⭕ 呪詛の解呪
──*──*──*── 3日目
──*──*──*── 内裏
当初の予定通り、弓弦さんは多面打ちで帝と第1皇子の相手をしてくれる。
その間に幻夢さんとオレは、第2皇子こと孳の案内で、姫様の部屋へ向かう。
今回はこっそりコソコソじゃなくて、堂々と向かった。
──*──*──*── 第1皇女の自室
第2皇子:孳
「 姉様ぁ!
会いに来たよぉ~~ 」
第1皇女:姫様
「 孳──。
磨絽も来てくれたのか 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん!
今日は陰陽師の幻夢さんも一緒だよ。
痣の絵も見てもらったんだ! 」
獅聖幻夢
「 初めまして、第1皇女様。
陰陽師の獅聖幻夢です。
貴女の身体に出ている痣の事を伝えに来ました 」
第1皇女:姫様
「 ──!!
やはり呪詛なのか! 」
獅聖幻夢
「 落ち着いてください。
第1皇女様の身体に出ている痣は、呪詛では有りません 」
第1皇女:姫様
「 呪詛ではないのか?
本当か!? 」
獅聖幻夢
「 不安に思われていた様ですね。
安心してください。
その痣は呪詛から第1皇女様を護る為の呪痕紋です。
悪いモノでは有りませんからね 」
第2皇子:孳
「 呪詛から護ってくれる??
でも、これの所為で姉様は歩けないんだぞ!! 」
ひぇっ!!
幻夢さんになんて乱暴な言葉を~~~~!!
これが恐い者なしの皇族パワーかぁ~~~~。
獅聖幻夢
「 呪詛は間違いなく掛けられていますよ 」
第2皇子:孳
「 へ?? 」
第1皇女:姫様
「 なんじゃと?! 」
獅聖幻夢
「 命に関わる呪詛ですよ。
その呪詛は呪痕紋の効果で弱まっています。
歩けない程度で済んでいます 」
第1皇女:姫様
「 そ…そうなのか?
歩けぬのは痣の所為ではないのだな…… 」
第2皇子:孳
「 っ──。
一体誰が姉様に呪詛を── 」
獅聖幻夢
「 十中八九貴族ですよ、第2皇子様。
平民は陰陽師に依頼は出来ませんからね。
呪詛師に依頼が出来るのは貴族だけです 」
第1皇女:姫様
「 ………………貴族か…… 」
獅聖幻夢
「 残念ですが、私は第1皇女に呪詛を掛ける依頼をした犯人を見付け出す事は出来ません。
ですが、呪詛を解呪する為に、呪詛師へ呪詛を返還する事は出来ます 」
第2皇子:孳
「 そんな事が出来るのか!
姉様!
頼んでみようよ!
呪詛、消してもらおうよ!! 」
第1皇女:姫様
「 ………………呪詛を返還した後、呪詛師は……どうなるのだ? 」
獅聖幻夢
「 死にますよ。
私の呪詛返しは特殊ですからね。
おや、自分に呪詛を掛けた顔も知らない呪詛師の心配をしますか?
第1皇女は御人好しですか? 」
第1皇女:姫様
「 ………………死なせん事は出来ぬのか? 」
獅聖幻夢
「 無理ですよ。
呪詛師は定期的に第1皇女様へ呪詛を掛けています。
呪詛師が死ななければ、第1皇女様に掛けられている呪詛の解呪は出来ませんよ。
このまま呪詛を掛けられ続け、歩けぬまま人生を終えますか? 」
第1皇女:姫様
「 それは………… 」
第2皇子:孳
「 姉様ぁ!
姉様に呪詛を掛け続ける呪詛師なんか悪い奴に決まってるよ!!
呪詛が消えれば、姉様は自由に歩ける様になるんだからさぁ!! 」
獅聖幻夢
「 第1皇女様が拒否されても、私は貴女に掛けられた呪詛を解呪する為に呪詛返しを決行しますよ。
その為に訪問したのですらね 」
そう言った幻夢さんは狩り衣の袖から数珠を取り出すと、姫様の両手首と両足首に数珠を嵌める。
その後、幻夢さんは難しい言葉を唱え始めた。
ゴリゴリの和國語だと思うけど、オレには全く分からない。
姫様の周囲がオレンジ色に光り始める。
陰陽陣が発動したみたいだ。
姫様の周りから黒い靄が浮かび上がって来た!
マオ:厳蒔磨絽
「 黒い靄が出て来た!?
