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異世界救世主~憧れていただけのオレがチートで救世主!?~  作者: ヤギリユウキ


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18 異世界の門

 辺りが静かになるのを待って、姫は扉を少し開けて廊下を覗いた。

「よし、みんな行ったみたいね」

 慎重に誰もいないことを確認すると、二人は素早く召喚の間の前まで行った。ヴェルフに倒された二人の兵士が、仲間によって壁際に横たえられている。

「この扉の先は何があるかわからないわ。君は自分の事だけに集中して、異世界の門をくぐる事だけを考えなさい。いいわね?」

 姫は、扉の前でこれまでになく真剣に言った。姫のピリピリとした緊張感がシアにまで伝わる。シアは、ゴクンっと唾を飲み込み答えた。

「……わかった」

「準備はいいわね?」

 姫の最後の確認に、シアはカバンをぎゅと握りしめた。

「ああ、行こう」

 二人は扉を開けた。

 中には闇が広がっていた。一寸先も見えない。姫が廊下の松明を投げ入れる。カランカラン、と石の床を松明が転がり、部屋の中を照らした。しかし、何もなかった。扉も椅子も机も照明も窓も、そして異世界の門も……。だだっ広い部屋には何もなかった。

「ウソだ、この部屋じゃ、ない……!?」

 シアは、落胆した。やっと帰れると、やっと弟妹に会えると思ったのに。

「落ち込んでいるところ悪いけど、一度中に隠れましょう」

 姫は、近づいてくる足音に気づき、シアを連れて部屋の中に入り、扉を閉めた。

 すると、真っ暗だった部屋に突然明かりが灯った。驚いた二人が振り返ると、先ほどとは全く違う、異様な光景が広がっていた。

「なんだ、これ……?」

 部屋全体が青白く発光していた。床に壁に天井に、扉にさえも文字や記号や数字やらが描かれている。部屋をぐるりと囲む回廊のように、壁際の床に少しの空白が残っているだけで、あとはびっしりと何かしら書き込まれていた。そして、部屋の真ん中には巨大で重厚な門がそびえ立っていた。 

「あった……、あったわ! シア、あれが異世界の門よ! この部屋自体が魔法陣だったんだわ。だから、扉が開いているときは何もなかったのよ」

「あれが異世界の門……」

 異世界の門は開いていた。向こう側は見えず、真っ白の幕が張られているようだった。

「あれをくぐれば、やっと……」

 帰れる。突然、救世主としてこの世界に呼ばれ、やっと帰れる。長かった、辛かった、その上騙されていて救世主にもなれなかった。でも、国宝は貰った、これで紫苑を治せる。マイさんとドミニクさんを裏切ることになるけど、あの人たちもオレを騙してたんだから……。藍、紫苑、今から帰るね。

 シアは目を細め、異世界の門を見つめた。すると突然、真っ白の幕が渦を巻き、何かを映しはじめた。

 それは、どこか室内の光景だった。白い壁の明るいリビング、ソファーにテーブルにテレビに……。どれもシアには見覚えのある物だった。

「ああっ──ここは……」

 シアの胸が高鳴った。そこは、シアの家のリビングとそっくりだった。そしてソファーには二人の子供が座っている。二人ともテレビを見ていて顔はわからない。それでもはっきりと分かるほどどんよりと沈んでいた。テレビでは子供向けの大人気キャラクターが楽しそうにはしゃぎ回っているというのに……。

「藍!! 紫苑!!」

 気づいたときには、シアは力の限り叫んでいた。すると、二人の子供がバッと振り返った。

「兄ちゃん!?」

 あどけない顔を希望色に輝かせて、声の主を探すようにつぶらな瞳をキョロキョロと動かしている。シアの眼からつっーっと一筋の涙がこぼれた。それは紛れもなくシアの弟妹、藍と紫苑だった。

