表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/43

2. 異世界に転生したし、幸せスローライフが送れるらしい。

 ちょっと待て、誰だコイツ!?



 もう一度確認しようと顔のあちこちを触る。

 

 

 どうやら自分はこの顔に変わってしまったらしい。堀の深い目元やエメラルドグリーンの目、それよりかは若干濃い緑髪にシュッとして高い鼻。


 この顔、はっきり言って「イケメン」だ。


 気づけば、イケメンになった自分の顔をずっとみていた。

 前世でいえば西洋系の顔立ちだし、「顔が良い」となんか…ずっと見ていたくなる。


 毎朝鏡を見て醜さに絶望していた自分にとって、自分の顔が美しいということが新鮮だった。

  



 これでわかったことは、少なくとも俺は"別の存在"になった、ということだ。もっともそれが天使か別の人間かなんだかはわからないが、それだけはわかる。


 気を取り直して2階を探索しよう。


---


 2階に上がると、2つほど部屋が見える。

廊下の左右に面していて、左の部屋は少しドアが開いていて少し灯りが漏れている。 

 

 もしや、自分以外に人がいるのか?

 

 左の部屋のドアに手を掛け、そっと開ける。

 すると、自分と同じような髪色の男と茶髪の女が同じベッドで寝ていた。


 

 一体誰だろう?もしこの家に住んでいる人間ならば、何か聞き出して情報を得られるかもしれない。



 とりあえず男の方は怖いから、女の方にしよう。

 

 そう思い女の肩へ手を当て起こそうとした瞬間、自分に電撃が走ったような衝撃を感じた。


それは、俺が今最も知りたい「この場所」の正体や、この謎の2人の男女は誰かという情報が流れこんできたから。


いや、流れ込んできたというよりかは


「思い出した」


の方が近いかもしれない。




---


 



 ここは新大陸の四大国家の内の一つ、南に位置する「ノヴァク国」のエルデガルト領。


 

 そして自分の名前はダニール・コルト。

9歳になったばかりで、このコルト一家の一人っ子らしい。

 

 

 ベッドで寝ている男の方はディエゴ・コルト。俺の父にあたる。

 ノヴァク騎士団と呼ばれる組織の一員で、エルデガルト領の統治を担当するくらいには偉いらしい。

 よく見てみると、腕の方は傷だらけで体躯もがっしりしている。決して最強ではないが、かなりの強さを持っていると思われる。

 


 女の方は、ディエゴの妻アシュレイ・コルト。元冒険者で僧侶をしていた。

 ディエゴに命の危機を救われたらしく、それがきっかけで結婚まで行ったらしい。

 なんともロマンティック。


 この流れ込んできた記憶は、「俺」の記憶ではなく「ダニール・コルト」の記憶だ。


 冒険者との間に生を授かった子供はすくすくと育ち、

さあ!これからだ!というときに俺に意識を乗っ取られたらしい。

 中々酷いな、俺。

 

 まあ、恨まないでくれ。ダニールよ。俺もよくわかっとらんのだから。

 

 

 とどのつまり、俺は死んだ。そして他人になった。

少し受け入れ難いが、輪廻転生であるという点では納得できないわけではない。

 親も名前も違うのは当たり前だ。


 けど、どうやら世界も違うらしい。


つまりこれはあれだ。


 転生は転生でも、異世界転生だ。



---


 

 これは生前酷な仕打ちを受けた自分に神が授けてくれた褒美なのだろうか?

 


 ディエゴは騎士だから俺に剣術の手解きをしてくれるのだろうし、アシュレイは僧侶だから魔術の指南をしてくれるのだ。


 その訓練をしていく中で、剣術のスキルが卓越していたり、膨大な量の魔力を持っていることがわかるんだろうなぁ…


 

 これからきっと俺だけの特別な能力が発現したりして悪人相手に無双しまくって、可愛い女の子を侍らせてハーレムを作れるんだろうなぁ…


 はっきり言おう、死んでよかった。


 改めて感謝します神様、ダディー、マミー。


 

 明日から楽しみだ。俺の異世界チートスローライフが始まるのだから。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