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SFシリーズ

機械仕掛けの神さま

作者: 独楽


 神さまがいました。

 神さまの背中にはゼンマイがあります。

 ゼンマイを巻かないと、神さまは止まってしまいます。

 チク、タク、チク、タク……。


 マザーグースは神さまのゼンマイを巻きます。

 それが彼のお仕事なのです。

 神さまが止まってしまうと、大変なことになってしまいます。

 チク、タク、チク、タク……ぴたり。


 ロンドン橋が落ちました。


 これは大変なことです。

 マザーグースは慌てて神さまのゼンマイを巻きました。

 カチカチカチカチカチカチ……。


「ルネッサーンス」


 神さまが動き出しました。

 これでひとまずは安心です。

 余暇に歌でも作ろうか、マザーグースはペンをとりました。



 バージリンの香りを楽しみつつ、木漏れ日に手を透かします。

 ちらりと神さまを見ると、チクタクチクタク……ちゃんと動いています。

 お茶請けのスコーンがなくなったので、台所へ向かいます。

 戻ってくると、神さまが止まっていました。


 あっちこっちで戦争が勃発していました。


 これは大変なことです。

 マザーグースは慌てて神さまのゼンマイを巻きました。

 カチカチカチカチカチカチ……。


「ルネッサーンス」


 神さまが動き出しました。

 これでひとまずは安心です。

 恐る恐る世界を見てみると、植民地争奪戦の後に、アメリカという国が出来上がってました。

 インディアン、嘘つかなーい。

 どうでもいいです。



 マザーグースはピザをパクついていました。

 別に関係ないかもしれませんが、インディアンってピザのイメージが強いです。

 自作トーテムポールにニヒルな笑みを浮かべつつ、世界を見てみると、そこらじゅうで戦争してました。

 どうやら、神さまの力が弱まっているようです。

 ゼンマイ式じゃ、もう手に負えない。

 そう思って、マザーグースは神さまの鼻の穴に電池を突っ込みました。


 どっかの島国でキノコ雲があがりました。


 これは大変なことです。

 マザーグースは慌てて電池を引っこ抜き、ゼンマイを思いきり巻きました。 

 カチカチカチカチカチカチ……。


「ルネッサーンス」


 神さまが再び動き出しました。

 これでひとまずは安心です。

 爆心地が綺麗な焼け野原になってしまいましたが、まあ、なんとかなるでしょう。



 やがてマザーグースは萌え文化に興味を持ちました。

 同人誌を片手に、スコッティに手を伸ばします。

 神さまが気になりましたが、ちょっとそれどころじゃありません。

 チク、タク、チク、タク……ぴたり。


 高層ビルに飛行機が突っ込みました。


 これは大変なことです。

 マザーグースは慌ててゼンマイを巻きました。

 カチカチカチカチカチ…………ボキッ。


「るrrrrrrrrrrrrr」


 神さまが壊れました。

 なんかもう面倒になったので、マザーグースはふて寝しました。




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