12.乾 東悟のとある決断
ついに敢然とチート拒否する主人公とそれに待ったをかける神様。タグに誤りはありません。
ちなみに祝3000PV、500ユニーク突破です。ヒャッハー!! 新鮮な読者様だぁーっ!! 全モヒカン歓喜。
ご愛顧ありがとうございます。皆様が見てくださることが創作の励みになるのです。有難いことです。
――――俺は思いっきり悩んだ。
異世界移住に伴う神様特典、最近の流行で『ズル』と呼ばれるそれを、自分は一体どう言う内容で貰うべきなのか。
それは一晩さくらの家の客間で寝ても思い付かず、さくらを手伝って家庭菜園の世話をしてみても、小学校のころミニバスに所属していたという彼女とフリースロー勝負をしても、縁側でスイカを頬張って庭で種の飛ばし合いをしてみても、俺の脳内から記憶を吸い出してついに完結した異世界版『ぼくの○球を○って』を2人で夜なべして読みふけってもまったく妙案は思い浮かばなかった。1週間ただ遊びほうけていたとも言う。見た目中学生の女の子とオッサンがひとつ屋根の下とかどこの赤○次郎だとか俺自身そう思わなくもない。実に罪深い。天罰が下るだろうか。神の手違いで一度覿面に死んではいるんだが。
とは言えだ。そんな俺にだって言い分はある。盗人にだって三分の道理はあるのだ。
どれだけ考えても、今までの前例をつぶさに見ても、さくらの助言に耳を傾けてみても。
一向に、俺が欲しい『特典』という奴がピンと来ないのである。何かが違うと俺の心が叫ぶのだ。
その声に俺はずっと心を傾けてきた。縁側で昼寝しながら、お茶の間でテレビを見ながら、さくらの『漫画部屋』で彼女の漫画コレクションを読みながら。
そんな魂の腐るような深い思索を繰り返し、俺は必死になってその声の正体を探り続けてきた。そしてようやく、最近になって俺は心の輪郭をはっきりさせることに成功したのだった。
あとは決断あるのみである。俺はついに、さくらに話す決心をした。
「――――実は、話があるんだが……」
夕食後。
ロースの良いところを使った、衣サクサク肉ウマーのトンカツを美味しくいただき、風呂も使って2人でテレビ(かなり古めの、どこかで見たような記憶のある刑事ドラマだった)を見ていた時に、俺はついにそう切り出した。
俺の雰囲気を察してか、お下げを解いた湯上がり姿で姿勢を正すさくら。俺もTシャツ短パンの部屋着スタイルでいそいそと正座になって彼女に相対する。俺はちゃぶ台の上に置いてあった缶ビールと茹でた枝豆の皿を脇に退けてから、小さく息を吸い込んだ。
「……ああー。まず、……長い間、お世話になって申し訳ない」
「いえ、それは本当に気にしないで」
さくらが俺の感謝の言葉に謙遜する。「わたしも久しぶりに同級生に会ったみたいで楽しいですし」と手を左右に振った。本当に有難いことだった。俺もここでの暮らしは楽しかった。俺は久しく味わっていなかった家庭の温もりのようなもの味わった。それは本当に、いつ以来のものだったのか。
しかしもうこれ以上は彼女の厚意に甘えてはいけないだろう。これ以上の滞在は迷惑だし、俺自身も後ろめたさに気が詰まる。筋道はもう用意して貰っている。これからはまた俺の人生だ。それは俺1人で進むべきものだった。俺はもう一度、心から有り難う、と頭を下げた。
「でだ。貰えるって言う特典について、俺はずーっと考えてたんだけど……」
ここからが本題である。
ミーリアに渡るに当たり手に入れられる様々な『人生の特典』。
それはミーリアのそれより魂の輝きの眩い地球人ゆえに与えられるものであり、同時に神様の罪滅ぼしでもあるという。また日本よりまだ未成熟で危険も多いミーリアで生き抜くために必要な措置でもあるとか。これからの人生を左右する重要な決定である。さくらも真剣な表情でこちらを窺っている。そして俺は自分の決断をさくらに告げた。
「考えた結果、例の『基本セット』? アレ以外には必要ないかなー、って。そう思ったんだよ」
「…………へ?」
「……特典の件、なんだが……。
特典そのものを辞退する、って事は可能だろうか……?」
「えええええええ――――――――っ!!?」
さくらの素っ頓狂な叫び声が茶の間に響き渡る。
俺の結論。それは言葉以外には特典は要らないと言う『特典拒否』だった――――
※ ※ ※
「まままま待って、待ってください……!!
