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46話:無系統魔法を

 聖教会で魔導師としてこれから成長を続けていくためのスタイルを、神父さんに聞いた僕は悩んでいた。

 その四つのスタイルを簡単に言えば、


 1、オーソドックスな攻撃魔法を伸ばしていく火力型。

 2、魔法を効果的に連携させて使い分ける、コンビネーション型。

 3、前衛火力を妨害魔法で支援し、その攻撃に魔法をリンクさせて追加ダメージを狙う、アシスト型。

 4、遠距離攻撃専門で、近接に入ってくる魔物はパッシブカウンターで撃ち落とす、カウンター型。


 大きく分けてこの4つの中から、自分が最も得意とするスタイルを選んで伸ばしていくことになる。


「まず……オーソドックスな火力型は伸びの勢いもあると思いますが、頭打ちや限界に到達するのもこれが一番早い気がしますね」

「そうだね。魔法を無効防御するような魔物が現れると、一番に窮地に陥るのがこのタイプだろう。まぁそれはどんなスタイルの魔導師にも天敵と言えるかもしれないが……」


 神父さんは苦笑してそう言った。

 正直に言えばダメージディーラーには憧れがあるが、このスタイルには弱点も多い。


 しかしそもそもの火力がなければ、非力な魔導師、パーティーメンバーがいなければ何もできない魔導師になってしまう。

 火力を備えることは大事だが、それだけでは行き詰まるという話だ。


「2のコンビネーション型もどうもなぁ……。強いスタイルだとは分かりますが、これは大器晩成型ですね。そもそも使い分ける魔法の種類が多くなければ、通用しないでしょうし」


 豊富な魔法を利用して連携を狙うのだ。

 魔法の種類が多くないあいだは、どうしても戦型が限られる。


 自身は遠距離攻撃に徹して、魔物の近接にはカウンターで対応する4のスタイルが良さそうに思えるが……。


「ルークくんはロイとパーティーを組んでいるんだったね?」

「そうですね」


「だったらアシスト型はどうだろうか」

「リンクアタックという無系統の上級魔法を使って、前衛火力の攻撃に追加魔法ダメージを与えるんでしたっけ」


 神父さんは、うむ、と頷く。


「前衛火力の攻撃が強ければ強いほど、リンクアタックの威力は大きくなる。前衛の強さに比例して後衛が強くなるのも、このスタイルだ。きみたちのパーティーの主攻はロイだろうから、彼を援護するならこのスタイルが一番だと思う」

「でもこれだと、いざという時に自分一人で戦わなければならなくなると、何もできないことになりません?」


 リンクアタックは物理攻撃に反応して、追加魔法ダメージを与える魔法だ。

 肝心の物理火力がいない状況では、何もできない魔導師になってしまう。


「確かにね。でも迷宮探索は2人で潜るんだろう? まずはこのスタイルで自分を育ててみて、ロイの支援に徹する。そうして当面の課題をクリアしつつ、あとはひたすらレベルを上げて、単独戦でも有効な火力魔法やパッシブスキルを揃えていけばいいんじゃないかな。そういう風に成長していけば、きっとすべての魔法を覚えてあらゆるパターンに対応できるようになると思うよ」


 確かに。

 カウンター型で行こうかと思ったが、最強火力のロイさんを援護できるのは、この形が一番だ。

 悪くはない選択肢だと思う。


「……そうですね。パーティーの目標にも合致しますし、まずはアシスト型で伸ばしましょうか」

「いいと思うよ。なら目指すは、無系統の上級魔法『リンクアタック』の取得だね」

「そういうことになりますね」


 そうして僕は、現在のレベルで取得可能な魔法を見せてもらうことにした。



【ルーク 取得可能魔法・スキル一覧】


<新規取得魔法>


無系統初級魔法 スタンプショット

威力E 攻撃速度C 消費魔力E

(※特殊魔法 敵1体を『ターゲット状態』にします。この魔法自体には、ダメージはありません)



無系統初級魔法 小範囲探知

威力E 攻撃速度E 消費魔力D

(※常時発動型魔法(パッシブスペル) 小範囲の魔物、罠、宝箱、隠し扉を探知します。

 魔法のランクが低いことにより、探知できないものも多くあります) 