「シア、待って!!」

 姫の忠告もむなしく、シアは一歩踏み出していた。そして、魔法陣を踏んでしまった。

 部屋中にけたたましい警報音が鳴り響いた。

「侵入者発見! 侵入者発見!」

 次の瞬間、部屋全体が赤く光り輝き、何もなかった空間に二体のゴーレムが現れた。身長はシアより低いが、横幅がシア二、三人分と、えらくずんぐりむっくりとしている。全身がゴツゴツとした岩で出来ており、両腕は床につきそうなくらい長く、手は異様に大きかった。

 一体のゴーレムが異世界の門を守るように二人の前に立ちはだかり、もう一体は床に転がっている松明を、その長い腕で粉々に叩き潰した。

 シアは、咄嗟にバックステップを踏み、壁際にカバンを置いた。

 姫は逆に進み出て、素早く室内を見渡す。召喚士もいないし、他の精霊の気配もない。

「ってことは魂持ち!? 仕方ないわね、ここは魔法を使うしか……」

 姫は、手を前に出した、が何も起こらなかった。

「どうした?」

 シアが剣と盾を構え、姫の横に来た。

「魔法が使えない。どうやらこの部屋のせいね。魂持ちのゴーレム二体を魔法なしで、か。厳しいわね……」

 弱気な姫に、シアは強気に言う。

「あんなゴーレム、二体合わせても最初に見たゴーレムより小さいぞ」

 この世界に来てから色々なゴーレムを見てきたが、その中でも一番小さいし数も少ない。これならイケる、シアはそう思っていた。久しぶりに見た愛する二人の顔と、もうすぐ帰れるという思いが、シアに力を与えていたのだ。

「頼もしいわね。けど油断しないで。コイツらは小型だけどあれより遥かに強いわよ」

「マジ!?」

 シアは、思わず姫の方を見た。瞬時に姫が叫ぶ。

「バカッ! 前!!」

 次の瞬間、ゴーレムがドンっと、シア目掛けて突進してきた。

「速ッ……!」

 鈍重そうな見た目に油断していたシアは避けられなかった。なんとか盾で直撃は防いだものの、吹き飛ばされ壁に叩きつけられた。

「うぐっ!」

 ゴーレムの突進は、見た目通りの威力だった。シアは床に倒れ、すぐには立ち上がることができなかった。背中を強打し、息すらままならない。それでもシアは、すぐに顔を上げた。来るはずのゴーレムの追撃に備えるために。だが遅かった。すでにゴーレムの拳がシアの目の前に迫っていた。

「!?」

 ドシン! ゴーレムの右腕が床に落ちた。

「油断しないでって言ったでしょ!!」

 ゴーレムの拳がシアに届く前に、姫が横からゴーレムの右腕を切り落としたのだった。しかしその直後、もう一体のゴーレムが姫に向かって飛んでくる。攻撃後を狙われた姫は、ゴーレムが水平に薙いだ腕をかわせなかった。

「きゃあーー!」

 姫は、悲鳴を上げながら左後方へと吹き飛ばされた。

「姫ーー!!」

 シアは、叫んだ。だが、姫の方を見ることはできなかった。なぜなら、二体のゴーレムが今度こそトドメを刺そうと、拳を高く振り上げていたからだ。

(もう少しで帰れるのに……、すぐそこに藍と紫苑がいるのに……)

 コイツらさえ倒せれば、いや、隙さえあれば這ってでも異世界の門をくぐるのに……。ダメだ、身体が……。

「死にたくない……、助けて、神様」

 シアは、抗うことを止め、神に祈った。起き上がれない元救世主に、二本の巨大な石杭が襲いかかる。だが、シアに当たる直前でゴーレムたちの拳がピタッと止まった。

「助かった……?」

 シアは、呆然と呟いた。そんなシアを怒鳴り付ける絶叫が響いた。

「何諦めてるの、バカ! 死んだりしたら許さないって言ったでしょ!!」

 吹き飛ばされたはずの姫が異世界の門に向かって走っていた。

 二体のゴーレムは踵を返すと、飛ぶような速さで異世界の門と姫の間に割って入った。そして、異世界の門への接近を拒むように三本の腕で猛攻撃を仕掛けはじめた。

 姫は防戦一方。ゴーレムたちの攻撃を紙一重で避け、避けきれない攻撃は剣と盾で受け流し、じりじりと退いていく。

(あぁ、そうだ、オレは……)