ちょ、ちょちょちょっとちょっと落ち着いて――――っ!!?」
「いやいやいやいや。お前がまず落ち着けって……」
「これが落ち着いていられますかぁっ!!」
よく取り乱す神様である。
「……ど、どう言うことか、おお伺いしても……?」
目が遊泳しまくっているさくらが目と同じようにブレにブレきった声で聞いてきた。どう言うことかと聞かれても、ミーリア標準語の読み書き以外にズルは要らないって、ただそれだけのことである。
「……ずっと考えていたんだがなあ。
俺って、餓鬼の頃からの信条に、『分不相応なモノは持たない』って言うのがあってな? で、いくら考えてみてもこの『特典』って、分不相応の固まりな訳だろ?」
本人に何の魅力もなくともハーレムを成立させる能力。
本人の資質ではなく、たまたま上位世界に生まれたためにもれなく付いてきた魂の輝きなんて言う曖昧なものによって得られる力。これが分不相応でなくてなんだというのか。
特典を貰えるって聞いてからずーっとそれが引っ掛かっていた。
何か俺の信条というかワガママみたいな物に反しない程度の特典はないものかと悩んでみても、なにひとつとしてしっくり来ない。ぐるぐると自分の尻尾を追い掛ける犬のように悩み続けて1週間。いっそ「特典なんて要らないんじゃ?」と開き直ったらすとんと完璧に腑に落ちた。
無力のまま異世界に渡る不都合や危険より、俺が俺であろうとすることにどうしようもなく納得してしまったのである。などというと格好付けすぎだろうか。
「で、ですけどね!? 特典がないと、日本育ちの方じゃミーリアは危険なんですよ!?」
「って言っても、地球でだって変なところに迷い込めば普通に死ぬことだってあるだろう?
異世界だから下駄を履いて良いなんて、実のところなんの理由にもなってない」
地球にいたって列車事故で人はあっさり死ぬのは体験済みだし、世界の紛争地帯とかヨハネスブルグみたいな犯罪多発地域に行けば向こうでだって普通に危険は転がっている。モンスターがいるから戦う手段をくれなんて強請るのは、自分に銃を突き付ける強盗にお前だけ武器を持っててフェアじゃないと食って掛かるようなものだ。甘えなのだ。
俺がそんな趣旨の説明をすると「屁理屈! それは命の危険を知らない人の理屈ですよ!!」とさくらが俺を指差して叫んだ。何故かえらい怒っている。
まあ強盗に殺されそうな人間が聞いたら何を贅沢なと思う理屈ではあるが、こっちだって言った以上は命懸けだ。さくらには悪いが好きにやらせて貰うのである。
「まあそんな訳で、最低限の言葉だけはどうしようもないので融通して欲しいんだが、それ以外は本当に何も要らないんだな」
「ちょっ、まっ!! ホント死にますって!! ミーリアを舐めると死にますって!!」
冬山登山の心得みたいな事を言うさくらである。
「あー。一度死んだ身だからこれからは好きに生きていこうって事で、ダメか……?」
「ヤダァ――!? それ『野垂れ死ぬのも俺の自由だ』みたいな、そう言うことですよねえ!?
