Q22.従者からの試験は?
「そう言えばー、ソラルちゃんだっけー?」
ブラン君を届けに街に向かう途中、どこか気まずい雰囲気を遮ってユノン君がそう訊ねてきた。
……まぁ、僕は気まずい雰囲気とか気にしてはないんだけど。
「うん、そうだよ。」
僕は鞄から本を取り出して、パラパラと目を通しながら頷いた。
こいつは本当に僕に害を与える気は無いみたいだし、むしろ守ってくれる勢いだし。それにブラン君をあっさり倒しちゃうくらい強いし、安全だよね。
本読むくらいの余裕は、あると思うんだ。
「んー、そっかー。じゃあ、ソラルちゃん。魔王様のことどう思ってるか聞いていいー?」
それに僕は本から目を離さないまま、即答した。
「大切な親友だよ。」
その僕の言葉にユノン君は、進む足をピタリと止めてこちらを見た。
「……へー、そっかー。成る程ねー。親友ねぇー。」
そのどこか含みのある言い方に、僕は視線を本からユノン君に移した。
「……何?何か文句あるわけ?」
それにユノン君は僕の質問に答えずに、小さく笑ってまた街の方に歩みを進めた。
「いいやー?別にー?」
そう言ってユノン君は、もう何も言わなかった。
でも、僕は歩み出しユノン君が小さく呟く声がたしかに聞こえた。
『まぁ、合格かなー。魔王様に会わせても大丈夫。』
……僕は、試されたってことかな。
別にどうでもいいけど。
ここで殺されたら、それまでだったってこと。
僕は実際一度死んでるんだから、今さら怖がること無い。
まぁ、黒に会えるかもしれないところで死んじゃうのは残念だけど.……。
「合格したなら、何よりだよ。ユノン君。」
僕がそう呟くと、ユノン君は一瞬足を止めてまた小さく笑ってから、再びすぐに歩き出した。
それから、僕たちは話すこと無く街に向かった。
___さっきまでとは違って、どこか居心地の良くなった雰囲気で。
Q.従者からの試験は?
A.主に害がないか確かめるもの。