何コレぇ!! 」
獅聖幻夢
「 呪怨霊が生まれます 」
マオ:厳蒔磨絽
「 呪怨霊……。
呪詛を使って作る奴か…。
幻夢さんが唱えていた難しい言葉は? 」
獅聖幻夢
「 闇呪術で使う言葉です。
特殊な呪文ですから、マオ殿だけではなく、陰陽師にも分かりませんよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そ…そうなんだ── 」
第2皇子:孳
「 黒い靄が消えたぞ!! 」
獅聖幻夢
「 呪詛師の元へ向かいました。
これで呪詛師が死ねば、第1皇女様に掛けられている呪詛も解呪されますよ 」
第2皇子:孳
「 本当に呪詛師が死ねば、姉様に掛けられている呪詛は消えるんだな?
姉様は歩ける様になるんだな? 」
獅聖幻夢
「 今迄、寝たきりで立てなかった者が、歩ける様になる訳ないでしょう。
先ずは衰えた筋肉を鍛えなさい。
動かせる様に小まめなマッサージも忘れない様にしなさい。
決して無理はしない事です 」
ミニマムキーノ
「 それなら問題無いですエリ。
ボクが毎日、両脚のマッサージをしていますエリ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ミニマムキーノが居てくれたら、絶対に無理はさせないから安心だな! 」
ミニマムキーノ
「 お任せくださいませエリ 」
ミニマムキーノは笑顔でビシッと敬礼してくれる。
可愛いなぁ~~♥️
きっと姫様もミニマムキーノに毎日、癒されているんだろうな。
マオ:厳蒔磨絽
「 取り敢えず、呪詛問題は解決かな?
後は、姫様に呪詛を掛ける様に依頼をした悪者を見付け出せたら良いんだけどな……。
ミニマムキーノ、何とかならないか? 」
ミニマムキーノ
「 ボクにはどうにも出来ませんエリ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そっか…………そうだよな。
そう都合良くは行かないよな…… 」
ミニマムキーノが何故かコッソリと折り畳んだ紙を渡して来る。
「 牛車の中で読め 」って事かな?
ミニマムキーノの目を見ながら頷いて紙を貰っとく。
獅聖幻夢
「 数珠を外しますね。
また呪詛が掛けられた場合、自然に呪痕紋が身体に浮かび上がります。
呪詛の効果を弱める為の痕ですから、不安に思わないでくださいね 」
幻夢さんは姫様の両手首,両足首から数珠を外しながら説明してくれる。
マオ:厳蒔磨絽
「 幻夢さん、何で呪痕紋が身体に浮かび上がったりするの? 」
獅聖幻夢
「 天女の血を受け継いだ女子だからですよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 え?
天女の血を受け継いでるのが原因って事なの? 」
獅聖幻夢
「 身体に備わっている防衛本能ですから、恐がる必要はないのです。
帝の娘ならば、嫁ぎ先は既に決まっているのでは有りませんか?
もしかしたら、第1皇女様が嫁ぐ先の相手に強い想いを寄せている何処かの姫様が、第1皇女様を妬み、呪詛の依頼を頼んだのかも知れませんよ。
邪魔者を排除するならば、呪詛を使い徐々に衰弱する病に見せ掛け、呪い殺してしまうのが手っ取り早いですからね。
依頼をした事が知られなければ、自分が手を下す事なく、邪魔者を亡き者と出来るのですから──。
呪詛も使い様です 」
マオ:厳蒔磨絽
「 恋敵を呪うなんて、“ 貴族あるある ” だよな~~。
姫様は相手を知らなくても、相手は姫様を知ってるって事か。
因みに姫様が嫁ぐ予定の貴族って? 」
第2皇子:孳
「 《 喬槻原家 》だよ。
姉様の夫候補は《 貴族院 》の女子達から絶大な人気の有る── “ 光の君 ” って呼ばれてる奴だよ!
“ 光の君 ” に叶わぬ恋をする姫達が呪詛に頼るなんて、本当に有りそうな例えだから恐いよ!! 」
獅聖幻夢
「 “ 光の君 ” ですか。
選ばれた相手が悪かったですね。
然し、《 喬槻原家 》ならば、没落する心配は無いですよ。
嫁ぎ先としては優良物件です 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そっか……平安貴族達も政略結婚させられるんだよな…… 」
一寸平安貴族の姫様達が不憫に思えて来ちゃったな。
家と家を繋ぐ為の婚姻に道具として使われるんだもんな。
《 喬槻原家 》に嫁いだ姫様が幸せな人生を送ってくれたら良いんだけど──。
姫様の護衛兼お世話はミニマムキーノに任せて、幻夢さんとオレは姫様の部屋を出て[ 内裏 ]へ戻る事にした。
孳は姫様の部屋に残るみたいだ。
姫様,孳,ミニマムキーノに見送られながら、部屋を出て廊下を歩く。
◎ 訂正しました。
恋敵 ─→ 恋敵




