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第六夜

合コンまであと一週間・・・。

甲山さんはぎこちないけど私が思いっきり頼んだらOKしてくれたし、

桜はお金持ちや天才や美形を餌にしようと合コンを楽しみにしているし、

霞は復讐の日までを指折り数えている。

私は特に期待していないけど、霞の復讐ってどんなものか気になる。

まぁきっと霞のことだから凄いことを企んでいるに違いない。


「すみれ〜、体育館いくよ〜?」

「は〜い」


今日は新入生歓迎会。

でも新入生だけではなく、新しく来た教師も歓迎するらしい。

今更歓迎なんて面倒なのに。


「ただいまから新入生歓迎会を始めます。初めに今年この学校に新しく

やって来た先生たちを紹介したいと思います。」


きたよ。

どうせおばさんだろうな。と思っていたが、司会がそう言い残したあと

すぐに体育館中の女子がざわざわし始めた。


「赴任して来た先生は三人いるのですが、まずは一人目を紹介します。」


出てきたのはいかにもお嬢教育を強いられてきたような引きつった顔のおばさんだった。

部活はやっぱり茶華道部の顧問らしい。茶華道部じゃなくてよかったー。


「二人目は・・・」


次に出てきたの三十代後半くらいの女性だった。

未だに独身で彼氏ナシって感じの地味な人だった。

部活は手芸部の顧問。

二人の目の先生の紹介が終わった途端、またも一気に体育館中がざわざわし始めた。

いったい何があるんだろう?桜も後ろで顔を赤くして興奮していた。


「三人目の先生は林藤 楓先生です」


司会の言葉のあとに三人目の先生が登場した。

体育館の中は一気に「キャー」という歓声が沸き上がった。

そのとき私は思い出した。あの時の職員室前の人だかり・・・。美形の先生・・・。

こいつか!


「林藤先生は二年生の英語の担当の先生です。部活はバドミントン部の顧問の先生です。」


あ〜これで一気にバドミントン部の入部者が増えるんだろうなぁ・・・。

みんなはこの先生のことをカッコいいなんて言うけれど私はそんなに興味は無かった。

確かに美形で清楚で優しそうで頭も良さそうだけど・・・。

寧ろ、霞の方が美形だと感じてしまったみたい。

林藤先生は生徒たちにニッコリ微笑むと、ステージから颯爽と去って行った。

その様子に生徒のほとんどが失神していた。


やっと新入生歓迎会に入り、それから部活の紹介や学校に関するクイズ、

全職員の紹介をして早くも新入生歓迎会は幕を閉じようとしていた。

そして最後の閉めに新入生からの感謝の言葉があった。


「坪山 茜さんお願いします」


あ、茜!?

まさか茜が新入生からの感謝の言葉を担当するなんて・・・。

あんな子にちゃんとしたことが言えるのだろうか?

茜はステージに上がってつんと澄ました。

茜の顔が上がった瞬間、体育館中に「かわいい」やら「きれい」やら何やら声が上がった。

やっぱり女子から見てもモテるんだなぁって改めて思った。自分の妹なのに・・・。


「今日は私たち新入生のために、こんな素晴らしい会を開いてくださって

ありがとうございました。おかげで学校のことが良く分かり、ほとんど何も知らずに

入学してきた私たちにとってとても為になりました。」


さすが我が妹。ありきたりだけどちゃんとしたことが言えていた。

そして茜は最後に、「ありがとうございました」と言って新入生歓迎会の幕を閉じた。



帰り道、桜と話していると林藤先生の話になった。


「カッコよかったよね〜林藤先生!」

「そうかなぁ〜なんか胡散くさ・・・」


気づくと桜がこっちを凄く睨んでいた。

怖い・・・。


「はぁ・・・。」


林藤先生の虜になっている桜の横で私は大きくため息をついた。

まさかこの林藤先生がこれから霞や私と深く関わっていくとは

まだ夢にも思わなかった。

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