 シアは、真夜中の君からその言葉を貰ったときのことを思い出していた。真っ直ぐな彼女の真っ直ぐな言葉に打ち据えられた、あのときの気持ちを。

「オレは、死ねない。絶対に……」

 痛みに耐えながら、シアは立ち上がった。しっかりと剣と盾を持ち、姫に助太刀しようと一歩踏み出した。だが、姫が叫んだ。

「来ちゃダメ! コイツらは門に近づくモノを狙っている! わたしがコイツらを出来るだけ遠ざけるから、合図したら全速力で門まで走りなさい!!」

 姫は、ゴーレムたちの猛攻を捌きながら、部屋の隅近くまで後退していた。しかし、姫の甲冑はボロボロだった。流石の姫も、二本の腕だけでは、ゴーレムたちの三本の腕から繰り出される猛攻を捌き切れなくなっていたのだ。どうにか直撃こそ避けているが、それも時間の問題のように思えた。

 シアは、姫の言葉を無視してもう一歩踏み出した。本当は駆け寄りたかった。だが、痛みで身体が言うことを聞かない。

 ゴーレムたちがシアの方を見た。すぐさま姫は一歩攻め入る。

「シア! 何やってるの!? 早くカバンを持って帰る準備をなさい!!」

「イヤだ! オレも君に死んでほしくないんだッ!!」

 あのとき言えなかった言葉が召喚の間に響き渡る。姫は一瞬目を丸くしてから、「バカね」と微笑んだ。それから、優しく諭すように言った。

「嬉しいけど、異世界の門が閉じかかっているわ。あれが閉まったら、わたしには開けられないわよ。さっき約束したでしょ? 君は自分のことだけを、異世界の門をくぐる事だけを考えなさい」

 シアは、バッと異世界の門を見た。ゴーレムたちに気を取られて気付いていなかったが、異世界の門はすでに半分ほど閉じていた。そして門の向こうでは、幼い二人が抱き合って大声で泣いていた。どうやら向こうからこっちは見えないらしい。二人はいくら探しても見つからない兄の姿に、さっきの声を空耳だと思ったようだった。

(藍……紫苑……)

 シアは、胸が張り裂けそうだった。

「あの子たちは君を必要としている。それに、こっちに君がいても何の役に立たないわ♪」

 姫は、最後に茶化すように付け加えた。そのとき、姫の動きが止まった。

「!?」

 最初に切り落したゴーレムの右腕が姫の足を掴んでいたのだ。

「なんでここに!?」

 姫は、素早く切っ先で靴の留め具を壊し、靴を脱いだ。が、ゴーレムたちは、その一瞬の隙を見逃さなかった。二体の渾身のストレートが姫に向かって放たれた。

 姫は、間一髪で上に跳んで避けた。そして、

「今よ、さぁ走りなさい!!」

 空中でシアに合図を出すと、そのままゴーレムたちの腕が交差している所に、全体重をかけておもいっきり剣を突き立てた。

 シアは、全速力で走り出していた。身体の痛みも忘れ、ただただ全力で。

 ゴーレムたちは、異世界の門への接近を感じ取り、攻撃対象をシアに変更した。だが、動けなかった。

「無駄よ。床まで刺さっているからそう簡単には抜けないわよ」

 姫は、ゴーレムの腕の上で剣を押さえながら不敵に笑った。すかさずゴーレムは、残った腕で姫を払い落とそうとする。

「そうくると思っていたわ!」

 姫は装甲の薄い肘を狙い、盾をフリスビーのように投げた。盾は寸分違わずゴーレムの肘に当たり、双方戛然と砕ける。

(よし、あとは抜けないように剣を押さえていれば、姫としての責任を果たせる)

