なるようになれ
北條学園高等部棟の上空でバッサバッサと鳥が二匹飛んでいた
「ケケケケ良い香りがするぜ・・・」
一方の鳥が喋るともう片方の鳥が言い返す
「ああ確かに旨そうな匂いだ・・・だが今は狩れないな」
「あ?なんでだよナブル」
ナブルと呼ばれた鳥は顔をしかめた
「わからないのかべルル…これだけの人間がいては誰にも見つからずに狩るのは不可能だ。それによく匂いを嗅いでみろドブ臭くないか」
べルルと言われた鳥はナイフの様に鋭い鼻をヒクヒクと振るわせた
「確かにドブ臭い精霊の匂いがしやがる……だがなんも力の波動をかんじねぇ」
「そいつが力を抑えてるだけかもしれん、狩るのは夜まで待つんだ」
「いいじゃねえか今やっちまおうぜっ!俺は・・・オレはもう腹がへってガマンできねぇんだよっ!」
鳥は汚くよだれを垂らしながらすでに臨戦態勢に入っていた
「いいから夜まで待つんだ。あまり大事にはしたくない」
「うるせー俺に指図するんじゃねーぜ、ケケケケこのさい下にいる人間全部喰ってやる!!明日のニュースは『学園、謎の大量虐殺事件!』ってトコか!ヒャャハハハァっ!!」
とんでもない事を言いながらべルルと呼ばれた鳥は凄まじい早さで急降下していった
「アイツはまさに愚の骨頂だな・・・・そうは思わないゼガル」
いつの間にかナブルの後ろには黒いローブで全身を覆った男が現れていた
「まあいいではないですか。これで上物の魂が手に入るなら良し、もし下にいる精霊とやらに殺られても邪魔な馬鹿が消えてくれてそれはそれで良しです」
「それもそうか・・・そういえばあいつにいつも兄貴面するなと言われたよ」
「ククク・・・駄目な弟を持つと大変ですね」
「全くだ」
アキラは有栖川を無視して席を立った
その瞬間教室の窓ガラスがガシャーンと音を立てながら勢いよく飛び散った
教室が一瞬で騒がしくなるがすぐ。ガラスの破片で怪我をした者が入るらしく倒れ込んでいる者もいる
「!!?」
「なんだなんだ!?」
「カマイタチか?」
皆何が起こったのか判らない様子で混乱しているらしい。何が起きたのか一瞬で判ったのはただ一人虎神アキラだけだった。アキラの視界にはでかい鳥のような生物がいる。だが手足があり獅子のような牙があり体長も鳥ではありえないサイズだ。
アキラ以外にはベルルの姿が見えないらしく誰一人逃げようともしなかった
「(お、おい嘘だろ…あれが悪魔!?駄目だ、怖え、俺はずっとあんな奴に襲われつづけるのかっ!?)」
「おいアキラどうした?おまえやけに顔が真っ青だぞ」
佐倉大介がからかうように話かけてきたがアキラにそれを聞いている余裕がなかったのか完全に無視している。
ベルルはクラスの人間が怯えて混乱しているのを満足そうな顔でながめていた。
「ケケケケこれだけ人間がいると上物が誰かわからねぇなぁ。まあ全部食えばいいかケケ、まずは女から喰ってやる」
ベルルはヨダレをだらだら垂らしながら嬉そうに狙いを定めようとしている。
ベルルのセリフを聞いたたアキラは背筋が凍りつきそうだった。
このままだと大量の死人が出てしまう。
しかしアキラが逃げるように呼びかけたところで何人の人が動いてくれるか解らない。
皆ガラスが割れた程度としか思ってないのだ。
「(おいリースどうにかしろよっ!!このままだと大変な事になっちまうぞっ!おいコラ!聞いてんのか!?)」
アキラが小声でリースが居る腕輪に話かけるが全然反応がない。
「(おいどうしたんだよリース、リース……………ん?」
腕輪から微妙に音が出ている気がしたので耳を当ててみた
スースースー………
「(寝息?もしかしてコイツ寝てるのか。そういえば校舎にはいってからヤケに静かだったな・・・・・ってやばいぞ!起きろ!バカ!)」
スースースーーー・・・・
駄目だ、完璧に起きそうにない。一人でなら逃げれるかもしれない、しかしそれでは確実にこの場にいる者は殺されてしまう。
「くそ!一人だけ逃げるわけにもいかないし、こうなったら腕輪の力を使うしか・・・・・・・・・・ってどうやって使うんだっ!?」
アキラはリースと朝いろいろな話をしたが肝心な腕輪の力を引き出す方法を教えてもらってないのだ。
そんなことは関係ないとばかりに怪物が動き出した。一人の生徒を今にも切り裂こうと鋭い爪がついた腕を振り上げている。狙われているのは・・・・・・・・・有栖川真衣だ。有栖川の容姿は悪魔をも引き寄せるものらしい。当の本人は窓ガラスが割れても冷静で「誰か先生呼んでくればいいじゃない」っとか言っている。
近くで人が・・・人間が殺されるであろう数秒前の光景を見て勝手に体が反応して声を上げてしまった
「有栖川!!横に飛べっっっ!!」
パソコン買ったので執筆すぴーどが飛躍的に向上すると思います