⭕ 新たな依頼 6
──*──*──*── 弓弦side
大型の鬼が大斧を私の頭上へ目掛けて振り下ろして来る──が、私には遅い!!
空いている右手で大斧を素手で受け止める。
接近戦では魔喰らいの弓は使えない為、しまう。
空いた左手に天力だけを込め、大型の鬼へ目掛けて拳を御見舞いする。
妖力で攻撃すると吸収され、鬼を回復させてしまう事態を避ける為、天力を込めて攻撃してみたが──、大型の鬼が唸ってよろめいた。
どうやら天力での攻撃は効きそうだ。
ヒイラク
「 ──テメェ!!
天女のガキかっ!! 」
大型の鬼が顔を歪ませて、私を睨み付けながら叫ぶ。
天女の存在を知っている様だな。
答えた方が良いだろうか──。
ヒイラク
「 天女のガキ──。
テメェ、帝かっ!! 」
…………………………確かに、天女の血を受け継いでいる人間と言えば、帝が有力候補だ。
帝の名が上がる事は自然だろう。
帝が天女と婚姻関係を結び、世継ぎの子供が天女の血を継いでいる事は平民も周知している事だ。
ヒイラク
「 帝が退魔師に成り済まし、鬼人族に牙を向きやがったかっ!! 」
………………………………何やら物凄い勘違いを勝手にしてくれている。
此処で否定をしてしまえば、鬼人語が解る事が知られ、私が人間でない事がバレてしまうな。
鬼人語は人間が理解の出来ない言葉を使っている。
仮に鬼人語が解る人間が存在するならば、先ず生かしてはもらえないだろう。
確実に息の根を止められてもおかしくはない。
此処は言葉が通じないフリを続けるとしよう。
ヒイラク
「 チィッ──!!
鬼人語が分からねぇんだな!
帝が動きやがった事を親方様へ伝えねぇと── 」
おやかたさま──だと??
コイツ等に指示を出している者が居るのか!
コイツにミニマムキーノを忍ばせ、このままアジトへ戻らせれば、場所や目的が分かるな!
厳蒔弓弦
「 ミニマムキーノ! 」
私はミニマムキーノを呼ぶ為にマオの方へ目を向ける。
視界に入ったのは、魔法を纏わせたマオの魔具刀が細身の鬼の首を斬り飛ばした瞬間だった。
生首が宙を舞い、地面へ落ちて転がる。
落ちた生首をミニマムキーノが持ち上げる。
ミニマムキーノは涎を垂らしながら、生首を口の中へ入れた。
キノコンは鬼人もイケるのか──。
ヒイラク
「 カテエラぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!!
良くも……良くも…………俺のカテエラを──っ!! 」
大型の鬼は声を荒げて相方の名前を叫ぶ。
激しい憎悪と殺気が大型の鬼から放たれる。
退魔師達を殺害して回る鬼人でも、仲間を失い怒る心は持っているのか──。
地面に倒れ、血塗れな鬼の肉体を笠の中に入れたミニマムキーノはマオの頭の上に戻る。
大型の鬼は首を斬ったマオを狙っている。
マオに怪我を負わせる訳にはいかない──。
厳蒔弓弦
「 ミニマムキーノ、来い! 」
ミニマムキーノを呼ぶと、ジャンプをして私の肩に止まる。
ミニマムキーノは言わなくても察してくれたのか、大型の鬼に向かって胞子を振り撒いてくれる。
ミニマムキーノの胞子を吸い込んだ大型の鬼は、気を失い地面に倒れた。
厳蒔弓弦
「 ミニマムキーノ、有り難う。
良く分かったな 」
ミニマムキーノ
「 コイツからマオ様への憎悪と殺気をビンビン感じましたエリ。
マオ様を護りましたエリ★ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 弓弦さん!
無事だったんだね!
コイツ……眠ってるの? 」
厳蒔弓弦
「 ミニマムキーノが機転を利かせてくれてな。
マオは大丈夫だったか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 何とかね。
元素魔法が効いてくれて良かったよ。
弓弦さんは大丈夫だったの?
怪我してない? 」
厳蒔弓弦
「 問題無い。
転身が出来る様になってから丈夫になった様でな──。
大斧を素手で受け止められるぐらいには強くなった 」
マオ:厳蒔磨絽
「 えっ…………その大斧を素手で受け止めれたの??
それってセロみたいだね…… 」
厳蒔弓弦
「 はははっ(////)
流石にセロみないに斧を砕く迄は出来ないがな。
力加減も難しそうだ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 弓での遠距離攻撃だけじゃなくて、武力で近距離攻撃も出来る様になるんて頼もしいよ、弓弦さん!! 」
えぇ~~~~……拳で接近戦も出来るなんて……益々戦力アップじゃんかよ。
転身した時に強くなるんじゃなくて、転身しなくても強いんだ……。
弓弦さんを怒らせちゃ駄目だな!
マオ:厳蒔磨絽
「 弓弦さん、コイツだけど……どうするの?
ミニマムキーノに回収してもらう? 」
厳蒔弓弦
「 いや、折角だからこのままアジトへ帰ってもらおう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 帰しちゃうの?
何で──あっ!
