三聖女の運命
「デノーテ、今日の検定の儀は素晴らしかったぞ! お前が最高の力を持っていることが証明されたーーあのシバー家のエレノアよりもだ」
「これで我がモードネス家に、悲願の王家への道が開けたぞ。儂も鼻が高い」
そう言って、父はデノーテを抱き上げて頬ずりした。
「お父さま、お髭が痛い」
嫌がるデノーテをソファに下すと、今度は母を抱き締めた。
「良くやった! これはお前の手柄だ」
「お前もこれまで肩身が狭かったろうが、よくやってくれた」
しばらくそうしていたが、母を抱いていた手を緩めると、父はもう別のことを考えていた。
「よし、モードネス家としての国造りをどうするか、考えねばならんな」
上機嫌で部屋を出て書斎に向かう父の後姿を見送ったデノーテはため息をついた。
ーー私、まだ五歳だというのに、何て重い荷が肩にのしかかるのだろう。
この国の決め事により国王の代替わりは、四家のうちで最も”精霊の力”が優れている娘がいる家が王家を継ぐと決められていた。
ただ建国以来、どういうわけかシャンツ家だけが王家を引き継いできた。
デノーテの存在は大きな期待を父に持たせた。
ーー私、女王とか王妃とかならなくてもーー
そう思いを巡らして、幼子ながらデノーテは頬を赤らめる。
デノーテには一目見た時から心を惹かれた少年がいた。
モードネス家と仲の良いシフォン家の一人息子、バッセだ。
四家の一つであるシフォン家には娘がいない。
王位継承権を維持するには”精霊の力”を持つ娘を嫁にする必要があった。
ーー私がシフォン家にお嫁に行けばいいのだわ
小さいデノーテは希望を持っていたが、そうなると、一人娘しかいないモードネス家には”精霊の力”を持つ者がいなくなる。
男子がいないので、嫁を取ることも叶わない。
デノーテの父がそれを許すはずは無かった。
翌年、エレノアの妹のミネルバが五歳になり、検定の儀でこれまでにない七色の光を発した。
これで、この国の一番の”精霊の力”の持ち主はミネルバとなった。
それを聞いて喜んだのはミネルバの姉のエレノアだった。
シバー家はミネルバで王家を継ぐことが出来る。
ーーミネルバには悪いけど、私は自由に家を出ていくことが出来るわ。
エレノアはシャンツ家の一人息子、グーテが好きだった。
子供たちだけで開いたお茶会で隣り合わせた二人は、妙に気が合ったのだ。
この国一番の”精霊の力”の持ち主がミネルバとなれば、男子しかいないシャンツ家もシフォン家も、ミネルバを嫁にしたいと願うのは間違いない。
シバー家にとっては、ミネルバはシバー家が王家になる切り札になる。
婿をとることはあっても、嫁に出すことは考えられなかった。
そうなるとエレノアは嫁に出るしかないが、シャンツ家もシフォン家もミネルバ以外には目もくれないだろう。
ーー私はどうなるのかしら?
