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ブラックコーヒー
小さな頃は
とにかく早く大人になりたくて
一生懸命背伸びをした
周りより
常に先に行っていたくて
周りより
カッコよくなりたくて
ブラックコーヒーは
大人な感じがした
コーヒーは
嫌いだった
コーヒーは
何が美味しいのか
わからなかった
わからなかったけれど
休日に
美味しそうに飲んでいる
カッコいい
大人を見てから
ブラックコーヒーを飲めば
大人になれると思い込んだ
本当は
甘いジュースを飲みたいのに
無理して
ブラックコーヒーを飲み込む
まずくて
苦くて
おいしくない
でも
大人になれたと思って
何回も
何回も
ブラックコーヒーを飲む
それで
大人になんかなれないのに
飲むのを辞めない
早く早く
と気持ちばかりが焦る
ブラックコーヒーの味が
美味しくなることは
なかった
ブラックコーヒーの味が
わかることは
なかった
ぼくは結局
何なんだろうと
呟いてみる
大人になるって
結局なんだろう
ブラックコーヒー
美味しく飲みたい
ブラックコーヒーをふと飲みたくなって、そういえばブラックコーヒーを飲めばカッコいいと思い込んでいた時期があったなあと思い出しました。
いつもとはまた違った詩になっています。