⭕ 退魔仲介所 1
──*──*──*── 3日目
──*──*──*── 退魔仲介所
温泉で朝風呂を済ませて、キーノが用意してくれた朝食を済ませたオレは、弓弦さんと一緒に《 退魔仲介所 》へ出掛けた。
勿論、キギナも誘ったけど断られてしまった。
昨日と違って弓弦さんはキギナに何も言わなかった。
弓弦さんはバツの悪そうな顔で沈黙している。
どうやら弓弦さんは、オレの「 一緒に温泉に入ろう 」って誘いを断ってしまった事を気にしてるみたいだ。
別に気にする様な事じゃないのに……。
そんな訳で3日目を迎えた今日も 弓弦さんと2人で外出する事になった。
今日は《 退魔仲介所 》へ行く。
久し振りの《 退魔仲介所 》だからワクワクする。
《 退魔仲介所 》って所は、≪ 大陸 ≫で言う所の《 冒険者ギルド 》《 冒険者斡旋所 》や《 傭兵ギルド 》《 傭兵斡旋所 》みたいな施設だ。
今日は≪ 平安京 ≫の中に在る《 退魔仲介所 》へ行く。
どうやら《 退魔仲介所 》の本部は《 厳蒔屋敷 》の地下に在るらしい。
地下と言えば、《 キノコンタウン 》が在る場所だ。
そっかぁ……とうとう《 退魔仲介所 》もキノコンに牛耳られちゃった訳だな。
何時かはこうなるって思ってたんだ。
キノコンはスーパー器用で大抵の事が出来てしまうから、《 退魔仲介所 》の経営,運営も御手の物だろう。
もしかしたら、≪ 平安京 ≫の地下には巨大な地下都市みたいに第2の≪ キノコン王国 ≫が出来上がっているかも知れないな。
≪ 和國 ≫もセロに献上しようと考えてるキノコンなら、やりそうな事だ。
≪ 平安京 ≫を裏から動かす為、キノコン達の独断で帝に接触とかしてるかも知れない??
でもまぁ…仮にそんな事をしていたとしても、オレには関係無い事だ。
キノコン達は絶対主あるセロの為に動いてる訳だし、オレが口出しする様な事じゃない。
“ 何も知らないフリ ” をして過ごすのが1番だ。
東西南北に在る立派な《 退魔仲介所 》は支部的な立ち位置をしているらしい。
それ以外の《 退魔仲介所 》は “ 分会所 ” 的な立ち位置で、 ≪ 平安京 ≫の外に在る《 退魔仲介所 》は “ 連絡所 ” 的な立ち位置らしい。
《 退魔仲介所 》で働く職員を教育する施設は “ 道場 ” 的な立ち位置なんだとか。
《 退魔仲介所・道場 》で職員の教育するのは勿論、キノコン達だ。
キノコン達は独自のカリキュラムを作って職員の育成をするらしい。
保護した身寄りの無い子供達を教育して、試験,面接等で実力を見て “ 使える大人 ” としてキノコン達に認められると晴れて職員に選ばれるらしい。
《 退魔仲介所 》の職員は “ エリート ” として人気が有るみたいだ。
経営責任者,運営責任者,職場責任者はキノコンだから、職員は全員キノコンの部下として働く事になるんだよな。
勿論、職員だけじゃなくて従業員も居る。
従業員は職員の補佐的な存在で、重要なポジションでも有るから “ 花形 ” として人気が有るらしい。
退魔師試験に合格して、退魔師免許を発行してもらわないと従業員になれない。
外回り業務が多いから退魔師の資格が絶対に必要なんだとか。
退魔師免許を持ってるから直ぐに外回り業務を任される訳じゃなくて、教育係りの先輩とバディを組んで仕事を覚えるらしい。
退魔師になるのは難しいから、従業員は貴重な人材なんだとか。
人間にさせなくてもキノコンがすれば良いと思うけど、態々人間にさせる事にはそれなりの理由が有るのかも知れない。
マオ:厳蒔磨絽
「 《 退魔仲介所 》なんて久し振り過ぎてドキドキするよ。
どんな感じに変わってるのかな? 」
厳蒔弓弦
「 そうだな──、何処の《 退魔仲介所 》も癒される場所に変わっているな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 癒される場所?
どゆことぉ?? 」
厳蒔弓弦
「 行けば分かる。
退魔師達の憩いの場としても利用されているしな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 憩いの場?
