第八話
評価がつかない(泣)
「とりあえず話し合おうか」
「はい? 別に構いませんが……一体なにを?」
家に帰り、少しの休憩を終えた俺はそう切り出した。
「前提の再確認だが……セラたちは時が来れば公の前に姿を現し、宇宙人であることを公表するワケだよな?」
「はい。……はい、上もそのように言っています」
一度自分の知識で肯定したセラは、その後組織の上の者と連絡を取って再び組織の認識として肯定する。
「じゃあセラはその後どうするんだ?」
「……私たちは数多の星を調査し、その過程で気に入った星があればその者はその星の住人として溶け込みます」
「そうか」
正体を明かしたうえでどうやって溶け込むのかは謎だが、今はそこは重要ではない。
「まあ、確かに身分証明がちゃんとした文明で暮らすには明かして受け入れて貰った方が早いか?」
「いえ、それは……ええ。まあ後は私たちなりの誠意ですかね」
裏の世界のことには詳しくないから、『とあるサイトで戸籍を手に入れられる』といった類の都市伝説はあまり信じていない。
それに裏で手に入れられたとしてもそれが安全かどうかも分からない。
だから安全を選ぶならちゃんと宇宙人であることを示した方がそっちの方では楽なことは理解出来る。
受け入れて貰うまでの過程が面倒くさそうなことは確かだが。
「それで……結局セラはどうするんだ? 組織としての今後は聞いたがセラ個人のことはまだ聞いていない」
「私、私ですか……とりあえずこの星に受け入れて貰えるようになったらこの星、というか国が居住区という名の隔離区を用意すると思うのでそこで暮らそうかと」
「……そうか」
異星人。
政治や防衛的観点で言えば確かに隔離・監視を目的とした居住区を用意するのは当然だろう。
「流石にいつまでもシュウヤに迷惑をかけるのは……」
「別に迷惑ではない」
「え?」
「いたければ好きにすれば良い。無理に引き留める気はないが……」
セラは俺の人形ではない。
もしこの家にいるのが嫌ならば拘束するのは間違っている。
「いえ、嫌というわけでは――すみません、何故か仲間が盛り上がっていて……」
「……構わない」
「あと、今は方針を決めかねているようです」
「どういうことだ?」
「私は今回が初めての調査なんで知らなかったんですけど、以前類似した星の調査を行ったことがあるらしくて、この星の重要度というか期待度はかなり低いらしいです」
「そうなのか」
つまりセラたちはこの星に興味がないということか。
「ならセラはこの星から去るのか?」
「いえ、私個人としてはこの星で暮らすのも有りかと。さっき言ったようにその星に興味がある者はそのまま溶け込みますし」
「確かにそう言っていたな」
セラは興味がある。
だがその他の者は興味がない、という状況なのか。
「……仲間は皆この星に興味がないらしいです」
「じゃあセラ一人か。……仲間と一緒に帰るか? 一人では溶け込めないだろう」
「そう……ですね」
俺がそう告げるとセラは露骨に残念そうに俯く。
さらには生えていたアホ毛がテンションを表すように下がった。
生で感情表現可能なアホ毛を見れるとは……。
「……この星に残るなら一人の戸籍を偽装して一生バレないようにする程度平気らしいです」
「なら最悪セラ一人でもこの国で生きていくことは可能なわけか」
「ですね」
正直、どう話せば良いのか分からない。
セラと出会ってたったの二日。
俺の言葉などセラの中ではかなり軽いはずだ。
「仲間からは『そこで生きたいなら好きにしろ、技術も知識もお前のモノだ。我々の先祖が積み上げてきた叡智に比べれば貴様程度のは流出しようとどうでもいい』と言われました。よく分からないです。あとシュウヤに対するメッセージで『そいつのことを頼む』らしいです、そいつって私ですよね?」
「……多分な」
どうやらセラの仲間には分かっているらしい。
流石に積み上げてきたモノが違う、か。
「……セラ、結婚してくれ」
「はい。良いですよ」
「…………………………ん?」
「あれ? 結婚って相思相愛の男女が行う愛を書類にするというヤツですよね? 違いました?」
「い、いや……まあ違わなくはない? が? やけにあっさりしてるな……」
「そりゃあ私シュウヤのことが好きですし」
「マジ?」
「ええ。というか出かける前に言いましたよね?」
「言ってた……気がする。あまりにもあっさりしてたから忘れてた、というか友人としてみたいなものだとばかり」
「シュウヤと同じです。好きという感情は決して恥ずかしいモノなんかじゃありません」
「ああ、そうだな」
「なので私はシュウヤが好きですし、この星特有の結婚というモノをしても良いと思っています」
「そうか。……ちなみに理由は?」
「素直なところや思考が少し似ているところ、一緒にいて不快にならない雰囲気、落ち着いた声。……あとは、一応見た目もでしょうか? 普段は気だるげなんですけど考えている時はキリッとする眼つきや表情、単純に容姿が好みというのはありますがそれに関してはあまり重要ではないですね」
「そうなのか」
「ええ、ですから結婚して欲しいならしてあげますよ。こんな行く当てのない私を貰ってくれるというのなら大歓迎です」
「……結婚してくれ」
「……もちろん!」
正直評価がなくてモチベが上がらず、途中から適当になった自覚はあります
ちなみに一応これで一度完結です
そのうち見に来た時に評価が高かったら続きを書くor書き直して続きを書きます
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