貴方なんかもう要らない。愛さない。私を愛し、必要としてくれる方と幸せになります。
「どうしたら私を愛してくれますか?
どうしたら私の名前を優しく呼んでくれますか?
どうしたら温かい眼差しで私を見てくれますか?
どうしたら私を抱きしめてくれますか?
どうしたら私を信じてくれますか?」
私は愛する人の前に座り込み問いただしていた。
一縷の望みを持って。
「そんな日は永遠に来ない。
いっさい期待するな。
俺の愛する女はエイミーただ一人だけだ。
お前では無い。
そして愛する者を傷つけた者を許しはしない!」
軽蔑な眼差し。
切り捨てる残酷な声。
目の前に居るのは私の夫だった。
私はルルーシュ・マフレア。結婚前はレイモンド侯爵家の娘だった。夫はリヒト・マフレア時期侯爵。
私達の結婚は家同士の政略結婚だったけど、私は夫に顔合わせした時に見た笑顔に恋をした。
そして結婚してから知った。その笑顔を向けていたのは幼馴染の女に対してで、私に向ける事は決してないのだと…。
愛しい夫が愛した女はエイミー・サルーン。没落貴族の娘で夫の両親が引き取り家族同然にマフレア侯爵家で暮らしていた。
私が嫁いでからは彼女は、私から嫌がらせを受けているけど大丈夫だとマフレア家の者に訴えながら、自分の存在がいけないのだとも言っていた。
周囲からは一生懸命なエイミーが可哀想だと。幼い時からマフレア家で育ったエイミーの言う事は皆が信じ、私は傲慢で意地悪な奥様だと噂された。
エイミーがお茶を飲み血を吐いた時も、一人の侍女が私の命令に仕方なく従い、毒を盛ったと言ったため、その言葉を皆が信じ私の味方はいなかった。
最後の望みとして夫と二人で話をさせて貰った。
そして全てが無駄なのだと、終わりで良いと悟った。
『……クラウド、助けて』
その言葉をルルーシュが発すると金色の光が部屋を埋め尽くし、金の一柱が天まで届いていた。
光の中に輝く金の髪に赤い眼の美青年が居た。
「やっと俺を呼んだな。ルルーシュ、俺の番になるか?
「私だけを愛してくれる?」
「もちろんだ。死んでもお前しか愛さない」
「私、貴方の番になるわ」
ルルーシュはクラウドが差し出した手を握った。
クラウドはルルーシュが幼い時に助けた金のドラゴンだった。ドラゴンは人型になることも出来る。
クラウドはルルーシュに助けが必要な時は俺の名を呼べとドラゴンの真名を教えていた。真名を知る者はドラゴンと魂を共有する事が出来るのだった。
成長するルルーシュを見守りながら、クラウドはルルーシュに恋をしていた。
番になる気はないかと問うたが、その時は既に王子様の様なリヒトに恋をしていたルルーシュは断っていた。
ルルーシュはリヒトとの薔薇色の結婚生活を思い描いていたが、エミリーの存在で現実は先の見えない霧がかかっだものだった。
今、ルルーシュはクラウドの腕にすっぽり抱きしめられた。
そんな二人のやりとりをみてリヒトは激怒し、二人に剣を向けた。
「エミリーの言うように、やはり不貞していたんだな!この売女が!」
リヒトが二人を切ろうとした直前部屋の扉が開き侯爵がリヒトを殴った。
「父上?何をするんですか!?」
「馬鹿者が!何故、竜王様に剣を向けた!」
「りゅ、竜王って!?人じゃないのか?」
「先程の金の一柱は竜王様が降り立った証拠だ!お前は何を勉強していたのだ!?
