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おかしな収束  作者: 三毛猫ジョーラ


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オノマトペ


 ある日の朝。目が覚めるとそこら中に文字が浮かんでいた。


 文字と言ってもほとんどがカタカナでマンガでよくある『バーン』とか『ジャーン』みたいなやつだ。調べてみると音喩おんゆって言うらしい。擬態語、擬音語、総じてオノマトペってやつ。それがさっきから文字で浮かびあがっていた。


 ドアを開け閉めすれば『カチャ』、『バン』。歯を磨けば『シャカシャカシャカ』と鏡にまで映っている。『ガラガラガラガラ、ペッ』ちょっといい加減うざったい。

昨日なんか変な物でも食べたっけ? と考えながら私は出掛ける準備をした。



 今日は私の誕生日。さて彼氏からのプレゼントはなんだろう? と少し『ワクワク』しながら待ち合わせ場所に向かった。


 街を歩いているとお店のガラスに映る私の頭の上には『ワクワク』の文字がずっと浮かんでいた。思わず『ブンブン』と頭の上を手で払う。たぶん私しか見えてないから気にしなくてもいいとは思うけど、なんかヤダ。



 彼氏は30分遅れてやってきた。「ごめんごめん!」と言いながらハァハァと息を切らしている……が、その息遣いが文字で出ていない。こいつ直前でちょっと走っただけだな。どうやら嘘は文字となって出ないようだ。



 一日デートを楽しんだ後、私たちは豪華なディナーに舌鼓を打つ。そしてコース料理を食べ終えたあたりでテーブルにケーキが運ばれてきた。


『ハッピーバースデートゥーユー♪』


 ここは英語で出て欲しかったぁー! と思いつつも私は笑顔を浮かべた。ケーキを食べ終え彼がプレゼントをくれた。小さな箱を『パカッ』と開けると中にはかわいい指輪が『キラン』と光っていた。


「わーありがとう!」


 私は頭の上に♡を浮かべながら指にはめたそのリングを眺めた。その時、ひとりの女性が私たちのテーブルの横をゆっくりと通り過ぎた。なぜか彼の方を『ジロッ』と見ている。その女性と目が合った彼も『ドキッ』としていた。


 女性は私たちから見えるテーブルに一人で座った。さっきから彼がずっと『ソワソワ』している。私は少し気になって「知り合い?」と訊いてみた。


『ギクッ!!』という文字と共に彼は「い、いやっ! 知らないよ」と答える。


 私は『ジー』っと彼を見つめた。『ソワソワ』『ドキドキ』『ハラハラ』。彼の周りにそんな文字が次々と浮かぶ。てかさっきから『チラチラ』女の方見てるし。



「浮気した?」


『ギクッーーーー!!!!!!』


 今日一番のでっかい文字が目の前に現れた。


「@£%#&□△◆§!?」


 動揺した彼が文字にならない言葉でなにか喋っている。私は無言で指輪をはずすとテーブルの上に『コトリ』と置いた。そして何も言わずに出口へと向かった。



 最後に『ちらっ』と彼を見るとテーブルにうなだれていた。


 その頭上には『ガーン』という大きな文字が浮かんでいた。






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