⭕ 厳蒔屋敷 2
何でシュンシュンとキギナと一緒に≪ 和國 ≫に来ているかと言うと──、シュンシュンが陰陽術に使う道具を補充する為、作る際に必要な材料を≪ 和國 ≫へ帰省して集める事を聞いたからだ。
シュンシュンの帰省に同行する事を許してもらう為、セロに頼んだ訳だけど──許可する為の条件を出されてしまった。
セロから提示された条件は、≪ 和國 ≫へ死神のキギナも連れて行く事だった。
シュンシュンの相手をする “ だけ ” でも疲れるってのに、キギナの相手もしないといけないなんて、酷い拷問だよ!!
セロめぇ~~!!
「 セロも一緒に行こう! 」って誘わなかった事に対する嫌がらせじゃないよな??
いや、セロに限ってそんな事は “ しない ” って信じたいけど……。
でもなぁ……セロだしなぁ~~~~。
セロに直接確かめても華麗にはぐらさかれるだろうし──。
オレはセロを信じる事にした。
セロを愛しちゃってて惚れてるオレに出来る事は、セロを信じる事だけだ。
“ 信じきる ” のは難しいけど、信じるくらいなら猿でも出来る事だからな!
そんな訳で、キギナを誘ってシュンシュンと3人で《 陰陽術4事務所 》に在る魔法陣を使い、≪ 和國 ≫の《 厳蒔屋敷 》へやって来たんだ。
キギナも≪ 和國 ≫に興味あったし、丁度良かったのかも知れない。
確かに、シュンシュンの言う通り、≪ 和國 ≫で死神を見た事は無かったな──。
──*──*──*── 衣装部屋
分身体:キーノ
「 ≪ 平安京 ≫で着られている和装一式ですエリ 」
マオ・ユーグナル
「 有り難な、キーノ。
キギナ、この中から好きなのを選んで着てくれ 」
キギナ・メクド・ナール
「 …………何れも上質な生地じゃない!
≪ 日本国 ≫なら800万するわよ! 」
マオ・ユーグナル
「 そりゃ、貴族が着るもんだしな。
《 厳蒔屋敷 》の主人は “ 貴族 ” って事になってるし。
≪ 和國 ≫の陰陽師は殆どが貴族なんだ。
貴族じゃない陰陽師も稀に居るけど── 」
キギナ・メクド・ナール
「 ふぅん?
まぁいいわ。
今日から私も高貴な貴族の一員として暮らせるって事よね!
女物は動き難いから嫌よ。
男物が良いわ 」
マオ・ユーグナル
「 男装するって事か?
キギナなら──この紅葉柄が良いかな? 」
キギナ・メクド・ナール
「 紅葉は嫌いじゃないけど──、まぁ悪い色じゃないわね。
取り敢えず、それで良いわ 」
マオ・ユーグナル
「 キーノ、キギナの着替えを手伝ってくれな。
オレも着替えて来るからさ 」
分身体:キーノ
「 畏まりましたエリ 」
キギナの事はキーノに任せて、[ 衣装部屋 ]を出たオレは[ 自室 ]へ向かった。
──*──*──*── 縁側
マオ・ユーグナル
「 この法衣、弓弦さんが着てるのと同じだ! 」
分身体:キーノ
「 マオ様は退魔師なので、新たに用意させて頂きましたエリ。
弓弦様は紫色が基調でしたエリ。
マオ様は葵色を基調とさせて頂きましたエリ 」
マオ・ユーグナル
「 やっぱ、陰陽師の狩り衣より、此方の方が動き易いな 」
分身体:キーノ
「 剣を扱うマオ様に合わせて改良させて頂きましたエリ。
弓弦様の法衣は弓使いに適した改良をさせて頂いてますエリ 」
マオ・ユーグナル
「 そうなんだ?
細かい部分も考えてくれてるんだな。
有り難な、キーノ! 」
分身体:キーノ
「 痛み入りますエリ。
喜んで頂けて嬉しいですエリ(////)」
キギナ・メクド・ナール
「 まるで弓弦の息子みたいね~~。
並んでると親子に見えるんじゃないの?
同じ黒髪だし 」
マオ・ユーグナル
「 せめて “ 兄弟 ” って言ってほしいな。
“ 親子 ” なんて言ったら弓弦さん、ショックで寝込んじゃうかもだろ 」
キギナ・メクド・ナール
「 良いじゃないのよ。
弓弦は老け顔だしwwwww 」
マオ・ユーグナル
「 こら、キギナ!
弓弦さんは落ち着いてるから大人びて見えるんだよ!
老けてないんだからな! 」
キギナ・メクド・ナール
「 それを世間では、“ 老けてる ” って言うのよぉ~~。
ちゃんと覚えときなさいよ、マオ。
テストに出るから! 」
マオ・ユーグナル
「 出ないだろ…… 」
キギナ・メクド・ナール
「 弓弦って異性が苦手なのよねぇ?
ほんの少し肌が触れただけで全身に蕁麻疹が出来るなんて異常だと思わない?
あんなんで子作り出来るのかしらねぇ?
全身の蕁麻疹に耐えながら子作りする必死な姿の弓弦って、一寸笑えちゃうわよねぇ? 」
マオ・ユーグナル
「 それ、絶対に弓弦さんの前で言うなよ。
弓弦さんの耳にでも入ってみろ、確実に “ 蜂の巣の刑 ” が執行されるからな! 」
キギナ・メクド・ナール
「 何よ、“ 蜂の巣の刑 ” って? 」
マオ・ユーグナル
「 弓弦さんは弓使いのエキスパートなんだぞ。
法力を使った弓術なんて、破壊力と殺傷力がヤバくておっかないんだからな!
