⭕ いざ、貴族院へ 1
──*──*──*── 五日目
弓弦さんとオレは幻夢さんから提供された貴族の着物を着付け中だ。
2体のキーノが着付けを手伝ってくれている。
幻夢さんは貴族が着るコテコテの着物じゃなくて、比較的に動き易い着物を選んでくれた。
日常の正式な服装とされている “ 直衣 ” って呼ばれる着物じゃなくて──、外出用のカジュアルな “ 狩衣 ” と呼ばれる着物だ。
シュンシュン,玄武さん,幻夢さんが主に着ている “ 狩り衣 ” よりも更に動き易く簡略化した略式の着物だ。
オレの着物には青色の露草の絵柄が刺繍されていて、弓弦さんの着物には露草に似ている紫色のムラサキゴテンが刺繍されている。
ムラサキゴテンの花言葉には「 優しい愛情 」「 誠実 」「 変わらぬ愛 」「 神秘的な美 」「 独立 」「 勇気 」が有るらしい。
因みに露草の花言葉には「 なつかしい関係 」「 尊敬 」「 恋の心変わり 」「 密かな恋 」「 敬われない恋 」が有るらしい。
セロは露草の花言葉を知ってて、オレのイメージにしたのか??
これはちゃんと問い詰めないとだぞ!!
因み序にセロが好きな(?)彼岸花の花言葉には「 情熱 」「 独立 」「 悲しい思い出 」「 諦め 」「 再会 」が有るらしい。
………………セロは花言葉を意識してないのかも知れない。
花言葉の意味を知っていたら、彼岸花を刺繍した着物を態々着るとは思えない。
色が違うと花言葉も変わるみたいだし、セロが好んでいるのは赤い彼岸花だ。
オレは白い彼岸花がセロには似合うと思うんだよな~~。
花言葉も「 また会う日を楽しみに 」「 想うはあなた一人 」だし。
今度、セロに白い彼岸花をプレゼントしてみようかな(////)
セロが喜んでくれるか分からないけどな!
着物の刺繍はキーノ達が手分けをしながら完成してくれたらしい。
綺麗な刺繍まで出来ちゃうんだから、キノコンって多才だよな。
見事な刺繍には、刺繍職人も真っ青だよ。
分身体:キーノ
「 終わりましたエリ 」
分身体:キーノ
「 お似合いですエリ~~ 」
分身体:キーノ
「 マオ様メモリアルが増えますエリ♥️ 」
キーノ達はスマホやタブレットを持って、弓弦さんとオレの写真を撮りまくる。
弓弦さんは「 何故、私まで撮るんだ? 」って顔をして困っている。
キーノ達は実に楽しそうだ。
獅聖幻夢
「 後は烏帽子を被るだけですね。
キーノ殿、後で私のスマホにもマオ殿のメモリアル画像を送信してください 」
分身体:キーノ
「 勿論ですエリ。
完成したら送信しますエリ 」
獅聖幻夢
「 出来上がりが楽しみですね♪ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えぇっ!?
幻夢さんのスマホにもオレの画像が入ってるの?! 」
獅聖幻夢
「 主人殿を慕う眷属として、マオ殿の成長を感じたいのです。
ですよね、弓弦♪ 」
厳蒔弓弦
「 私に振らないでほしいのだが!(////)」
獅聖幻夢
「 弓弦は照れ屋さんですね~~ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 弓弦さんのスマホにも入ってるんだぁ……。
じゃあ、玄武さんのスマホにも── 」
分身体:キーノ
「 セロフィート様の御命令により、マオ様メモリアルの画像ファイルはキノコンから眷属のスマホへ一斉送信してますエリ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 はぁぁぁぁぁあ!?
何て事してくれてんの!?
一斉送信っ!?
眷属は皆、スマホを持ってるの!?
どゆことだよ?? 」
分身体:キーノ
「 マオ様には秘密でしたエリ。
うっかりんりん丸エリ~~ 」
獅聖幻夢
「 眷属は簡単に行き来の出来ない≪ 大陸 ≫や≪ 島国 ≫に分かれていますね。
離れていても交流が出来る様にとセロ殿が、眷属同士で連絡を取り合える様にしてくれました。
画像,動画を送り合ったり、音声で会話が出来ますよ 」
厳蒔弓弦
「 眷属同士の結束を固める為も有るからな、互いの顔を見ながら会話が出来るんだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 オレだけが知らなかったんだ…… 」
なんてこったいだよ……。
何で主人のオレを除け者にして、眷属同士で連絡し合ってんだよぉ~~!!
疎外感が半端無いんだけどぉ!!
獅聖幻夢
「 準備も済みましたし、私の実家──《 獅聖邸 》へ向かいましょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 獅聖邸──かぁ。
名前からして凄い豪邸の感じがプンプンする響きだね 」
獅聖幻夢
「 豪邸は言い過ぎですよ、マオ殿。
《 厳蒔屋敷 》が丸っと4軒程しか入らない程度の敷地です 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えっ……《 厳蒔屋敷 》がスッポリと4軒も入っちゃうの?!
