第25話:「影の根源、決意の道筋」
火山地帯で遭遇した邪神ヴァリュエルの気配に圧倒され、陽介たちは戦うどころかまともにその場に留まることもできなかった。ドラゴン・ヴォルグランの背に乗り込み、一行は緊急帰還を決断した。
村への帰還と真相の説明
その日の夕刻、ハルス村に戻った陽介たちは急ぎ村長の家へ向かった。リーナが真剣な表情で言った。「村長、大変です。火山地帯に邪神が潜んでいます。とてつもない力を持っていて、ただ近づいただけでも圧倒されました。」
村長はその言葉に表情を曇らせ、「邪神ヴァリュエルが復活したというのか…。それが真実なら、この村は平穏を奪われるだろう。」と語った。彼の顔には恐れと不安が滲み出ていた。
ヴォルグランが大きな声で続けた。「人間よ、ヴァリュエルは我が巣を破壊しただけではない。この地を脅かすための力を蓄え始めている。我らが立ち向かわなければ、この世界全体が危険に晒されることとなろう。」
その言葉に陽介は唇をかみしめながら、「でも、どうすればいいんだ?僕たちには戦う術がない。武器も貧弱だし、攻撃の魔法も扱えない。こんな状況であの邪神に立ち向かうなんて不可能じゃないか。」と悔しさを口にした。
リーナも不安そうに言った。「私たちはずっと農場を守るために力を合わせてきた。でも、こんな巨大な脅威に対抗するなんて考えたこともないよ。」
村長の語る厄災
村長は深く息を吸い込み、静かに語り始めた。「邪神ヴァリュエルは古代の厄災として伝えられている。その力は、人間やドラゴンすらも凌駕するものだ。しかし、過去にヴァリュエルを封印した存在があると伝えられている。それは“古代の勇者たち”だ。」
陽介はその話に耳を傾けながら、「じゃあ、その封印を解く方法があるかもしれないってことですか?」と尋ねた。
村長は頷きながら続けた。「確かに、古代の文献には封印の力についてわずかな記録がある。しかし、それを解明するには時間が必要だ。今はまず情報を集め、対策を講じることが最優先だろう。」
立ち上がる決意
その夜、陽介は村の広場で仲間たちを集め、「僕たちはこれまで農場を守り、この村を支えるために努力してきた。でも、今度はこの村を超えて、もっと大きな危機に立ち向かう必要がある。」と語った。
リーナが心配そうに問いかける。「でも、本当にどうするの?対策も何もないままじゃ、ただ犠牲になるだけだよ。」ガルドも腕を組みながら「確かに。俺たちだけじゃどうにもならない相手だ。」と同意した。
陽介は深く息を吸い込みながら続けた。「だからこそ、まずはできることから始めよう。古代の勇者たちの封印の記録を探し、それを元に作戦を考えるんだ。」
ヴォルグランもその意志を受け、「人間よ。我が力が必要ならば、どこへでも連れて行こう。我らは共に進むべき道を探らなければならぬ。」と力強く語った。
次への展望
陽介たちは古代の文献を手掛かりにしながら、邪神ヴァリュエルに立ち向かう方法を模索することを決意した。しかし、その道は険しく、知識と覚悟が試されるものとなる。次回、第26話「勇者の遺産、封印の鍵」でさらなる真実が明らかになる。