✒ 結界、再び
──*──*──*── 屋台通り
昼食を食べ終わった頃、《 裏野ハイツ 》へ魔喰らいの弓を取りに戻った弓弦さんが《 厳蒔屋敷 》へ戻って来た。
食後の運動も兼ねて、外に出て散歩をする事になった。
キギナを誘ったけど断られてしまった。
主人の誘いを断るなんて──と、弓弦さんの御説教が始まりそうだったから早々に弓弦さんの腕を引っ張って出掛ける事にした。
散歩をしてるだけなのに、まるで弓弦さんとデートしている気分になる。
これは浮気に入るのかな??
御無沙汰振りに≪ 平安京 ≫を散歩する。
橋を渡った先の変化は分からないけど、平民が暮らしている場所は随分と様変わりしていた。
平民の暮らしを発展させる為にキノコンが活動している事もあってか、明るい雰囲気だし、楽しそうな笑い声が聞こえて来る程に賑わっている。
静まり返っている貴族の区域と違って、平民の区域は活気に溢れている。
≪ 平安京 ≫に存る全ての《 碁会所 》はキノコンが経営していて、大繁盛していた。
世代や性別の垣根を越えて、皆が和気藹々と囲碁を楽しんでいる。
もっと真剣に本格的に囲碁に打ち込みたい平民向けに、《 囲碁道場 》なる施設も在って、入場料は500円らしい。
午前7時 ~ 午後18時まで囲碁の腕を磨いてライバル達と切磋琢磨が出来る環境が用意されていた。
囲碁は身分なんて関係無く “ プロ棋士になれる ” という事もあってか、平民達に人気の職業になっている。
人気は有るけど、プロ棋士になる事は簡単じゃなくて、2年に1度開催されるプロ棋士選抜試験に合格しないとプロ棋士にはなれない決まりだ。
プロ棋士には、子供棋士,男流棋士,女流棋士の3種類に分かれている。
子供棋士は15歳未満の男女の子供が該当していて、15歳になり成人すると男流棋士,女流棋士に移籍する仕組みになっている。
子供なのに大人顔負けの棋力を持つ碁打ちが居るんだから、≪ 日本国 ≫の囲碁レベルに匹敵するかも知れない。
いや、キノコンが指南役をしてるんだから、≪ 日本国 ≫の子供達よりも強いかも知れない。
≪ 和國 ≫の子供プロと≪ 日本国 ≫の子供プロとの対局を見てみたい気がする。
それに関してはセロに頼めば実現しそうだよな。
囲碁の普及活動に貢献する事になりそうな企画かも!
よし、《 裏野ハイツ 》に帰ったらセロに相談してみよっと!
他にもキノコンが経営している《 店 》が以前よりも増えていて、治安も頗る良くなっているのが分かる。
悪さをする輩が居なくなる事はないけど、お巡りさん的ポジションのキノコンが巡回しながら目を光らせている事もあってか、態々犯罪を起こすな馬鹿野郎は居ないみたいだ。
犯罪なんて犯したら、確実にキノコンの餌として喰われちゃうもんな。
夕食は《 屋台通り 》で食べる事にする。
≪ 平安京 ≫で使える金銭を持ってないオレの代わりに、財布を持っている弓弦さんが支払ってくれた。
弓弦さん、めちゃんこ金持ちなんだよな~~。
《 屋台 》もキノコンが経営していて、貧しい平民にも買える安い価格で提供されている。
料理の材料費や調味料もタダ同然だから、安い価格で提供しても儲けしか出ない訳だ。
貧しい平民達にとっては、キンコンが経営している《 屋台 》が “ 救いになってる ” って事かな。
マオ:厳蒔磨絽
「 こんなに買って貰ったのにさ、500円にもならないんだもんな。
キノコンって太っ腹だよな 」
厳蒔弓弦
「 どの屋台料理も10円で提供されているからな。
《 飲食店 》では一皿50円で提供されているぞ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ご…50円!?
