が多いのかもしれない。

「さぁ、着物の着付けをしましょ」

「はい!」

 私には弟と妹がいる。弟は本当に血のつながった現在絶賛中二病なバカな弟がいる。妹は血の繋がっていない本物の悪魔で私が勝手妹にした妹がいる。どっちも面倒で厄介で手が焼ける。でも、そんな騒がしくて忙しくてめんどくさい。

 そんな日常が私は好きだ。

このお話で『エリーと私』って打ち込むと『エリート私』になってしまって何度バックスペースを押したことか・・・・・。


さて、今回のお話は単に中二病とそうでないガチの奴が一緒に日常を過ごしたら面白うだろうなと思い書きました。

しばらく、こんな感じで気まぐれでお話を書いていきたいと思うので今後とも応援よろしくお願いします。

最後に、最後まで読んでくださってありがとう!

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