竜王様の一柱は城からも見えたはずだ!もうすぐ国王様方も起こしになられるはず!それなのに竜王様に剣をむけるなどと!我が家を潰す気か!!?」
「ほぉ、親はまだ俺の事が分かるらしいな」
クラウドはこの国の守り主であるドラゴンだった。ドラゴンの長である金のドラゴンが守るこの国に手出し出来る国は無くクラウドが居る限り最強の国であった。
「竜王様、愚息が申し訳ありません!」
「ルルーシュを我が妻にする」
「し、しかし、ルルーシュは我が家の嫁です!」
「正式には嫁でも妻でも無いだろう。教会は書類を受理していないし、ルルーシュは無垢なままだ。
そうだよなぁ?枢機卿」
ドアの方に語りかけたクラウドの返答を急いで室内に入ってきた教会の枢機卿が答えた。
「は、はい!この結婚は未だ教会預かりになっております」
「お前の言う愚息はその女に夢中でルルーシュを妻にする事はなかったんだよ。まぁそうでなければ、今頃生かしてはいなかったがな」
クラウドの口角は上がっていた。
リヒトはルルーシュに興味が無く、2人は白い結婚だったのだ。
クラウドは二人の結婚式の前日教会に向かい枢機卿に自分が認めるまで書類は教会預かりにし受理するなと伝えていた。リヒトの瞳にはルルーシュが映っていない事に気づいていたから。
「竜王様!何事ですか!?」
国王は王妃と宰相と共に息を切らし、侯爵家に来た。
「我の命の恩人であり、最愛のルルーシュ・レイモンドを悲しませる者に怒りを覚えてな」
「竜王様のお怒りは一体誰に?それに、ルルーシュ・レイモンドは1年前にこのマフレア侯爵の息子に嫁いだはずでは?」
「国王様、結婚は成立していません。書類は教会預かりになっています。その上お二人は白い結婚でございます」
国王の疑問に枢機卿が答えた。
その答えに誰しもが驚き、王妃が声を上げた。
「社交界でも噂にはなっていましたが、まさか本当だったとは……。
マフレア侯爵、私達女性は例え政略結婚でも家の為に結婚して、正妻として責務を果たします。それなのに妻を大事にせず、他の女にのめり込むご子息を嗜めなかったのですか?」
「いや…それは……」
マフレア侯爵が吃って挙動不審になると
「ルルーシュ!」
ルルーシュの両親、レイモンド侯爵夫妻が到着しルルーシュを抱きしめた。
「ルルーシュ、辛い思いをさせてごめんなさいね」
母は娘の身に起こっていた事を聞いて震えていた。
「もっと早く私が動くべきだった。すまない」
父は頭を下げた。
「いいえ。リヒト様に嫁げて嬉しいと伝えたのは私です。お父様とお母様は悪くありません」
両親に向かって微笑んだ。
「これから私はクラウドの番になり、クラウドと生きていきます」
両親と部屋に居る者達にルルーシュは宣言した。
「ルルーシュの言葉通りだ。国王、問題ないな?」
「問題ございません」
「俺の大事なルルーシュを傷つけた者達、見過ごした者達の処分はお前達に任せる。俺がやっても良いが、怒りが大きすぎてこの国全部を燃やしてしまいそうだからな」
「「「 …!!! 」」」
「ルルーシュ様を傷つけた者達は残らず我らが責任を持って処分いたします!」
「それならば我も今後もこの国を守ってやろう。ルルーシュの大事な親達も居るからな」
クラウドはルルーシュを抱きしめ自身の居城に消えた。
二人は甘い新婚生活を送っていた。人と竜王では寿命が違うが竜王の番になった者は竜王と寿命を共有することができる。二人は死ぬまで幸せな時を過ごした。
後にマフレア侯爵家は取り潰し。侯爵夫妻と子息リヒトとエイミーは国を危機に陥れた罪で生涯牢獄から出る事は無かった。
沢山ある中からこの作品を読んでくださってありがとうございます!
今年最後の作品です
評価頂けたら幸せます。
よろしくお願いします。
5月からなろうに投稿を始め、評価、感想、誤字脱字のご指摘など、ありがとうございました!
皆様からパワー頂きました!
来年も読んで頂ける、面白い、楽しい、元気になる、と言われる作品作り頑張ります!