⭕ 皇子と友達? 1
──*──*──*── 四日目
──*──*──*── 内裏
何故かオレは幻夢さん,弓弦さんと共に[ 内裏 ]に来ていた。
幻夢さんは帝と囲碁を打っている。
弓弦さんは帝の長男と囲碁を打っている。
オレは帝の次男に駄々を捏ねられて蹴鞠をしていた。
次男は囲碁をするよりも身体を動かす方が好きみたいだ。
次男は長男より口が悪くて、悪戯っ子だったりする。
どうやら長男と次男は異母兄弟で、次男は帝と後妻の子供らしい。
長男の実母は天女だから、子供を産んだ後、故郷へ帰ってしまっている。
後妻は実子と共に長男を可愛がっている様だ。
マオ:厳蒔磨絽
「 上手いじゃん!
オレより上手いよ。
コツとか教えてほしいな 」
次男
「 磨絽も精進しろよぉ~~。
僕の事は孳って呼べよ。
特別だからな! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 孳……様? 」
次男:孳
「 ばぁか!
渾名に様付けんな。
呼び捨てに決まってるだろ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 有り難な、孳 」
次男:孳
「 磨絽、此方! 」
孳はオレに手招きをする。
急にどうしたんだろう?
悪戯でも思い付いたのかな?
マオ:厳蒔磨絽
「 孳、何処に行くんだ? 」
次男:孳
「 姉様に会わせてやるよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 姉様? 」
次男:孳
「 兄様は双子なんだ。
姉様は兄様の姉上なのさ。
呪詛を受けてるらしくてさ、部屋から出る事を禁止されてるんだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 呪詛?
未だ11歳になったばかりだろ。
何で呪詛なんて受けるんだ? 」
次男:孳
「 分かんない。
大人は他人を呪うのが好きなんだろ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 人に依るかな。
皆が皆、呪詛に頼る訳じゃないと思うよ。
でも『 貴族は呪物を買うのが好き 』ってシュンシュンが言ってたなぁ…… 」
次男:孳
「 しゅんしゅん??
誰だよ、そいつ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 凄腕の陰陽師だよ。
今は用事で≪ 和國 ≫を飛び回ってて居ないんだけど── 」
次男:孳
「 ふぅん?
磨絽は陰陽師の知り合いが居るのか。
そいつは信用出来る陰陽師なのか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 シュンシュンは守銭奴だよ。
腕は良いけど、口は悪いし、態度も悪いし、金にがめついから依頼人をぼる癖が有るんだよな~~。
今は改心してるけど、根っからの野心家かな。
好きな言葉は、現金と下剋上だしなぁ……。
信頼が出来るかは人に依るかな? 」
次男:孳
「 ……………………何でそんな奴と知り合いなんだよ…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あははは……。
色々あって、今は友達だよ。
オレを財布扱いするのはシュンシュンとキギナくらいかな 」
次男:孳
「 ………………磨絽の懐が広いって事だけは分かった…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あはは……。
大して広くないよ 」
次男:孳
「 本当はさ、姉様の部屋に近付くのも禁止されてるんだ。
けど──、1人だけ離に隔離なんてあんまりだろ?
姉様を苦しめてる呪詛を消してやりたいんだ……。
《 陰陽院 》の陰陽師は信用が出来ないから、獅聖幻夢に事情を話して、姉様の呪詛を解いてほしいんだけど……。
父上と兄様が居るから話も出来ないし…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ふぅん?
幻夢さんと一緒に来たオレに、姉様の容態を見せて、内密に幻夢さんへ伝えてほしいって事かな? 」
次男:孳
「 何か悪いな……。
背の高いのより磨絽がチョロそうに見えたんだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 確かに弓弦さんはチョロくはないけど…… 」
孳って、小生意気な所がシュンシュンに似てるかもな。
「 チョロそう 」って失礼な事を言われてるのに怒る気になれないのは、オレも呪詛が気になるからかな?
11歳の少女を苦しめる呪詛なんて、穏やかじゃないなぁ……。
孳は慎重に進んでいる。
何度も足を運んで居る場所だからか、離への侵入も御手の物らしい。
随分と厳かな離だな。
──*──*──*── 厳かな離
当たり前だが、離にも人は居る。
孳の異母姉を世話する為の人達だろう。
見付かったらヤバそうだ。
孳は目当ての部屋を目指して進んで行く。
まるでコソドロ体験をしてるみたいだ。
オレは人に気付かれない程度に気配を殺してるから見付かっても問題は無いけど、孳は怒られるだろうな。
──*──*──*── とある部屋
次男:孳
「 この部屋だ。
この部屋に姉様が居るんだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 入っても大丈夫なのか? 」
次男:孳
「 当たり前だろ!