奇しくも、デノーテも同じことを考えていた。
デノーテの父のお気に入りはハイスという、デノーテより三歳年上の男の子だった。
何度かお茶会で引き合わされたが、デノーテは彼と顔を合わすのが嫌でたまらなかった。
たまに逢った時に「デノーテ」と、甘い声を掛けられると、背中に悪寒が走った。
使用人たちからもよい噂は聞けなかった。
若い女の子と見れば、そばに寄って行って口説きを始めるらしい。
子供とは言え、その口説きを聞いていると本気になりそうだと、屋敷に来たばかりの娘たちが顔を赤らめた。
そんな話を聞くにつけ、そんな男と自分を結び付けようとする父の気持ちが理解できなかった。
ーーお父さまもハイスの評判を知らないはずは無いでしょうに。
ーーお父さまの願いがすべて叶えば、あの彼が王さまになるのよ。
母に相談したかったが、その頃のデノーテの母親は身体が弱り、ベッドで一日中過ごすことが多かった。
不要な心配を掛けたくなかったので、誰に話すこともなく、デノーテは自分の胸に収めていた。
デノーテの父はミネルバの力を知って驚いた。
目の前にあった王家という文字が遠くに霞んでしまったからだ。
すでに王家としての体裁を整えるための準備は始まっており、そのために多くの貴族や金持ちたちから借財を得ていた。
彼らにしてみれば、デノーテのいるモードネス家は絶対に間違いのない投資先だった。
十二歳になったデノーテはお披露目のパーティにエレノアと共に出席した。
二人とも同じように眩いばかりの白い光の花輪を映し出したが、その場の皆の関心は、すでに来年にお披露目を迎えるミネルバにあったので、二人とも驚きを持って迎えられることは無く、話しかけてくる若者もいなかった。
一人でバルコニーにたたずんでいるデノーテのところに、若者となったバッセがやってきた。
「やあ、久しぶりだね」
「そうね」
デノーテが顔を赤らめる。
「ミネルバのことはーー残念だったね。君の父上がかなり落胆していると聞いた」
「ええ、でもーー私は良かったと思っているわ」
「えっ」
思いもかけないデノーテの言葉にバッセは驚いた。
「だって、私が自由に相手を選べるようになったということだもの」
バッセの目がデノーテを見つめる。
「それはーー僕でもいいと?」
「ええ、でもあなたのお父さまは承知しないでしょうね」
「それで王家を継げるなら、喜んで承諾してくれるでしょうけどね」
そんなデノーテを見つめていたバッセが口を開いた。
「うちの父はただただ王位継承権が欲しいだけらしい」
「だから君のように”精霊の力”を持つ娘なら誰でもよいと言っている」
ーー誰でもいいのかぁ。私の父次第ということね。
「お互い、大変ね」
出席した娘たちから挨拶を受けていたグーテの前にエレノアがやってきて、見事なカーテシーをして見せた。
「やあ、相変わらず見事だね」
「ねえ、グーテ、ご両親はやはりミネルバを嫁にとりたいと思っているの?」
「順位で言えば、ミネルバ、デノーテ。君はその後になるのかな」
グーテがあっさりと言う。
ーーまあ、そうなるわね
「あなたもそう思っているの?」
「シャンツ家の王位を継続させるにはそうすべきなのだろうとは理解している」
「そうでしょうね」
「でも僕はーー王位なんてどうでもいいと思っている」
「君に王妃を約束できないけど、それでも僕と一緒になってくれるならーー」
「父上、母上を説得するつもりだ」
「あなたのその言葉を信じて待つわ」
その翌年、お披露目で見せたミネルバの”聖女の証”を示す光は、今まで誰も見たことのないもので、次期王位はミネルバを中心に決まると認めざるを得なかった。
シバー家の周りは急に人の出入りが激しくなった。
シャンツ家もミネルバをグーテの嫁にどうかと打診をしたが、当然ながら拒否され、その代わりとしてエレノアならと言ってきた。
ミネルバがだめならデノーテはどうだろうかと王と王妃が話し合っているところに、エレノアならいいとシバー家が言ったと聞いたグーテがやってきて、エレノアを嫁に欲しいと懇願した。