男だったらもっと前のめりでギラギラと生きましょうよ――っ!!」
「えー。俺ってもともと物欲少ないし」
「虫だって自分の身ぐらい守りますよう!?」
「人だからこそ益体もない自分の主義に体を張るという選択肢が生まれると思うんだが」
「ああ言えばこう言う!」
だあ――っっ!! と叫んで机をばんばん叩くさくら。その勢いにちゃぶ台の上の枝豆が宙を舞う。俺はビールとかをいそいそと畳の上に避難させた。その様子になんでそんなに冷静なんですかと余計にキれられた。神理不尽である。
「ホントになにもないんですか? 欲しいものとか、したいこととか!」
「…………ないなぁ」
「東悟さんは修行僧か何かですか!?」
その答えに愕然とする神様。
『求めよ、さすれば与えられん』とは某聖書の一節だが、さくらはきっと俺に頼って求めて欲しかったんだろうなあ、と思う。彼女の顔は『求めて!? じゃないと与えられない!!』と無言で叫んでいた。
この1週間で彼女が世話好きであることも、やはりどうしようもなく自分と同じシステムの被害者に対する思い入れが強い事もよく分かっていた。
俺に出来る限りのことをしたいと思うのだろう。その手を振り払おうというのだから申し訳ないことだった。自分でも頑なだとは思うのだがどうしようもないのである。
「……神様に欲の少なさをなじられるほど無欲じゃないんだが……」
「じゃあ何でも言ってくださいよ!」
「……んんー」
「ホラなんにも出てこないんだぁ――――っ!?」
「ああー……」
……要は、本当に欲しいものは特典では手に入らないと言うただそれだけのことなのだ。
神様でも盆から零れた水を元に戻せないと聞いている。なら俺の願いは未来永劫叶わないのだ。そして俺はそれ以外のものを欲しいとは思わないだけなのである。
「……ホントに、何にも要らないんですか……?」
「……だなあ」
「だから、それじゃ冗談とかでなくミーリアだとすぐ死んじゃうんですよう……」
くてえっ、とさくらがちゃぶ台にくずおれた。台にぺたんと顔をひっつけたまま、上目遣いに口を開く。
「東悟さん……? スゴい特典が要らないって言うなら、ちょっとした、自衛程度に限定した能力とかはどうですか? それなら東悟さんの希望にも適うんじゃ……」
「んー……。それは最初はそう考えたんだけどさ。やっぱり『何の苦労もなく身につけたもの』って言うのは身に余る力じゃないのかなあ、と思うとどうも」
「……じゃあ、今結論を出さないでもっとよく考えて……」
「いや。1週間は長すぎた。これ以上世話になるのは本意ではない」
「……わたしはもっとお世話したいのに……」
「その気持ちは本当に有難いが、これ以上いてもきっと結論は変わらないからな」
「ええー……」
俺だって、別に自殺願望がある訳じゃないし最初はさくらの言う通りの事を考えていた。だが結局、1週間の迷走の結果辿り着いた結論が『特典拒否』だった。
持ち慣れないものを持ったばかりに身を持ち崩すのは金に限った話じゃない。子どもが本物の拳銃なんて持ったらいつか使いたくなるだろう。誰かと喧嘩したとして、手に拳銃があれば我慢出来るはずの怒りにすら暴発してしまうかも知れない。それは『在るがゆえの』悲劇だ。自分のことを子ども並みとまでは思わないが、自身の自制心に俺は絶大な信頼なんて与えてはいないのだ。そしてそれはどれだけ考えたとしても変わらない俺の結論である。
そう言うとさくらはちゃぶ台に伏したまま「……東悟さん頭固すぎる……」と盛大なため息を吐いた。まあ確かに。その点は俺にも自覚はあった。
「……だいたい、何でそこまで『分不相応なものを持たない』って事に拘るんですか?」
