✒ 腹ペコ妖怪を退治しよう!
──*──*──*── 藪林の道
マオ:厳蒔磨絽
「 依頼書に書かれてる場所は此処かな? 」
厳蒔弓弦
「 もう直ぐ日が暮れるな。
気配を殺し、腹ペコ妖怪が出るのを待ってみるか 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうだね 」
弓弦さんと話し合って、気配を殺しながら、藪林の中に姿を隠して潜む事にした。
暫く待っていると2つの影が見えた。
子供が2人、歩いて来る。
背の高い子供は右手に荷物を持っていて、左手で背の低い子供の手を握って仲良く歩いている。
兄妹かな?
夕刻に子供が急ぎ足で道を歩いている。
荷物を持っているって事は、お使いの帰りかな??
お使いを子供だけに任せるなんて、親の顔が見てみたいな。
子供は肉が柔らかくて、香りが良いとかの理由で怪異に襲われ易い存在だ。
怪異にとって子供は御馳走だ。
怪異に襲われたらどうするだよ。
此処に出るのは腹ペコ妖怪らしいし……。
大人しく見ていると、子供達の前に誰かが踞っている。
さっき迄あんな奴、居たかな??
子供達は踞っている人物に駆け寄ると、心配そうに声を掛けている。
幼い子供は純粋で疑う事を知らない。
だから、子供の怪異絡み被害は無くならないみたいだ。
子供達は踞っている人物と話をしている。
踞っている人物の影がおかしい。
影が怪しく動いている。
彼奴は人間じゃない──。
子供達を引き離して、この場から避難させないといけない!!
オレが動こうとした矢先、弓弦さんが先に動いた!!
気配を殺したままだから、怪しい人物は近付く弓弦さんの気配に全く気付いてない。
オレも気配を殺したまま近付く。
踞っていた人物は子供達の前で本性を現した。
デカい蛇の怪異だ!!
オレは走りながら腰に提げている魔具刀の柄を握る。
何時でも抜いて斬り付ける為にだ!
2人の子供は本性を現したデカい蛇に驚いて尻餅を付いている。
背の低い女の子──妹がデカい蛇の恐ろしさに堪えきれず泣き出した。
デカい蛇は口から2本に分かれた舌を出していて、何時でも子供を呑み込める体勢になっている。
泣きじゃくる妹を守ろうと背の高い子供が両手を広げて立っている。
舌舐めずりしているデカい蛇が怖いのだろう、失禁をしても尚、兄として妹だけは守ろうと頑張っている。
なんて尊い兄妹の絆だろう──。
走っても間に合わないと思ったオレは威嚇する為に元素魔法を放とうと──する前に、弓弦さんがデカい蛇を背後から蹴り飛ばし、踏み付けたぁぁぁぁぁああああああ!!!!
あの弓弦さんが怪異に足蹴りするなんて──!!
でも、慣れてる感じ??
オレが知らないだけで、弓弦さんって結構な頻度で足蹴りとかしてるのかな……。
デカい蛇を踏み付けている弓弦さんには威圧感が有る。
さっきまで震える子供を喰べ様としていたデカい蛇が、弓弦さんに微々って震えている。
因みに2人の子供の動きも止まっている。
マオ:厳蒔磨絽
「 弓弦さん! 」
厳蒔弓弦
「 マオ、腹ペコ妖怪らしき奴を捕らえたぞ。
矢で射った方が良かったか? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 子供が巻き込まれたかも知れないし、矢は射らなくて良かったんじゃないかな?
子供が無事で良かったよ 」
厳蒔弓弦
「 未遂で良かったな、腹ペコ妖怪。
子供を喰らえば消し炭にしていた 」
マオ:厳蒔磨絽
「 消し炭は流石に勿体無いよ、弓弦さん。
キーノに頼めば、蒲焼きにしてくれると思うし 」
厳蒔弓弦
「 はははっ。
蒲焼きと来たか!
──聞いたな、腹ペコ妖怪。
お前は蒲焼きになれるそうだ。
良かったな 」
蛇の妖怪
〔 どうか……お助けを──!!
ほんの出来心でして──!! 〕
厳蒔弓弦
「 ほぅ?
お前は出来心で子供を襲うのか。
ならば、出来心で蒲焼きにしても構わないな 」
蛇の妖怪
〔 ひぃぃぃぃぃ~~~~!!
どうかっ、どうかっ、御慈悲を~~~~ 〕
マオ:厳蒔磨絽
「 駄目に決まってるだろ!
今回みたいた手を使って、今迄も人間を襲って喰らってたんだろ!
山賊とか盗賊とか野盗とか狙って襲うなら未だしも、無力な人間を襲って喰らってたんだろ!
自分が襲って喰らうだけの立場だって思い上がっていたのが悪いんだからな 」
厳蒔弓弦
「 そういう事だ。
マオの決定は覆らない。
諦めて蒲焼きになれ 」
蛇の妖怪
〔 く……くぅぅぅぅううううううう──。
腹さえ減ってなければ……お前達等に負けはしないのにぃぃぃぃぃ!!!! 〕
マオ:厳蒔磨絽
「 弓弦さんの弓技には敵わないって── 」
弓弦さんは覇気を出して、煩いデカい蛇の妖怪を気絶させた。
マオ:厳蒔磨絽
「 これで依頼を1つ、解決だね!
逃げずに良く頑張ったな。
もう暗いし、家まで送るよ 」
子供:兄
「 …………にいちゃん達は……誰?? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 弓弦さんとオレは退魔師だよ。
藪林の道に出没する妖怪を退治しに来たんだ 」
子供:兄
「 ひなちと僕は助かったの?? 」
マオ:厳蒔磨絽
「 そうだよ。
この道に出る腹ペコ妖怪──コイツは、蒲焼きにして食べちゃうから、もう襲われたりしないよ 」
そう言うと兄妹は互いの顔を見合わせ、安堵した顔になる。
兄は妹を立たせると土を払ってあげる。
妹思いの兄ちゃんみたいだな。
オレはミニマムキーノを呼ぶ。
忍んで監視していただろうから事情は知ってる筈だけど、理由を話して子供達を家まで送ってくれないかと頼んでみた。
ミニマムキーノは快く承諾してくれる。
子供を送る前に、ミニマムキーノには弓弦さんが気絶させたデカい蛇を笠の中へ入れてもらった。
これで今晩の夕食は巨大蛇の蒲焼き定食に決定だと思いたい。
子供を送り届けてくれるミニマムキーノを見送った後、弓弦さんとオレは《 厳蒔屋敷 》へ向かって歩いた。
シュンシュンが居てくれれば、転移陣で一瞬なんだけどなぁ~~。
セロに頼んで転移魔法を使える様にしてもらおうかな?