態と帰らせてアジトの場所を特定する為だね! 」
厳蒔弓弦
「 いや、この案件はキノコン達に任せたいと思う 」
マオ:厳蒔磨絽
「 キノコン達に? 」
弓弦さんの言葉にオレはゴクリ……と唾を呑み込んだ。
“ キノコン達に任せる ” って事は、事件に関する全てを “ キノコン達に委ねる ” って事だ。
多分、コイツ等は完全に詰む。
厳蒔弓弦
「 セロも≪ 和國 ≫を気に入ってくれているだろう。
セロの御膝元で悪さをする輩の処理はキノコン達に任せた方が効率が良いと思う。
セロも “ 新しいモルモットが欲しい ” と溢していたしな。
鬼人族は人間より丈夫だから、セロが欲する “ 新しいモルモット ” に適していると思うのだが── 」
マオ:厳蒔磨絽
「 確かにそうかも知れないけど──。
セロの実験台かぁ……。
一寸可哀想かも……。
〈 合成獣 〉達の玩具は駄目かな? 」
ミニマムキーノ
「 加減を知らない〈 合成獣 〉の玩具もそれなりにハードですエリ 」
厳蒔弓弦
「 敵にも情けを掛けるとはマオは優しいな。
コイツにキノコンの胞子を付けた状態でアジトへ帰ってもらえば、アジトの中でキノコンが増殖し、親方様とやら共々鬼人族を一網打尽にする事が出来るだろう。
そうなれば、退魔師,陰陽師が襲われる事も無くなる 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん。
キノコン達がアジトを制圧してくれたら事件も解決だね。
ミニマムキーノ、頼めるかな? 」
ミニマムキーノ
「 勿論ですエリ★
キノコンもセロフィート様へ新しい実験台を献上したいですエリ。
アジトの有効活用もしたいですエリ 」
厳蒔弓弦
「 決まりだな?
マオと私は今迄通り、受けた依頼を解決する事に徹すれば良いだろう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん……。
幻夢さんはどうするの?
態々≪ 和國 ≫に来てもらっちゃうのに…… 」
厳蒔弓弦
「 問題無いだろう。
新種の呪靈を作る為の材料を欲しがっていたから、幻夢も鬼人族には興味が有るのではないか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そ…そうなんだ?
幻夢さんって呪靈が好きだよね…… 」
厳蒔弓弦
「 はははっ。
マオの為に張り切っているからな。
そう言えば、キョンシーの改良をする為の材料も探していたな 」
マオ:厳蒔弓弦
「 キョンシー…………。
未だ作ってるんだ?
鬼人族を使ったキョンシーなんて明らかに強そうだね…… 」
本当にオレの為なのかな……。
オレは別に呪靈もキョンシーも欲しがって無いんだけど……。
幻夢さんの “ オレの為に ” ってのは、絶対に建前だと思う!
厳蒔弓弦
「 先ずはミニマムキーノが回収した鬼の死体を見せてみると良い。
気に入れば、幻夢も直々にアジトへ出向くだろう 」
マオ:厳蒔磨絽
「 行きそうだね……。
そうなると《 貴族院 》や《 陰陽院 》の見学も出来なくなるよね。
キギナが怒るなぁ~~ 」
厳蒔弓弦
「 勝手に期待しているだけだろう。
放っとけば良い 」
マオ:厳蒔磨絽
「 弓弦さんはキギナに手厳しいよね 」
厳蒔弓弦
「 異性だからな。
こればかりは仕方が無い…… 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そだね… 」
そんな訳で弓弦さんとオレは地面に倒れている鬼をこのまま放置して《 厳蒔屋敷 》へ帰る事にした。
その前にミニマムキーノは笠の中から小瓶を取り出す。
小瓶の液体を掛けた後、ミニマムキーノはキノコン繁殖胞子を振り掛けた。
普通に見ただけでは胞子が付いている様には見えない。
キノコン繁殖胞子は意思を持っているらしく、目的地に到着すると勝手に繁殖してキノコンが生まれる恐ろしい胞子だ。
試作品らしいから生まれたキノコン達の寿命は1ヵ月程らしい。
キノコンは元々食用だから、寿命を終えたキノコン達はオレに提供する料理の食材として使われるらしい。
茸料理の中に元キノコンが “ 入っている ” かと思うと食べ難くなるから、頭を空っぽにして食べる事にしている。
“ 茸の王様 ” と言われるぐらい美味しいから「 これ、キノコンだ 」って判っちゃうんだけどな~~。
ミニマムキーノ
「 これで大丈夫ですエリ。
後は勝手にアジトへ帰ってもらえば良いですエリ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 ミニマムキーノ、貴重なキノコン繁殖胞子を使ってくれて有り難な 」
ミニマムキーノ
「 マオ様の為に使えるなら繁殖胞子も本望ですエリ。
マオ様に美味しいキノコンを召し上がって頂けますエリ♥️ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そだな…… 」
厳蒔弓弦
「 鬼人族の事は《 退魔仲介所 》のキノコン達にも伝わっているだろう。
瓦版,号外,依頼書は外されている筈だ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 キノコン達が動くからだね 」
ミニマムキーノ
「 マオ様,弓弦様、ボクはまた忍んで見守りますエリ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 うん。
手伝ってくれて有り難な 」
神出鬼没のミニマムキーノの姿が消える。
弓弦さんと共に≪ 平安京 ≫を目指して出発した。
◎ 訂正しました。
もらえないだろう。─→ もらえないだろう。