本当に命がけなんですからね? と哀願するような口調を滲ませてさくらが言った。そっちは何でそんなに俺に特典を取らせたいんだ、とは言わない。彼女の言う通り無印の乾東悟には危険な世界なんだろう。ゲーム感覚だと以前笑った剣の才能だとかそう言ったチートだって言うなればモンスター的存在すら跋扈する異世界で自分の身を守る最低限の武力とも言える。まあ人生を楽しむ、ならまだしも人生にゲーム感覚を持ち込むのはちょっと……と個人的には思うが、それでもその点はこの1週間彼女に見せて貰った資料で熟知している。しかし俺だって熟知した上で言っているのだ。熟知した上で、裸一貫を希望しているのである。
「……それは俺の信条……」
「だからどうしてそう言う信条を持つようになったんですか」
「……やっぱり聞きますか。それを」
「そりゃ聞きますよ……」
上目遣いなさくらの視線と俺の視線が絡んだ。ぐてぇとちゃぶ台に伏していても、その瞳は強く俺の方を見据えている。どうやら納得しない限りは俺の希望を叶えてくれないらしい。俺は思わず頭を掻いた。それでもさくらはひたと視線を向けてくる。俺はため息を吐いた。
「……昔身に余る大金を持っていたことがあってな? それでひどい目にあって以来の教訓なんだよ」
「……はい」
「だから。そういうこと」
「……はい?」
「…………」
「って……、それだけですか……?」
もっと凄いエピソードを期待したか? しかし俺は彼女のそんな考えを鼻で笑って見せた。
「それだけって……お前知ってるか? 昔は普通に付き合ってた人が、金が絡んだ途端鬼か夜叉かってぐらい激変するんだぞ? アレを体験したら例えば特典で大金貰ったって『コレで安泰じゃぐへへ~♪』なんてとても思えないから」
俺の言葉に、「あう」とさくらが言葉を失う。どうも彼女にも似たような経験があるようだ。神様に上り詰めたような子なのだから、見た目はともかく俺よりもよほど強烈な人生経験は積んでいるはずなのだ。
「……確かに、その手のひどい手のひら返しは昔さんざん経験しましたけど……」
やっぱりな。さすがのゴッデス、理解が早い。
「な? だったら俺の言ってることも理解出来るだろ」
な、な? と畳み掛ければ、さくらは頭を上げて軽くのけぞった。しかし敵も然る者で、このまま押し切れるかと思ったが怯んだのは数瞬のこと、すぐに体勢を立て直して腹に力を入れている。
「で、ですけどね? 東悟さんだって引っ越しするのに着の身着のままでそこに行く訳じゃないですよね? 新しい生活をはじめるのに、何かをあらかじめ用意しておくことは身に余る、とは言わないんじゃないですか!?」
「む。なかなかしぶといな……」
「頑固なのは東悟さんですよう!」
あくまで俺に特典を貰って欲しい様子のさくらだった。しかし何でそこまで固執するのか。俺は自分を棚に上げてまじまじとさくらを見た。彼女は訴えかけるような眼差しを必死になって向けている。するとその様子に俺は、嫌なことをひとつ思い付いてしまった。
「……なあさくら。お前、なんか俺に特典貰って貰わないと不味いことでもあるのか?」
「ふへ?」
「お前まさかとは思うけど、『魂の有効利用』みたいな理由で『特典』を付けずには移住出来ない、とか言わないよな……?」
「!! ……そ、それだ!! それです!! まさにその通り!!」
「……ああ。それはないんだな。よく分かった」
「ええ――――っ!!」
「いくらなんでも『それだ!!』、は無ぇよ!!」
その手があった!! みたいな感じで目を輝かせてる時点でさくらの大嘘確定である。それにしたってとことん腹芸が苦手な神様である。焦って損した。
俺の魂がミーリアに送られることが利益になるように、特典を俺に付けることが何か神様サイドの利益になっているのかとカマを掛けたが、システム的には俺が裸一貫異世界にいくことには何の支障もないことがさくらの態度で証明された。小さな口先の勝利にほくそ笑む俺。しかし、そんな俺にさくら怒りの不意打ちが炸裂した。
「分かりました! 今日から特典を持って移住するのは義務です!! 今決定!! 神決定!!」
「ちょ!? おま、無茶苦茶言うなよ!?」
まさかのブチ切れ、最高神さくらのゴリオシ=ジツである。もうヤバレカバレだ!?