グーテがエレノアと好き合っているのは承知していたが、シャンツ家の存続を考えていた王は即答を避けた。
「この件はしばらく考えさせてくれ」
ミネルバが手に入らない以上、シャンツ家は王位を継げなくなる。
デノーテはモードネス家の一人娘だ。
すでに王家になるつもりで準備をしていると聞く。
とても、デノーテを嫁に出すと言うはずがない。
それならグーテと好き合っているエレノアを嫁に迎えて、何代か先にもう一度王位を得ることを期待したほうが良いかも知れない。
そう考えた王はグーテを呼んだ。
「エレノアと結婚するということは、シャンツ家の王位はこの先無くなるかも知れないということだ。それでいいのか?」
「父上、私は母上の体調が日増しに悪くなっているのを知っています」
「あれは王家の責務によるものでしょう?」
「ミネルバには申し訳ないが、エレノアにあの責務を負わせたくないのです」
「そうか、儂も王妃にはすまないと思っていた」
「だから、死ぬときは二人一緒にとーー」
「父上」
「わかった。シバー家とエレノアを嫁に迎える交渉を始めてみよう」
シバー家の当主は、ミネルバさえいれば王家はシバー家に移ると思っていたので、あっさりとシャンツ家の提案を受け入れた。
シャンツ家のグーテとシバー家のエレノアの婚儀が決まると、国中は大騒ぎになった。
次の王家はシバー家のミネルバの元で始まると決まったようなものだったからだ。
誰がミネルバの婿になるか、噂が広がって行った。
シフォン家のバッセの名も挙がったが、国王になるかも知れないとは言え、一人息子のバッセを送り出してシフォン家を廃家にすることは考えられなかった。
明日はグーテとエレノアの結婚式という夜、モードネス家の書斎に二人の人影があった。
「いいかハイス、グーテ王子とエレノアの結婚式でシバー家のミネルバを連れ出せ」
「お前の娘を口説くのは国一番と評判なのを知ってるぞ」
「うまく連れ出して、どこかに隠れ住むのだ」
「報酬は高くなりますよ」
「心配するな、後の面倒は儂が見てやる」
結婚式の夜、ミネルバは人知れず姿を消した。
慌てたシバー家の当主は国中を探したが見つからなかった。
シバー家の当主は気がふれたようになり、心配したエレノアが訪ねて来ても会おうともしなかった。
しばらくして、シバー家の使用人と名乗る男がシャンツ家を訪れ、シバー家当主夫妻の死去を告げてきた。
誰にも知らせず葬ってくれと厳命されていたが、エレノアにだけは知らせておこうとしたのである。
まだミネルバの消息はわからないだけとは言え、肉親がすべて亡くなったことを知ったエレノアはショックを受けた。
庭の一角に建てられている墓石の前でシバー家の再興を誓った。
グーテに頼んで、ミネルバが見つかるまでシバー家を王家の預かりにしてもらった。
ただこの時から、エレノア自身がシバー家を訪れることは無かった。
ミネルバが失踪したという知らせを聞いたモードネス家の当主は我が意を得たりとばかりに喜んだ。
ミネルバがいない以上、デノーテとエレノアの戦いの結果は目に見えている。
モードネス家の屋敷を中心とした王都を本格的に計画し始めた。
これには多額の資金が必要だったが、次の王家が確定したに等しいモードネス家に投資を拒むものはいなかった。
当主は腹心の牧師であるジェクトンを呼び出した。
「ジェクトン、こんなものじゃ足りん。もっと集める策を練れ!」
「お前は大司教になりたいのだろう」
そんな中、デノーテの母親が危篤に陥った。
モードネス家の女性たちはなぜか若くして死ぬ者が多く、周囲には「やはりね」という噂が広がっていた。
枕元で母を見つめるデノーテの手を力無く握り、絶え絶えに言葉を発した。
「悪いけど、墓所の管理をあなたに任せるわ」
そう言うと、母は息を引き取った。
