Q17.神様からのお詫びは?
「……久しぶり、カナ。」
僕はブラン君と食事に行った後、宣言通りに眠りについた。
そして目を開けたら目の前にはニコニコ笑ってるカナ。
……どうやら僕はまた夢の中の謎の空間に来てしまってるらしい。
「うん♪久しぶりー☆徹夜とか良くないよー??」
「まぁ、そうだけど……。慣れてるから。」
僕がそう言うと、カナは言ったわりには全く気にしてないようで、明るく笑い流した。
「そっか☆あ、そういえば聞きたいことがあったんだー♪」
「聞きたいこと?」
僕が首を傾げて聞き返すと、カナは頷いた。
「そうだよ☆空チャンって、いきなり連れてこられちゃったでしょ?だから、お詫びって言ってはなんだけど……。1つお願い事叶えてあげる♪」
……マジかー。
願い事、ね。考えれば考えるだけ出てくるけど……。
「何でも良いの?」
何か制限があるなら、願い事も変わってくるし。
僕はそう思ってカナに聞いた。
「んーと。そうだなぁー……。空チャン自体を変えることとかは出来ないかな☆例えば、こんな顔にしたいとか♪他は大体OKだよ☆」
僕自身を弄る以外なら、大丈夫ってことか。
…まぁ、今さら変えたいとか思わないけど。
そんなことに願い事を使うとか、勿体無さすぎる。
「こっちに来る前なら、空チャン自体を変えることも出来たんだけどねー♪」
こっちに来た時点で、変更は出来ないってことね。
ゲーム始めたら、アバターチェンジが出来ないって感じか。
「ふーん。じゃあさ、僕のお願い言って良い?」
僕がそう言うと、カナは決まるのが早いことに驚いてか、目を見開いた。
「え。もう決まったの?早いね☆勿論だよ♪」
それに僕はカナに向き合って言った。
「魔法使えるようにしてよ。」
図書館には魔道書の類いは全くなくて、学びようがなかった。
大体、ブラン君みたいに剣だけでモンスターに挑むとか自殺志願者すぎる。
僕は別に死に急ぎたいわけじゃないし………。
その点魔法なら、遠距離からの攻撃も出来るし安全だよね。
まぁ、ある程度はブラン君に剣術を教えてもらうつもりだけど。
この世界は重力があっちの世界より小さいみたいで、体も軽いから剣術も護身術程度には出来るようになると思うし。
それにあっちの世界でも運動神経は良い方だったし、なんとかなると思う。
「良いよー♪相変わらず、夢の無い解答だね☆魔法は空チャンの世界じゃ、架空の夢物語でしょ?それなのに魔法を使いたいって言うより、身を守る為に必要だから。って感じだね♪」
「当たり前でしょ。僕だって、モンスターに剣で挑むほど狂ってないよ?」
そう言うと、カナは楽しそうに笑った。
「あはは☆そうだねー♪空チャンの言うことは、もっともだ☆あ、魔法は使えるようにしておくね♪」
「うん。ありがと。」
「構わないよ♪元々、お詫びだからね☆」
あー……。そっか。
僕がお礼を言う必要性は、皆無じゃん。
まぁ、いっか。これで1つの問題は解決したわけだし。
「これからは、ブランクンと旅するつもりなの?」
不意に聞かれて、僕はカナの方を向いた。
カナは相変わらず何考えてるか分からない笑顔でこちらを見ていた。
そして、僕はその質問に疑問を抱いた。
「………カナって、読心術使えるんじゃないの?」
そう僕が言うと、カナは頭を傾げながら言った。
「んー……。そうなんだけど。空チャンの心って、ノイズが入って妨害されることがあるんだよねー☆」
カナは何でか本当に分かっていないみたいで、心底不思議そうな顔をして僕を見ていた。
ノイズが入って妨害される?何でだろ。
「あ、僕が別の世界の人だからとかじゃない?」
そう言うと、カナは首を横に降った。
「今まで連れてきた人は大丈夫だったよ?空チャン、何かあっちの世界で変なのに関わったー??たまに世界渡る人もいるからさー……。まぁ、大体渡れるのは人外だけだけど☆」
世界を渡る?人外?
何か頭が追い付かないわ……。
「いや、僕は変なのなんて見たこと無いけど……。」
変なのなんて見たら、忘れないよね?
人外って、要はモンスター的なやつでしょ?
……うん、見たこと無い。
「ふーん。そっか☆あ、そろそろ起きる時間だよ♪」
カナがそう言うと、僕の視界はだんだん暗くなった。
……魔法使えるようにするの忘れてないよね?
そんな不安を残しつつ、僕の意識は闇に沈んだ。
Q.神様からのお詫びは?
A.願い事の成就。魔法を使えるようになりました。