水系初級魔法 ウォーターデコイ

威力E 攻撃速度D 消費魔力C

(※支援魔法 水によってパーティーメンバー1人の分身を創り出し、敵のヘイトをひきつけます。

 なお、ウォーターデコイで作られた分身には、戦闘能力は全くありません)



土系統中級魔法 サイレントクライ

威力E 攻撃速度E 消費魔力B

(※妨害魔法 魔法による金切り声を上げ、敵全体を中確率で『沈黙』の状態にします。

 沈黙の状態異常にかかれば、スキルや魔法はほぼすべてが使用不可能になります)



<前回までに取得可能な魔法>

ファイアバレット

ファイアランス

フレア


ウォーターバレット

ヒール

キュア

アイスカーテン


サンドボール


サンダースネーク

ライゼスホーン


ウィンドボール

ウィンドショット


レイ



取得可能数 2




「今回は取得可能魔法が2ですね」


 さすがにアシスト型で行くと決めて、ホイとリンクアタックが覚えられるほど甘くはない。

 こういうのは無系統の初級魔法から地道に習熟度を上げていくしかないのだ。


「覚える魔法は、何にするかい?」


 ウォーターデコイやサイレントクライも非常に気になるが、無系統を伸ばし上級の『リンクアタック』を取得すると決めたのだから、まずは無系統の魔法を取るよりない。

 スタンプショットは現状では使い道のない魔法だから、とりあえず『小範囲探知』だ。


 これはパッシブスペルだから、ウンディーネの加護と合わせれば、物凄い勢いで魔力がなくなってしまいそうだが……。


「まず小範囲探知を」

「それがいいね」


 効果範囲にもよるが、この魔法があれば杖の探知アビリティがいらなくなってしまうから、この魔法を覚えるならそろそろ杖も変えた方がいいか。


「それから……」

 

 顎に手を当てて考え込む。

 アシスト型は前衛を妨害しつつ、リアクションスペルのリンクアタックで追加ダメージを狙うスタイルだ。


 なら、サイレントクライよりもウォーターデコイを覚えて、敵の攻撃を引き付けロイさんに自由に動いてもらったほうが、役に立つだろうか。

 しかしサイレントクライにて、敵の魔法やスキルを封じれるのは、かなりでかい。


 それに前回までに取得可能になった魔法群の中にも有益な魔法はたくさんある。

 効率的にアシストスタイルを極めるのならば、まずは妨害魔法の取得なのだけれど、実戦での強さとは効率性の外にあることが多いから、悩みどころだ。


「うーん……迷いますね……」

「だったらとりあえず、1枠は取得魔法を空けておくっていうのも手だとは思うが」


「いえ。その選択肢はナシでしょう。実際にゾンビボーンドラゴンに歯が立たなかったのですから、ここですぐに修正を加えておかないと、深い階層では戦えない」

「そうだね。失礼」


 神父さんは微笑して、首を振る。

 きっとすべてを分かった上で、僕が考えを整理する手助けをしてくれたのだろう。


「…………。では、とりあえず妨害魔法の取得を優先させようと思うので、2つ目はサイレントクライで」

「分かった」


 こうして僕は、『小範囲探知』と『サイレントクライ』を覚えることができた。

 それから聖教会を辞去して、やっとベッドから起き出してきたロイさんと合流し、ダンジョン探索へと乗り出すことに。

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【クリックで先行連載のアルファポリス様に飛びます】使えないと馬鹿にされてた俺が、実は転生者の古代魔法で最強だった
あらすじ
冒険者の主人公・ウェイドは、せっかく苦心して入ったSランクパーティーを解雇され、失意の日々を送っていた。
しかし、あることがきっかけで彼は自分が古代からの転生者である記憶を思い出す。

前世の記憶と古代魔法・古代スキルを取り戻したウェイドは、現代の魔法やスキルは劣化したもので、古代魔法には到底敵わないものであることを悟る。

ウェイドは現代では最強の力である、古代魔法を手にした。
この力で、ウェイドは冒険者の頂点の道を歩み始める……。
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