葬儀を終えて母を墓所に葬るために、デノーテはモードネス家の庭にある池の中央に浮かぶ小島にボートで渡り、母に聞かされていた通りに、墓所の扉の前に立ち宣言した。
「私はデノーテ。今日よりこの墓所の管理人を引き受けます。鍵を作ってください」
すると、扉の前に少し小柄な人の姿が浮かび上がった。
「儂はカールじゃ。お前がこの墓所の管理人を引き受けると言うのじゃな?相違無いか」
「はい」
「ではお前のカギを作ろう。しばらく待っておれ」
カールの手にいつの間にか金色の棒が握られており、カールがそれをデノーテの前に差し出すと、金色の棒は見る間に金の鍵に変化した。
最後に、カギにデノーテの名前が浮かび上がったとき、デノーテは自分の体内から力が大量に抜けていくのを感じ、よろけかけた。
「ふむ、お前はこの墓所を管理するに相応しい力を持つようじゃ」
デノーテの様子を見ていたカールがそう言って、鍵をデノーテに差し出し、扉を開けるよう促した。
デノーテが扉の鍵穴に鍵を差し込んで回すと、鍵が外れ、扉が開いた。
「後は儂の仕事じゃ」
カールは遺体の収められた棺を宙に浮かせると、開いた扉の中に棺と一緒に入って行った。
しばらくしてカールは一人で戻ってきた。
「これで滞りなく納棺は終えた」
「この次からは、お前がここで儂を呼び出せば、お前の鍵を持って儂が現れる」
そう言うと、カールは消えた。
デノーテは無事納棺を終えてほっとしたが、鍵を作った時の脱力感がいつまでも気になっていた。
それからしばらくして今度は、シャンツ家の王妃が危篤に陥り、程なく亡くなった。
王までが、申し合わせたように亡くなってしまった。
するとそれを待ち構えていたかのように、北の峠から侵入者が押し寄せてきて、麓の村々から略奪を始めた。
王家は、それを防ぐために峠に結界を張るという責務を負っていたのだ。
精霊の力を持つ王妃が亡くなることは、峠の結界が無くなることを意味する。
四家は早急に、どこが王家になるかを決め、王家として峠の結界を張り直す必要があった。
最有力だったシバー家のミネルバは行方不明で、シフォン家のバッセの母は高齢でとても頼りにするどころではない。
だれもがモードネス家のデノーテしかいないと思っていた。
ところがデノーテは結界を張るだけの力を示すことが出来なかった。
皆は不思議がったが、デノーテは自分がモードネス家の墓所の管理人になったからだと確信していた。
皆から促されて、半信半疑でエレノアが結界を張ると、以前より強固な結界が出来上がった。
それを見た四家の当主たちは、次の王家はシャンツ家だと認めざるを得なかった。
家に帰ってきたモードネス家の当主はデノーテに詰め寄った。
「どういうことなんだ。デノーテ」
「お父さま、私がモードネス家の墓所の管理人をお母さまから引き継いだ時に、力が抜けていくような感じがあったのです」
「もしかして、あれが原因なのではないかと」
「墓所かーーあれの引継ぎは命懸けだとは聞いていたが、そこまでとは」
父はあきらめざるを得なかった。
王位がシャンツ家に引き継がれるとわかると、モードネス家に借金返済の催促に多くの人々が訪れた。
あろうことか、ミネルバを連れて出奔していたハイスまでが現れた。
「私に贅沢な暮らしをさせてやると言われましたが、あの約束は守っていただけるのでしょうな」
「心配するな。儂には隠し財産があるのだ」
当主はハイスを墓所に連れていき、扉の前で怒鳴った。
「モードネス家の主として告げる。緊急の用事だ。ここを開けて欲しい」
精霊のカールが出て来た。
「ご当主の一度きりの鍵をお使いになるのですかな」
「うむ、此奴を、ハイスを墓所の中に入れてやって欲しい」
「ですがその力は、聖女を墓所の管理人から解放するためにご当主に与えられたものですが」
「モードネス家は終わりだ。もう関係ない。やってくれ」
「承知しました」
カールが扉を開ける。
「どうぞ」
当主はハイスに向き直り,言った。
「ここには初代モードネス家からずっと、遺品としてここに運び入れた財宝が眠っている」
