聞いてはいけない
今回の話は桃李の事故から2日後、郁の耳に入ってはいけないことが・・・
私は事故から2日後聞いてはいけないことを聞いてしまった。
2時間前桃李のお母さんとお母さんが話していた。
それは事故の原因。
ピーンポーン
家のチャイムが鳴った。
玄関を開けると桃李のお母さんがいた。
「郁ちゃんこんにちは。お母さんいる?」
私はリビングにいるお母さんを呼び桃李のお母さんに一礼して自分の部屋に戻った。
2階にある自分の部屋で桃李の写真を見ているとお母さんの”ごめんなさい”と言う声が聞こえてきた。私は足音を立てないようにゆっくり階段まで行った。私の目に映ったのはお母さんが土下座している姿だった。桃李のお母さんは玄関に腰を下ろしていた。お母さんはその隣で何回も何回も謝っていた。
桃李のお母さんは「止めてください。謝ってもらいたくて来た訳じゃないんです。」と言っていた。
私はなんのこっちゃと、思いながら二人の会話を聞いていた。
「あの、本当に言いづらいんですけど。桃李は事故のあった日こちらに来ようとしていたんです。8月20日は郁ちゃんの誕生日ですよね。桃李、前の日からずっと『明日は早く帰ってきて郁の家で待ち伏せして誕プレ渡すんだ。郁を驚かせるんだ』って。桃李は郁ちゃんが帰って来る前に家の前で待ってるんだ。そう言ってました。」郁の目からは涙が出てきていた。拭いても拭ききれない数の涙が・・・
桃李のお母さんは再び口を開いた。
「郁ちゃんにこれ渡してあげて下さい。」バックの中から小さい長方形の箱が出てきた。
「これ桃李がおこずかいを貯めて買ったんです。事故現場に落ちてたんです。すいません郁ちゃん呼んでもらえますか?」
私はお母さんに呼ばれた。
「郁ちゃん、これ桃李からの誕生日プレゼント。開けてみて」
キレイに包装された紙を取ると赤いケースが出てきた。さらにそれを開けるとハート型のネックレスと指輪があった。桃李のお母さんは魚のように口をパクパクさせていた。
「こ、これ桃李が 」
あと少しで終わります。
最後まで読んでください。