なんか想像が付かないなぁ~~ 」
厳蒔弓弦
「 キノコンは其処に居るだけで癒しとなるからな。
殺伐としている退魔師が唯一和める場所が《 退魔仲介所 》なんだ。
それらしい胞子でもバラ撒いているのかと疑ってしまう程だ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 胞子の力は有り得るかも……。
でもキノコンがバラ撒く胞子って、人間には “ 有害なモノ ” だって聞いた事が有るけど…… 」
厳蒔弓弦
「 改良しているかも知れないな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 改良するの大好きだもんね 」
──*──*──*── 退魔仲介所
《 退魔仲介所 》の前に着くと、キノコンが出入り口に立っている。
他にも竹箒を持って《 退魔仲介所 》の周囲を掃いているキノコンが居る。
高い所を掃除する道具を使って《 退魔仲介所 》の壁や屋根の下を掃除しているキノコンも居る。
キノコンは綺麗好きだから、掃除は徹底的にするタイプだ。
故に《 退魔仲介所 》は新居みたいにピカピカを保っている。
「 エリエリ 」と鼻唄を歌いながら掃除をしているキノコン達は実に楽しそうだ。
出入り口に立っているキノコンが、弓弦さんとオレ対して「 おかえりなさいませエリ 」と笑顔で出迎えてくれる。
手早く玄関戸も開けてくれる。
くぅ──、一連の動作が可愛いっ♥️
マオ:厳蒔磨絽
「 有り難な、キノコン 」
分身体:キノコン
「 どう致しましてエリ 」
中へ入ると別のキノコンが名簿を出してくれる。
日付と時間は既に書かれている。
名前を記入すれば良いだけになっている。
前に書かれている名前を見ると、達筆な字が多くて読めない。
癖や個性も字に現れるらしい。
オレが読める字で名前を記入した後、弓弦さんも名前を記入したけど、やっぱり達筆で読めない……。
和國人はこの字が読めるんだから凄いよな……。
和國語と日本語は似ているけど、明らかに和國語で使われる漢字の方が画数が多くて難しい。
オレも覚えるのに苦労したもんな……。
その苦労の甲斐が有ってか日本語を覚えるのは割かし楽だった。
≪ 和國 ≫でうっかり日本語の漢字を書いちゃうと、和國人には理解してもらえないから困る。
だから、≪ 和國 ≫に行く時には必ずハンドブックを持って行く事にしてるんだ。
ハンドブックには和國語と日本語が書かれていて、漢字が分からない時に使う。
マオキノとセノコンがオレの為に態々手作りしてくれたハンドブックでオレの宝物だ。
何時迄も綺麗に使える様にセロがコーティグ魔法を掛けてくれている。
このハンドブックが無いと、オレは安心して漢字が書けない。
自分の名前くらいはハンドブックを見なくても書けるけどな。
名前の記入が終わるとキノコンが奥へ案内してくれる。
暖簾を潜った先は広々としている。
壁には此処の《 退魔仲介所・分会 》に所属している退魔師達の名札が階級に分けて掛けられている。
これは昔と変わらないみたいだ。
[ 受け付け ]に行くと職員が対応をするみたいだ。
受けたい依頼が有る時は[ 受け付け ]で依頼帳を借りて見る事が出来る。
これも昔と変わってないみたいだ。
変わっている事と言えば──。
厳蒔弓弦
「 マオ、壁に貼られている瓦版や号外を見てみるか 」
マオ:厳蒔磨絽
「 瓦版??
号外??
そんなの壁に貼られてたっけ?? 」
厳蒔弓弦
「 キノコンが《 退魔仲介所 》を立て直してから壁に貼られる様になった。
掲載期間が終わった後も[ 受け付け ]に頼めば見せてもらえる様になっている 」
マオ:厳蒔磨絽
「 へぇ~~。
《 冒険者ギルド 》とかは壁に依頼書を貼り付けているけど、《 退魔仲介所 》では旬なニュース記事を貼ってるんだ 」
折角だから、弓弦さんと一緒に壁に貼られているニュース的な記事を見る事にした。
壁には色んな記事が書かれた瓦版や号外が貼られている。
大体が妖怪に関する内容や注意換気みたいだ。
マオ:厳蒔磨絽
「 ──実体の無い妖怪が未だ残ってるんだ……。
──此方は百鬼夜行の事が書かれてる。
──人拐いが出る!?
──人面犬に御注意…………人面犬なんて出るんだ?? 」
厳蒔弓弦
「 人面犬に関しては、未だ被害は出てない様だな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 人面犬って脅威になるのかな?
無害っぽいんだけど──。
オレ的には百鬼夜行が気になるかも…… 」
厳蒔弓弦
「 百鬼夜行も注意換気だな。
実際に起きているなら退魔師ではなく、キノコンの出番だ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 キノコンも妖怪退治するんだ? 」
厳蒔弓弦
「 実体の無い妖怪は並みの退魔師では倒せないからな。
退魔師が対処の出来ない案件はキノコンが処理する事になっているんだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そっか。
実体の無い妖怪はキノコン砲でしか倒せないもんね。
百鬼夜行も実体の無い妖怪が関係してるって事かな? 」
厳蒔弓弦
「 それは分からないが、100体もの怪異を退魔師だけで倒すのは無理が有る。
退魔師は自己主張の強い者が多いから、人に合わせるのを苦手とする者が多いんだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えっ、そうなの?
弓弦さんは普通に人と組めてるよ 」
厳蒔弓弦
「 私は〈 五行軍 〉で集団行動をしていたから慣れている。
得意ではないから単独行動の方が性に合っているがな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 弓弦さんくらい強ければ1人で行動しても問題は無いよね 」
厳蒔弓弦
「 折角《 退魔仲介所 》に来たんだ。
久し振りに依頼を受けてみるか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうだね!
斬るだけで良いし、受けてみようかな 」
という訳で、手頃な依頼を探す為、弓弦さんと[ 受け付け ]に移動した。
──*──*──*── 受け付け
職員に声を掛けて依頼を受けたい事を伝える。
職員は依頼帳を取り出して渡してくれた。
向こうに有る[ 座敷 ]に座って依頼帳から受けたい依頼を選ぶんだとか。
お茶を飲みながら、相方と相談しながら依頼を選べるらしい。
“ お茶を飲みながら ” 受けたい依頼を選ぶなんて、昔には無かった事だ。
依頼帳を持って、弓弦さんと[ 座敷 ]へ移動した。
◎ 訂正しました。
ドキドキすよ。─→ ドキドキするよ。
字が書けない。─→ 漢字が書けない。
此処は昔と変わらないみたいだ。─→ これは昔と変わらないみたいだ。