「ただし、ここへは生きた人間は一度に一人しか入れんのだ」
「お前が入って行って、好きなだけ自分のものにしろ」
「だますんじゃないでしょうね」
「そう思うなら止めるんだな。ただし儂はもう金を持ってないぞ」
それはハイスにもわかっていた。モードネス家は破産も同然だったのだ。
遺品とは言え、価値のあるものを持ち出した方がいい。
「じゃ、失礼しますよ」
そう言って中に消えていくハイスを見送ると、当主は小声でカールに命令した。
「奴が出られないように扉を閉めろ」
したり顔のカールが言う。
「有りもしない宝で騙すとは」
「死ねばどちらでもいいことだ」
「ここに生きて入った者は死ぬことはありませんよ。墓所の中は時が止まっていますからね」
「構わん、墓所ももう開けることは無い」
「あなたはどうなさるので」
「庭のどこかで、野垂れ死ぬさ」
「ついでと言っては何だが、儂が死んだら儂の書斎の封印を頼めんか」
「儂の汚点が詰まっている部屋を他人に見られたくない」
「わかりました」
カールがニヤッと笑って当主の耳元で囁いた。
「お代は娘さんに払っていただきましょう」
「どういうことだ?」
驚く当主を尻目に、墓所の入り口に歩み寄りながら、ハイスに向って声を上げた。
「待ちなされ。儂が案内しましょうぞ」
カールが消えると同時に墓所の扉が閉まった。
当主はしばらく扉を見ていたが、書斎に戻ると、手紙を書き始めた。
その宛名にはシフォン家当主の名が記されていた。
その頃、王都ではもう一つの粛清が行われようとしていた。
王家がモードネス家になると見越して、多くの貴族や商家が法に外れた行為を行っていたのだ。
宰相であったウイルドン家の当主は、多くの証拠を掴みながらも、手を拱くしかなかった。
次の王家がモードネス家になるとうわさされ、不正を行っていた者たちの多くはモードネス家に繋がっていたからだ。
ところが、シャンツ家が再び王家を継ぐということになると、王都は大混乱に陥った。
その中で、ようやくその処罰を与えることが出来るようになったのである。
罪の発覚を恐れた者たちは、証拠を持つウイルドン家に矛先を向けた。
そしてウイルドン家は一家全滅に等しい襲撃を受けたのである。
新しく王になったグーテとその妃エレノアは心を痛めながらも、その処罰が出来ない自分たちの力の無さを悔やんだ。
そして、そんなことは二度と起きないようにしようと心に誓ったのである。
ある日、デノーテの父が娘を呼んだ。
「お前、シフォン家のバッセ君の嫁になれ」
そう言って、デノーテに一通の手紙を見せた。
シフォン家当主からの、デノーテをシフォン家の嫁に迎えるという内容だった。
突然のことにびっくりしたが、諦めかけていた良報に躍り上がらんばかりの気持ちを抑えて、父に問うた。
「それではモードネス家はどうするのですか」
「このままではモードネス家はもう立ち行かんよ。王位継承権は諦める」
「だが、お前の実家として形を残しておきたい」
デノーテがシフォン家に嫁いでしばらくすると、バッセの両親が体調を崩し、間を置かずに亡くなってしまった。
葬儀の後、義母の使っていた部屋はデノーテに譲られた。
そこはシフォン家でも一番景色の良く見える部屋で、デノーテは喜んだが、義母の残した調度品は良いものにも関わらず、デノーテの心を不安にさせた。
そして義母の残したものは全て、尖塔の中に収めてしまったのである。
しばらくして息子のアスクが生まれ、デノーテは喜びの絶頂にいた。
ただその後は、数年経っても二人目の子供が出来なかった。
そうしているうちにデノーテの父親が亡くなり、跡を継ぐ者がいなくなったが、父が前もって手配していたのか、モードネス家の屋敷は王家が管理することになった。
その頃から、バッセが家に帰らないことが多くなった。
使用人の口から、バッセが国中で娘を漁っていると聞いたデノーテは驚いた。
ーーどういうことなのかしら?世継ぎもいるのに




