ティラミス プロローグ
「絶望的だ!」
オレ、騎鮫岐刃は絶望の縁に立たされていた。
一生分の勇気を出して恋人に想いを告げたが、恋の夢は儚く散った。
「何が悪かったんだ?」
自分に問いただすが返ってくる答えは一つ
「彼氏いるとかマジないわー」
遅かった。
遅かったのだ。
心の傷は深まるばかり
誰か俺を慰めてくれ、その願いは誰も叶えてくれない、人生とは残酷なものだ。
傷心者は学校をサボり
一人、喫茶店で己れの傷を嘗めていた。
「ご注文はお決まりですか?」
美人の女定員が心に染みる笑顔で問いかけてきた。
「お姉さん、俺を慰めてください」
「ムリですね」
あまりにも速い返事は俺の心をさらにえぐる。
「あっ!もしよかったら、ティラミスでも注文してはいかがですか?
あれ、どっかの国の言葉で『私を慰めて』って意味らしいですか、なにか慰めになるかもしれませんよ?」
商売上手め!
「じゃあそれで」
でも何も注文しないのは、さすがに悪いのでとりあえず頼んでみた。
そんな時、ふと築いた。
誰かが俺の隣に座ったのだ。落ち込んでいるとはいえ、人がくれば気配ぐらいだ感じるはずだが、隣に座るまでいっさいきずかなかった。
「こんにちは!」
誰?見ず知らずの少女がそこにて、突然声をかけられた。
黒くすきとうった髪
黒と青と赤と緑の絵の具を完全に混ざる一歩手前で止めたような色の、しかし汚なさはなくむしろ綺麗な色ワンピース
細く華奢な体
白く、だけどほんのりピンク色がかった肌
全てを見透かしたような瞳は息を飲むぼどだった。
きっと美少女とはこの子のことを言うのだろう、そう思わされる少女だった。
少女は優しく、そしてイタズラっぽい笑みをうかべている。そして軽い口調で話し掛けてきた。
「ねぇ、私をあなたのものにして?」
唐突な質問、それは俺の思考を遥かに越えたものだった。