Q13.大量の硬貨の使い道は?
「んー……。」
僕は服屋で服を見ながら、首を傾げた。
服なんて目立ちさえしなければ、何でも良いんだけど……。
この世界ではどんな服が普通なのかなー。
「空チャーンっ!!!これとかどうかなー♪」
「んー?……はぁ?」
カナの呼び掛けに振り向くと、カナの手にはゴスロリの衣装。
確実にあんな服着たら今より悪目立ちするだろ。
「……ふざけんなよ、カナ。」
僕は最高の笑顔でカナの足を踏み潰した。
「痛ーっ!!!」
そのカナの大きな悲鳴に似た叫びに、周りの人が集まってきた。
それに僕は、笑顔を顔に張り付けた。
「すみません。足を角にぶつけちゃったみたいで。」
そう言うと、集まってきた人達は興味無さそうに散っていった。
周りに人がいなくなったのを確認してカナの方を見ると、痛さに涙目になっているカナは足に手をかざしていた。
手からは不思議な淡い光が出ている。
「……何それ。」
僕が聞くとカナは、顔を上げて笑って答えた。
「魔法だよー☆治癒魔法♪」
え、魔法?
……あぁ、このカナの世界だもんね。
勇者もいる世界だもんね。魔法とかもあるよね……、うん。
「……そんな怪我に治癒魔法とか豪華すぎない?」
治癒魔法の使いどころはもっと他にあると思うんだよね。
それにカナは治癒が終わったようで、立ち上がった。
「ま、僕だからね☆」
「まぁ、カナだし。仕方ないか。」
あれ?何か今の会話可笑しいような……。
..........はっ!!!何か当たり前にカナだから仕方ないみたいな雰囲気になっちゃったんだけど!!!
「あは☆諦めも肝心だよ?」
そう言ってカナはゴスロリの衣装を元々あった位置に戻して、また服を物色し出した。
諦めも肝心、ね。
色々諦めたから今の僕がいるわけで、そんなことは分かってるんだけど。
「.........そーだね。」
僕は静かに呟いた。
カナは聞こえたのか、こちらに振り向いて笑った。
「ソラルーっ!!!こんなのどうかなっ!!!」
僕とカナのどこか重い空気を壊すように、ブラン君が一つの服を手に持ってやって来た。
それに僕はすぐ笑顔を顔に張り付けた。
「え。どんなのですか?」
僕が聞くと手に持ってる服を、顔の横まで上げた。
「これだぜっ!!!」
ブラン君の手元にあるのは、いたって普通の服。
いや。まぁ、僕がいた世界では普通とは言えないかな。
でも、一応この中では常識人のブラン君が選んだんだし……。
この世界で目立つ服では無いよね?
なら、それでいっか。
服にたいしたこだわりも無いし。
「おぉ!!!せっかくブラン君が選んでくれたんだし、それにします。」
そう言うとブラン君は嬉しそうに笑って、その服を持って店の奥に消えていった。
それに隣でカナがつまらなそうに、口を膨らませた。
「ボクが選んだ服は着ないのに、ブラン君が選んだのは着るのー??」
それに僕は、溜め息をついた。
「まともなの持ってきたら着るよ。」
「ふーん……。そっかぁー。」
僕の言葉に頷くと、ふらっと店から出ていった。
……どこ行くんだろ。まぁ、カナは神様なんだし心配する必要は無いよね。
そう思ってると、ブラン君がいつの間にか戻ってきていて、袋を手渡された。
「えっと……?」
僕が何か分からずに首を傾げると、ブラン君は笑って言った。
「俺からのプレゼント!!!今度から着てね。」
袋を開けると、さっきの服が入っていた。
今カナと話してる間に買ってきてくれたんだ……。
「ありがとう、ブラン君。」
僕はブラン君に笑いかけると、ブラン君も満足そうに笑った。
……やったぜ。タダで服を手にいれた。
まぁ、金はあるんだけどね!!!カナからかなり大量に貰ったし。
……僕、宝くじ当たったら貯金する派なんで。
使わなくて良いなら、貯めておきます。
だから、なにも言わずに貰っとこ。
……うん。ブラン君、ごめんよ。
Q.大量の硬貨の使い道は?
A.貯金しますけど?え、なにか問題でも?