「何が無茶苦茶なんですか! 世界のルールは私が決めてるんですよ!? つまりわたしの言葉がルール! わたしが正義!!」
「乱心するな最高神!! 駄々っ子か!!」
「だったら最高神の言うこと聞いてくださいよお!!」
「だから、俺の生き様に口を挟むなっつーの!!」
「神様に自殺幇助させないでください――――っ!!」
「死ぬ気なんてサラサラねえ!!」
「死にますね!? ミーリア行ったらすっぴんの東悟さんなんて、あっと言う間に野獣に襲われてぺしゃーですよ、ぺっしゃーっ!!」
不毛な言い合いの末、両手で蚊でも潰すようなジェスチャーをするさくら。その「ぺっしゃー」という言い方が、『ぺ』と『し』の間の撥音に珍妙なタメの効いた、やたらと耳に触るムカツク言い方だったので、頭に来た俺は思わずさくらの頬を両手で潰してやった。ぺっしゃー、と。
「なにを――――むぎゅんっ!?」
「ホレホレ♯、ぺっしゃーか? ぺっしゃーっていうのはこんな顔のことを言うのんか……!?」
柔らかい頬を『ぺっしゃー』にされて、さくらは見るも無惨なひょっとこ顔になる。変な顔の神だ。略して変顔神である。
俺は良いツラだと笑ってやった。すると変顔神が真っ赤になってちゃぶ台の下から俺の向こう臑を蹴る反撃に出た。こなくそと俺は頬を挟む動きに上下のムーブメントも加えてやる。涙目になり蹴りに本気の勢いを乗せてくる変顔神。両者懸命の応酬が続く。まあ客観的に見れば幼稚園児の喧嘩のノリであるが、本人たちは結構真剣だ。
「痛ッ!? 地味に痛ッ!!」
「はにゃしぇ、離ゃしてぇ~っ!!」
「だったら巫山戯た決定を取り消して――痛っ!! だから蹴るなぐはあ―――――ッッ!?」
「こにょっ、こにょお――――っ!!」
「……ま、まてそこ、そこはア――――――――ッ!!」
ちゃぶ台の下で、さくらのノーモーションからの低空ドロップキックが空前絶後な角度で股間に突き刺さる! ゴウランガ!!
「――――――――」
「ふ、2人でか、考えよう!? もう一度、東悟さんも納得のいくような方法を、ね? ね――――!?」
拘束を解かれ頬をリンゴのように真っ赤にしたさくらが俺に涙目のまま問いかける。俺は畳の上に倒れ伏し、脊椎反射の実験で電極を差し込まれたカエルのように四肢をピクピクと痙攣させていた。その倒れ様は、俯瞰で見ればきっと大晦日の第○第横綱の如き敗北の様式美に満ちていたことだろう。
言葉無く(悶絶しているとも言う)地に伏す俺と、必死に特典を取るよう訴えるさくら。夜深い日本家屋に少女の悲痛な訴えは木霊し、男の無言の叫びは闇に消えた。大立ち回りに電灯の紐は、ただゆらゆらと揺れるばかりであった。
……何だこの茶番。
俺が1週間の沈黙を破り『特典拒否』を告げた晩。
俺はキレたさくらに『特典拒否拒否』をされ、茶の間のマットに沈んだ。
あの12.31の『AK○BONO』の衝撃は今でも忘れられません。数ヶ月前からメディアでたっぷり大物感を演出し、名勝負の気配を呷るだけ呷ってあの素晴らしい負けッぷり。そこに至るまでの時間を全て使った渾身のコントのような、極上の人生劇場を見させていただいた気分でした。
あの方が素晴らしい横綱であることに私は異論を挟みません。しかしあの試合を見る限り、あの方の本分は総合格闘技にはなかったと言わざるを得ないのでしょう。
しかし、大晦日に民放3局で格闘技イベントをやっていた、あんな時代はもう2度と来ないかも知れませんね。以上、懐古厨格闘技ファンの与太話でした。訳が分からない方は申し訳ありません。