《 厳蒔屋敷 》だってかなり広いのに── 」
厳蒔弓弦
「 いや、《 厳蒔屋敷 》の敷地面積は狭い方だ。
《 厳蒔屋敷 》が4軒入る《 獅聖邸 》も《 貴族院 》の中では中の下だ。
狭い方だし、上には上が居る。
《 貴族院 》は《 陰陽院 》よりも広いから、移動には必ず牛車が利用されているそうだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ぎっしゃ??
ぎっしゃって?? 」
厳蒔弓弦
「 あぁ……牛車は “ ぎゅうしゃ ” の事だ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 牛車!?
牛車って、“ ぎっしゃ ” って読むの??
何か恥ずかしいな……(////)」
獅聖幻夢
「 “ ぎゅうしゃ ” と言うと “ 牛舎 ” と勘違いされるかも知れませんね(////)」
マオ:厳蒔磨絽
「 ははは……(////)
あのゆっくり動くヤツだよね?
馬車の方が明らかに早いのに牛車を使うの? 」
獅聖幻夢
「 馬は主に平安武士の訓練で乗られます。
一階の貴族は馬には乗りません。
乗馬を嗜みとする一部の貴族が居ますけど、贅沢な娯楽です 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうなんだ……。
幻夢さんは乗馬を嗜んだ事は有るの? 」
獅聖幻夢
「 残念ですが有りませんね。
私は弓道に進みましたから。
弓術に進めば乗馬をする機会も有ったでしょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 弓道と弓術って違うの?? 」
獅聖幻夢
「 弓道とは主に伝統的な弓射文化を指します。
心身の鍛錬,自己成長を目的とした武道ですね。
的を射る事よりも自分自身と向き合い、自己を鍛える事が目的です。
弓術は平安武士が実戦で用いる弓を使う技術を指します。
敵を射止める為の実践的な訓練が中心となります。
堂射と呼ばれる長大な射程で的に矢を命中させる競技も有ります。
≪ 日本国 ≫で例えると──、弓道は心を鍛える “ 武道 ” であり、弓術は実戦的な技術を磨く “ 古武術 ” ですね。
敵にダメージを与えられない私の弓は弓道寄り、敵を倒す弓弦の弓は弓術寄りとなるでしょう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そんな違いが有ったんだ……。
乗馬をしながら矢を射るのが堂射って事で良いの? 」
厳蒔弓弦
「 堂射は “ 歩射 ” の一種だ。
的迄の距離が長い。
的に向かい射手が歩射の姿勢で矢を射る。
室内や建造物内で行われる競技性の高い弓道だ。
幻夢は得意としているが、私には合わないな 」
獅聖幻夢
「 乗馬をしながら弓を射るのは流鏑馬ですね。
武士の武運を祈る意味合いが有り、神事や演武として行われます。
疾走する馬の上から鏑矢で的を射る騎射ですよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうなんだ……。
何か……難しいね(////)」
獅聖幻夢
「 私の本業は陰陽師でしたから、本格的には習わず、息抜き,気分転換として嗜む程度でした 」
マオ:厳蒔磨絽
「 趣味じゃなかったの? 」
獅聖幻夢
「 趣味ですか?
やんちゃをする事が当時の趣味でした♥️ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ははは……やんちゃ…… 」
厳蒔弓弦
「 今の幻夢からは想像が付かないな 」
獅聖幻夢
「 元服前の若気の至りです♥️
弓弦にも有るでしょう? 」
厳蒔弓弦
「 ははっ──、そうだな(////)」
幻夢さんと弓弦さんは御互いに笑い合っている。
元服前の自分を思い出して懐かしんでるのかな?
2人の中に入れないのが少し寂しいな……。
《 厳蒔屋敷 》の正門を出ると立派な牛車が停まっていた。
唐車って呼ばれる牛車で、最高位の貴族が使用する豪華な牛車らしい。
獅聖家って、そんなに凄い陰陽師貴族なの!?
キーノ曰く、高位牛車の網代車の仲間で、中級牛車の八葉車って名前の牛車も在るらしいけど、今回は使わないらしい。
八葉車は、主に地下公卿( 四位・五位の貴族 )や女房達が日常的に使用する牛車らしい。
因みに中級貴族は一家に一台がやっとみたいで、下級牛車を使用しているみたいだ。
マオ:厳蒔磨絽
「 最高位の貴族が使用する豪華な牛車に乗ったりして捕まったりしないの?? 」
獅聖幻夢
「 この牛車は、天皇から直々に贈呈された牛車ですよ。
乗っても捕まる事は有りません。
天下の天皇家も獅聖家を敵に回す程御馬鹿さんではないですよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 幻夢さん、言い方ぁ~~。
でも、何が原因で天皇から唐車を贈呈されたのか気になるぅ~~ 」
厳蒔弓弦
「 その話は移動中に聞いたらどうだ。
私も興味が有るからな 」
獅聖幻夢
「 勿論です。
丁度良い退屈凌ぎになりますよ 」
分身体:キーノ
「 マオ様──、唐車に乗車してくださいませエリ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 あっ、そうだな(////)」
キーノに促されて唐車に乗車する。
オレの左隣に弓弦さんが座り、幻夢さんは向かい合わせに座る。
どうやら馭者はキーノが担当するらしい。
ゆっくりと唐車が動き出す。
スイスイと走ってくれる馬車に比べて牛車はのんびりだから、オレは好きになれそうにないかな。
◎ 訂正しました。
中級牛車かの ─→ 中級牛車の




