執着
彼と出会った頃、私は普通の女だった。
笑って、好かれたくて、ちょっと背伸びしただけ。
『可愛いね』
『好きだよ』
『ずっと一緒にいようね』
あの言葉を信じた私の、どこが悪いの。
*
朝、目が覚めた瞬間に一番に浮かぶのは彼。
だからLINEを送る。
『おはよう』
『今日も大好きだよ』
本当はもっと言いたい。
彼の一日の最初を、私の愛で満たしたい。
それが迷惑だなんて思わなかった。
*
仕事が忙しいと言われれば、胸がざわつく。
仕事より大事なものがあるでしょう?
私がいるじゃない。
既読が遅いと、涙が出る。
他の誰かと笑っているのだろうか。
私の知らない女と。
『どこにいるの?』
『誰と?』
『捨てないよね?』
怖い。
でも、手放したくない。
*
だって私は彼の言葉で救われたから。
「君がいい」
「誰より君がいい」
その日から私は、彼の女になった。
付き合っていないなんて嘘。
言葉は嘘をつかない。
彼の優しさが、証拠だ。
*
最近、彼の愛が薄くなった。
メッセージも素っ気ない。
返信が遅いときがある。
嫌だ。
消えたくなる。
でも、消えたら彼は悲しむだろうか。
私がいないと困るはず。
だから今日も、伝える。
『大好き』
『ずっと一緒にいようね』
*
いつになったら彼は、
ちゃんと私のものになるのだろう。
私は正しい愛をしている。
彼のために生きている。
それを重いなんて言わないで。
ねえ。
私は、普通の恋をしているだけなの




