すみれが取り持つ縁ならば
今の季節にピッタリのお話です!(^_-)-☆
「わあぁ!!」なんて桜に見とれていたら、恐らく昨日降った雨のせいだろう……アスファルトの上には花びらの絨毯が敷かれている。
まだ天気はどんより曇り空
昨日の日曜は私の高校入学の前祝を兼ねて、満開の桜を見に、家族みんなで出掛ける予定だった。
しかし生憎の雨で中止となり、お父さんが一番がっかりしていた。
で、そのお父さんが今朝何をしたかと言うと……出勤前に私を呼び付けてわざわざ制服に着替えさせて並んで写真を撮った。
私の部屋(なんかヤバい物が写って無いか心配なのだけど)から始まってリビング、お庭、そして家の前と……勿論、私とお母さんを並ばせて撮った枚数の方が全然多いのだけど……お母さんにお願いして、その場ですぐ私との2ショット写真を自分のスマホに送って貰っていたから……
「本当は、自分が澄玲と並んでいるのを撮ってもらいたかったのよ!」とお母さんはクスクス笑ってた。
そんなお父さんだから「会社休んで入学式を観に行く!!」と散々ごねて……“女二人”が総スカンしてようやく阻止したのだ。
後ろ髪を引かれまくっているお父さんを送り出して、私はブレザーを一旦脱いでハンガーに掛け朝食のテーブルに着いた。
「今日もそうだけど! なんかおかしくない?! いくら一人娘だからって、ちょっと変態じみてる!!中学の時はここまで酷くなかったのにっ!!」
トーストを齧りながらお父さんの事をディスってると、お母さんは私の前にハムエッグの皿を置いて
「まあ、そんなに怒らないであげて。お父さんはきっとお母さんとの事を思い出しているのよ」と微笑んだ。
ウチのお母さんは超絶美人で……昔から授業参観の時は、男女関わらずクラスのコ達の注目の的だった。
小学校の頃は、それが自慢だったけれど……どうひっくり返してもお父さん似の私は『この母にしてこの子あり!』には到底なれず、中学に上がる頃にはそれなりにイジケた。
そのイジケ虫がこの“良き日”にも顔を出してしまう。
「そりゃあ!~お父さんはさ! お母さんみたいな綺麗な女の子と付き合う事になるんだから、いい高校生活だったと思うよ!
でも、私はお母さんと違うから!!
全然綺麗じゃないし髪だってくせ毛で猫っ毛だから!昨日みたいな雨の日は大変!!
なのに眉は太くて……小学校の頃は男子から『両さん』って呼ばれてたんだからね!!
ホント!最悪!!
あ~あ!! やっぱり共学じゃなくて第一志望のフェリア女子に行きたかったなあ~
熱発してなきゃなあ~」
そんな私をお母さんは事も無げにあしらうのでちょっと悔しい。
「そうねえ~澄玲は凛とした美少女なれるのに……詰めが甘いの!!
これに懲りて次の受験の時はうたた寝なんかしない事ね!
でもね! お父さんも私も、澄玲が西高へ行く事になったのは悪い事じゃないって考えてるの!
その訳はね!
『小学校の時より中学校、中学校の時より高校の方が集う生徒の“色”は似て来る』って思うから。ほらっ!受験があるでしょ?!
それが、更に“女子”しかいないという事は……もっと“多様性”を失う事!
言い方はちょっとアレだけど、男女の性差をジェンダーの域にまで広げた視点を持つ事は、多様性の尊重の一つの在り方だから。
そう言う事を学校で自然にできるといいなあって思う!
学校は仕事じゃなく勉強をしに行く所。
たとえ失敗しても大丈夫だよ!ってところだからね」
こうして……
なんだか、お母さんに『いい様に丸め込まれた』感はあるけれど、私は真新しいスクバを肩に掛け学校へ向かったのだ。
駅から高校へ向かう途中に桜並木があるのは知っていた。
けれど帰りはお母さんと買い物に行くから、満開の桜をゆっくり見れるのは登校時。
私はローファーで水たまりを踏まない様に気を付けながら桜を見上げる。
グレーの空を背景にしても満開の桜は鮮やかで、ちょこちょこ見える若葉も可愛い。
「でも、道路にこんなにも花びらが散りばめられているから……花はいつまで持つのだろう?」と目をやったアスファルトの端っこに紫色の可愛いお花を見つけた!
「あっ!スミレ!!」
まるで私の心の声にリンクする様な男の子の声に……不覚にも「(私の)名前、呼ばれた??」と振り返ったら、声を発した男の子から『?』の目で見られた。
ああ!!!!
ヤバい!ヤバい!ヤバい!
このネクタイの模様と色!!
この男の子!西高の1年じゃん!!
しかもこんなイケ麺!!
反則じゃろうて!!
「アハハハハ……ごめんなさい、名前呼ばれたって思っちゃった……」
「名前??」
「うん、あの、私の名前、さんずいの“澄”に王へんの“玲”って書いて『すみれ』って読むんです! あっ! 苗字は片岡です!!」
もう半分ヤケでまくし立てた私にカレはちょっと気圧された感があったけど、キチンと言葉を返してくれた。
「オレ……ボクの名前は大陸の陸! 苗字はこの……花の桜に井戸の井です」
「えっ?! 桜井って他の字があるの?」
「旧字とか三文字の人が居るらしいよ」
「えっ?! どんな字??」
学校へ向かう道すがら交わしたこの会話が始まりだった。
陸くんは西高で出会った初めての男の子で……
この出会いが運命だったかの様に、ふたりで色んな初めてを経験する事になり、私の高校生活はとても充実している。
因みにスミレの花は、お母さんとお父さんの思い出の花でもある。
だから大切な一人娘にどうしても『澄玲』と名付けたかったと……
お父さんから、この由来を聞かされた。
聞かされた時は、すっかりデレちゃったお父さんに半ば呆れちゃったけど……
今は私も陸くんと……
そうなりたいなって
思ってるんだ!
おしまい
私も今朝、道端でスミレを見つけました(#^.^#)
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