 と思ったのも束の間、ゴーレムは拳を振り上げていた。右の拳を。切り落としたはずの右腕が元通りにくっついていたのだ。

「ウソッ、そんなのアリ!?」

 彼女は目を剥いた。ゴーレムは右の拳を振り下ろした。

(ダメ、防げない)

 彼女は、直撃を覚悟した。

「ハアァー!!」

 ブオン! 振り下ろされたゴーレムの拳は、姫には当たらずに空を切った。振り下ろす直前、横合いから走ってきたシアが勢いそのままにゴーレムを逆袈裟に斬り上げていたのだ。身体をナナメに斬られたゴーレムは、上半身がズレ、狙いを外していた。

「シア!?」

 彼女は、驚きながらも即座に動いた。剣を引き抜かずゴーレムの腕の上をダッと疾走する。ゴーレムの腕を裂きながら頭に近づくと、そのまま剣を振り抜いた。ズバッ! とゴーレムが輪切りになった。

 二体のゴーレムはほぼ同時に床に崩れ落ちた。

「はあはあ、やった、オレが、やったんだ!」

 息も絶え絶え喜ぶシアに、彼女は息一つ乱さずに叫んだ。

「何やってんの!? はやく門に向か──」

 ズシン! 言い終わる前に重い扉が閉まるような音が響いた。

 ハッとした二人が異世界の門を見た。案の定、異世界の門は見事に閉まっていた。

「ああぁ、閉まって、る……」 

 シアは、へたり込んだ。上から彼女が怒鳴る。

「何やってるのよ、バカッ!!」

 シアは、今にも泣き出しそうな顔で姫を見上げ、たどたどしく抗議する。

「だっ、だって、ゴーレムの腕が本体に戻っていくのが見えたから、助けなきゃって、無我夢中で……。でもオレ、役に立っただろ!?」

「あんな一撃でわたしが死ぬわけないじゃない!」

 キッパリと言い切ったが、確証があるわけではなかった。何せ彼女は、今までまともに敵の攻撃を受けたことがなかったのだから。確証があるのは、無傷では済まなかったことと、助けるべきシアに助けられたことだった。

 だからこそ姫は、シアに感謝するべきだと思っていた。だが、彼女の妙なプライドがそれを邪魔する。言わなきゃ言わなきゃ、と思えば思うほど、口から出るのは彼を責めるような言葉だった。「ありがとう」のたった五文字が、今の彼女には言えなかったのだ。

 彼女は、ため息まじりに続けた。

「せっかくの帰れるチャンスをムダにしてまで他人を助けるなんて、君はお人好しがすぎるわ」

 シアは分かっていた。自分より強い姫がゴーレムの一撃でヤられるはずがないと。それでもあの一瞬、助けたい、と思った。そう思うと、身体が勝手に動いていた。

 頭ではなく、心に身を任せたせいで元の世界に帰り損ねたというのに、シアは何だが清々しい気持ちだった。脳に酸素が足りないせいなのか、そして、もう一度そうしてみようと思った。

 シアは、立ち上がって姫を見つめた。その真っ直ぐな瞳に、彼女は思わず目を逸らした。シアの真っ暗な瞳に吸い込まれそうな気がして。構わずシアが勢いよく言う。

「だってオレ姫が……──」

 あまりの勢いに酸素が足りなくなり、シアはそこで一呼吸置いた。心は身が疲労していることを忘れていたのだ。そしてそれがまずかった。興奮していた心が一気に冷静になり、真っ白になった。それでも何か言わなければ、とシアは口を開けた。が、心に言葉はなかった。

