Q3.君と僕は?
「ん?どーした?」
首を傾げる、勇者(仮)。
いや、だって
嘘を吐いてる目じゃないって言ったって、
これを鵜呑みにするほど、馬鹿正直じゃないし。
てか、パーティーいないの?
普通、魔法使いとかいたりしない?
.........魔法使い。
はっ。もしかしたら僕、魔法とか使えたりして!!!
いやいやいや、
僕は、物理的な攻撃の方が性に合う気がする。
魔法(物理)みたいになりそう.....。
んー........でも、極大魔法をドーンとやるのは好きかも。
派手にやるのって良いよね★
「ね、ねぇ....無視しないでくれると嬉しいなー。なんて。」
「.........あ。」
勇者(仮)が、涙目になってこっちを見てた。
やべぇ....すっかり、忘れてた。
考え出すと周りが見えなくなるのは、僕の欠点だ。
早く直さないとなぁ..........。
とりあえず、えーと.........
「す、すみませんっ!!!
あなたが、勇者って聞いて驚いちゃて....」
……うん、嘘は言ってない。
上手に嘘を吐く為には、嘘のなかに真実をおりまぜる。
そうすれば、途端に見破りにくくなる。
まぁ、演技の基本かな。
でも、改めて考えてみると
コイツが勇者っていうのは、別にどうでもいいことだった。
僕の欲しい情報を話してくれれば、誰でもいいんだから。
それがたまたま勇者だっただけ。
まぁ、勇者って保証は無いけどね。
「あの、ここって何処ですか?」
僕は、あらかじめ考えた"私"の設定を話始めた。
「私、記憶が無いみたいなんです。目が覚めたらここにいて.....。
でも、ブランさんが来てくれて、安心しました。
何も分からない中、1人ここにいるのは心細かったから.....。」
そう声を震わせながら言うと
勇者(仮)は、動きをピタリと止めた
やべぇ....設定ミスった?
こんな都合の良い設定、疑って当然か.....。
そう思いながら、弁解しようと再び口を開こうとした途端、
勇者(仮)が僕の手を握り、大きな声で言った。
「大変だったな…でも、もう大丈夫だ!!!
俺が、暫く一緒にいるからさっ!!!」
「え」
うわー……信じたわ。
コイツ、詐欺とかすぐ引っ掛かりそう。
まぁ、その方が僕にとっては好都合。
曇りが1つもない笑顔で笑いかけてくる勇者(仮)に、
僕は対称的に張り付けた笑顔で答えた。
「ありがとうございます!!!」
Q.君と僕は?
A.正反対。まるで、光と影。