入らないと姉様を苦しめる呪詛を見れないだろ 」
そう言う孳に促されて、オレは孳と一緒に部屋の中へ入った。
部屋の中は敷かれた布団で上半身を起こし、書物を読んでいた。
する事が無いから読書をしてるのかな?
次男:孳
「 姉様ぁ!
具合はどうですか? 」
長女
「 これ、孳──。
『 来てはならぬ 』と言ったであろう…… 」
次男:孳
「 僕、忘れっぽいから~~。
それより、姉様!
陰陽師の獅聖幻夢って知ってるだろ。
一緒に来てた獅聖幻夢の友人って奴を連れて来たよ!
姉様の容態を獅聖幻夢に伝えてもらう為にさ 」
長女
「 陰陽師の信用は出来ないんだけど……。
獅聖幻夢って、父上に囲碁を教える指南役でしょう。
父上の犬かも知れないじゃないの 」
次男:孳
「 ………………それは…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 それは違うよ。
幻夢さんが忠誠を誓う程、崇拝している相手は別に居るから──。
帝に尻尾なんて振らないよ 」
長女
「 ………………獅聖幻夢の隠し子か? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 残念だけど、他人。
幻夢さんは独身だし、独身だからって男好きでも無いからな。
まぁ、シュンシュンより信頼は出来るよ。
守銭奴じゃないし。
オレは厳蒔磨絽だよ。
《 平民地区 》に在る《 厳蒔屋敷 》に居候してる退魔師なんだ 」
次男:孳
「 退魔師!?
お前──、貴族じゃないのかよ!? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 憙彩さんの世話になってるけど貴族じゃないよ。
貴族じゃないと駄目だったのか? 」
次男:孳
「 …………………………獅聖幻夢から『 友人です 』って言われたら貴族だと思うだろ! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 孳も平民と退魔師が嫌いなのか?
オレが平民だって分かった途端に掌を返して差別するんだ?
平民は守るべき≪ 平安京 ≫の民じゃなくて家畜以下ってヤツか? 」
次男:孳
「 そんな事は思って無いし、言ってない!
磨絽が平民だからって差別はしない…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ふぅん?
本当かな?
信じて良いのかな? 」
長女
「 おい、磨絽とやら、孳をからかうでない 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ははは──。
分かっちゃった?
君の事は “ 姫様 ” で良いのかな? 」
長女
「 構わない。
本当に磨絽は怪異を退治する退魔師なのか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 本当だよ。
とは言え、今は魔具を持ってないから、怪異に襲われても戦えないけどな。
退魔師は完全に武力行使で怪異を倒す職業だから、呪詛に関しては知識も無いし、専門外なんだ…… 」
長女:姫様
「 そうなのだな…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 腕の良い陰陽師の知り合いは居るから、相談は出来るよ。
幻夢さんとも顔見知りだから、信用は出来るよ。
孳にも聞いたけど呪詛を掛けられているって? 」
長女:姫様
「 孳のお喋りめ!
呪詛かは分からぬ……。
産まれて1年目の誕生日に身体中に現れたのだ。
胸から下に出ていてな……それの所為なのか……歩けぬのだ…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 帝は知ってるのか?
孳の母親は? 」
長女:姫様
「 ………………知っておる……。
《 陰陽院 》から陰陽師が来て、解除しようと祈祷をしてくれた事が何度も有る…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 それなのに呪詛は解けてない? 」
長女:姫様
「 ………………呪詛を解こうとしてくれた陰陽師達が次々と血に染まり倒れてしまったのだ……。
それもあり、陰陽師は誰1人として来なくなった…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ふぅん?
解こうとした陰陽師達が返り討ちに遭う程の呪詛ねぇ?
それさ、オレも見て良いかな? 」
長女:姫様
「 構わぬぞ…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 御免な。
書く物は有るかな?
絵を描いて残したいんだ。
幻夢さんに見てもらいたいんだ 」
長女:姫様
「 分かった。
孳、紙と筆を用意してくれ 」
次男:孳
「 分かったよ。
用意してやるから待ってろ、磨絽 」
孳は姫様の部屋に上がると、紙と筆を用意してくれた。
ちゃんと台も持って来てくれる。
オレも部屋に上がらせてもらう。
姫様が胸から下に現れている呪詛を見せてくれた。
オレは姫様の身体中に現れている呪詛っぽいのを白紙に描き始めた。
◎ 訂正しました。
オレは蒔磨絽だよ。─→ オレは厳蒔磨絽だよ。