 一方、彼女は、シアの次の言葉を心待ちにしていた。そして、そんな自分に戸惑っていた。シアに協力しているのは、彼がこの世界のために喚ばれた救世主、言わば国賓だから。国賓に協力するのは姫として当然の責務、と信じていたから。そこに個人的な感情など一切なかった、はずなのに……。

 二人の顔は、耳まで真っ赤に染まっていた。それは何も魔方陣の発する赤い光のせいだけではなかった。

 何度か口を開閉してから、シアは代わりの言葉を呟いた。

「……オレも姫に死んでほしくなかったから」

 思っていた言葉と違い、彼女は、ホッとしたような、残念なような、複雑な気持ちになった。そして、姫としてそんな自分を許せなかった。

 そのとき突然、部屋が真っ暗になった。二人は、慌てて武器を構える。

 部屋の入口から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「オイオイ、なんでまだシアがいんだよ!?」

 魔方陣が再び青白く光り出すと、そこにはヴェルフがいた。ヴェルフは大きな袋を提げていた。

「なんだ、ヴェルフかーーー」

 二人は色々ホッとして、ぺたんと座りこんだ。

「そんなことしてる場合じゃねぇぞ! 目的がバレたみたいだ、兵士の大群がここに向かっている。シアはとっとと帰れ!」

 ヴェルフは、危機感の欠如した二人に活を入れた。それから近くにあったカバンをシアに投げる。シアは、座りこんだままカバンをキャッチすると、諦めたように言った。

「ダメなんだ……。異世界の門が閉まったから帰りたくても帰れないんだ」

 ヴェルフは、目を見開いた。

「なんだと!? 何とかして開けられないのか?」

「今は無理ね。ただ、門が消えてないから何か方法があるはずよ」

 姫は、異世界の門を調べていた。

「だったらこんな城、早くおさらばしようぜ」

 ヴェルフが言ったそのとき、廊下から大勢の足音が聞こえてきた。

「チッ、遅かったか。ヤツらかなりの数で来やがった。他に出口はねぇのか?」

 ヴェルフは、扉を押さえながら聞いた。

「門以外何も無いよ!」

 シアが叫んだ。異世界の門以外何もない部屋、どう見ても逃げ道などなかった。

 ドンドンドンっと、扉を叩く音が鳴り響いた。続いて、兵士の興奮した声が聞こえた。

「やはり開きません! アデル王が睨んだ通り、賊はこの中です!!」

「扉を打ち破れッ!!」

 外の兵士たちは、ドン! ドン! っと扉を打ち破りはじめた。ヴェルフが必死に扉を押さえながら叫んだ。

「この扉はそんなにもたない。このままじゃ袋の鼠になるぞ!」

「けど地下だから窓も何にも無いんだよ!」

「そうだ! 拷問部屋に繋がる扉があるはずだッ!!」

「どこに!?」

 ヴェルフは、スンスンと鼻を鳴らした。そして、壁を指差し叫んだ。

「シア、そこの壁だ! 隠し扉がある」

 シアは、指された辺りに向かって走る。だが、青白く光っている魔方陣しか見えなかった。

「どこ!?」

「ああ、行き過ぎ! そこだ、そこ!!」

「ホントだ、ここに切れ目がある。で、どうやって開けるの?」

「知らん! 周りに何かないか探せ。オイ、姫も協力しろッ!!」

 シアとヴェルフが必死になって逃げ道を探している中、姫は一人、四つん這いになって床の魔方陣を調べていた。

「ああ、うん。シア、ちょっと後ろに下がってくれる?」

「えっ? こう?」

 シアは、言われた通り一歩後ろに下がった。そのときヴェルフが叫んだ。

「もう無理だ、扉が破られる!」

 バキバキ! と、扉が破られ、大勢の兵士が召喚の間になだれ込んだ。しかし、部屋の中はもぬけの殻だった。 

「誰もいない!?」

「クソッ! すぐに検問を敷き、王都から誰も出すな!!」



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