《 飲食店 》も安いんだ!
《 碁会所 》の入場料が100円だから……、囲碁を打つ方が金銭的な負担になるんだ…… 」
厳蒔弓弦
「 食事に困らない環境が整っているのは良い事だ。
飢えに苦しむ事が無いだけでも救いとなるからな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 寝泊まりの出来る《 貸し宅 》を作ってキノコンが提供してるみたいだし、≪ 日本国 ≫みたいにホームレスを見掛けないもんな 」
厳蒔弓弦
「 ≪ 平安京 ≫を巡回しているキノコンが、家無しを見付けると保護しているそうだ。
《 貸し宅 》へ案内し、働き口も紹介するそうだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 へぇ~~。
キノコンってば、ホームレスに優しいんだな。
でもさ、そんな事をしてキノコン達に何のメリットが有るんだろう?
働き口を紹介したって続くとは限らないのに…… 」
厳蒔弓弦
「 それは私にも分からないが、良い事をしているのは間違いないだろう。
目的は不明だがな。
私は踏み込む気は更々ないが、気になるならキノコンに尋ねてはどうだ?
マオが聞けば教えてくれるだろう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうかもしれないけど、本当の事を聞くのが怖いかも…… 」
厳蒔弓弦
「 ははは。
それは言えているな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あっ!
弓弦さん、彼処だよ!
昨日、結界の中に閉じ込められた場所! 」
厳蒔弓弦
「 そうなのか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん。
変な奴が突然、前に現れて──。
でも動きが遅くて攻撃して来なかったんだよ。
魔法で倒せたけど、首を斬っても血が出なかったんだ 」
厳蒔弓弦
「 血を流さないのか?
それは妙だな 」
マオ:厳蒔磨絽
「 もう直ぐ日が暮れちゃうな 」
厳蒔弓弦
「 人気が無くなったな 」
弓弦さんは落ち着いている。
流石はプロの退魔師だ。
戦力になるくらい強いしな!
弓弦さんと話していると周囲の雰囲気が変わった。
昨日と似た様な感覚だ。
昨日と違うのは結界の外に立っている──って事ぐらいだ。
厳蒔弓弦
「 マオの言う結界はアレか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん!
そうだよ、弓弦さん! 」
厳蒔弓弦
「 あの結界なら知っている 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えっ、知ってるの!?
見た事が有るって事? 」
厳蒔弓弦
「 私は簡単に破る事が出来たぞ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えぇっ?!
そうなの?? 」
厳蒔弓弦
「 試しに矢を射ってみるか 」
そう言うと弓弦さんは、魔喰らいの弓に手を伸ばす。
鋭い矢先の矢を結界へ向けて構える。
矢の先端に法力を込めた弓弦さんは、弓を引いて矢を射った。
法力を纏った矢が結界に命中する。
結界は甚も簡単に割れると砕け散ったぁぁぁぁぁあああああああ!!!!
キノコン達が放った渾身のキノコン砲が効かなかった結界なのに何でぇぇぇぇえええええ!?
厳蒔弓弦
「 マオ、結界を消せたぞ。
これで安心か? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 う…うん……。
弓弦さん、凄いね!
キノコン砲でも壊せなかった結界なのに!! 」
厳蒔弓弦
「 キノコン砲と法力は全くの別物だからな。
私の法力には一般的な法力とは異なり、妖力,天力が混ざる異質な法力だからな。
その関係も有るかも知れない 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そっか!
弓弦さんは転身が出来る様になった事で、法力の質も威力も大幅に爆上がりしたもんね! 」
厳蒔弓弦
「 それも有るだろうな 」
何はともあれ、これで結界に対する脅威は去った事になるぞ!!
弓弦さんが居てくれたら、仮に結界の中に閉じ込められたとしても結界を壊せるし、外に出られる!!
弓弦さん様々だな♥️