セロと幻夢さんの次に怒らせたら駄目な相手は、弓弦さんだと思ってるんだから 」
キギナ・メクド・ナール
「 一寸ぉ~~幾ら何でも大袈裟なんじゃないのぉ~~? 」
春舂霄囹
「 大袈裟なもんか。
キギナは救い様の無いアホの子だな 」
キギナ・メクド・ナール
「 なんですってぇ?! 」
春舂霄囹
「 此処に弓弦が居ない事に深々と感謝しとけ 」
キギナ・メクド・ナール
「 キィィィィ~~~~ムカつく言い方するわね、霄囹!! 」
現れたのは落ち着いた雰囲気を醸し出している成人男性の姿をしたシュンシュンだ。
10代後半じゃなくて20代前半だと思う。
口調は何時もと変わらないけど、声変わりしている。
マオ・ユーグナル
「 何かシュンシュンじゃないみたいだな…… 」
春舂霄囹
「 フフン!
青臭さが抜けて良い男だろ☆
今の僕は弓弦と同年だぞ 」
マオ・ユーグナル
「 同年?
24歳って事か? 」
春舂霄囹
「 そうだ!
どうだよ、僕の方が若々しいだろ☆ 」
マオ・ユーグナル
「 何処から聞いてたんだよ…… 」
春舂霄囹
「 そんな事は、どうでもいい。
これからの事を話すから良く聞け 」
キギナ・メクド・ナール
「 何でアンタが仕切ってんのよ。
仕切るのは主人のマオでしょ! 」
春舂霄囹
「 お前だけ《 裏野ハイツ 》に強制送還しても良いんだぞ。
僕にはそれが出来るって事を忘れるなぁ~~ 」
キギナ・メクド・ナール
「 はぁぁぁぁあん!?
何で《 裏野ハイツ 》なのよぉ!
せめて《 陰陽師4事務所 》にしなさいよ! 」
春舂霄囹
「 嫌がらせだ★
呉々も僕の機嫌を損ねるなよ~~ 」
キギナ・メクド・ナール
「 ムカつくわぁ~~~~ 」
マオ・ユーグナル
「 まぁまぁ、キギナ。
オレはシュンシュンが仕切ってくれて構わないよ。
シュンシュンに付いて来た立場だからな 」
春舂霄囹
「 キギナ、お前はマオの寛大さを見習え 」
マオ・ユーグナル
「 シュンシュン、話を進めよう 」
春舂霄囹
「 そうだな。
僕等は《 厳蒔屋敷 》を拠点に行動する事になる。
よって、滞在中は名前を変えて生活する 」
マオ・ユーグナル
「 それが良いな 」
春舂霄囹
「 僕は “ 厳蒔霄囹 ” と名乗り、陰陽師として活動する。
陰陽術,闇呪術に使う道具を作る為に必要な材料を調達するのが今回、滞在する目的だ 」
マオ・ユーグナル
「 うん 」
春舂霄囹
「 マオには前回と同様 “ 厳蒔磨絽 ” と名乗り、今回は退魔師として活動してもらう。
マオは基本的、自由行動だ。
──キギナ、お前は “ 厳蒔喜姫 ” と名乗ってもらう。
初めての≪ 平安京 ≫で不安だろうから、キーノを護衛に付けて適当に見学してろ。
僕は和國中を飛び回らないといけない。
お前の相手をする暇は無い!
無駄な騒ぎを起こしてキーノに迷惑を掛けるな 」
キギナ:厳蒔喜姫
「 随分な言い様じゃないのよ。
私を放置する気なの! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 オレも一緒に行動するよ。
≪ 平安京 ≫は広いんだ。
3人で回ろう 」
キギナ:厳蒔喜姫
「 マオぉ~~♪
流石、私の財布様ね♥️
頼りにしてるわぁ♥️ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 先ずは、財布を “ あるじ ” って呼ぶのを止めろよ…。
≪ 平安京 ≫の見学が済んだら、《 退魔仲介所 》へ行こう。
妖怪絡みの依頼が沢山あるんだ 」
キギナ:厳蒔喜姫
「 ふぅん?
妖怪絡みの依頼ねぇ。
良いわよ、優しいキギナ様が付き合ってあげる! 」
マオ:厳蒔磨絽
「 上から目線かよ…… 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 キギナの事はマオとキーノに任せたからな。
確り、やらかしたキギナの尻拭いしてやれよ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 嫌な言い方する~~ 」
分身体:キーノ
「 お任せくださいエリ!
証拠を残さず揉み消しますエリ★ 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 頼もしいな、キーノの分身体は!
流石は痛い天女の手綱を握ってるだけ有るな! 」
分身体:キーノ
「 お褒め頂き光栄ですエリ 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 別行動は明日からにして、今日は3人で近所を回るか 」
マオ:厳蒔磨絽
「 それ、良いな!
賛成~~ 」
キギナ:厳蒔喜姫
「 何処に連れてってくれるのよ? 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 大人が楽しめる場所さ★ 」
マオ:厳蒔磨絽
「 シュンシュンと違って、キギナとオレは子供の姿してるんだけどな 」
霄囹:厳蒔霄囹
「 16歳は大人だから安心しろよ。
≪ 和國 ≫の元服は10歳からだぞ 」
そんなこんなで、シュンシュン,キギナ,オレの3人で外出し、《 厳蒔屋敷 》の近所をキギナに案内する事になった。
◎ 訂正しました。
マオ ─→ マオ・ユーグナル
キギナ: 厳蒔喜姫 ─→ キギナ:厳蒔喜姫




