12月18日(水):国連加盟記念日
12月18日、水曜日。山本家の朝は、いつもより少し早く始まった。
「今日はなんの日か知ってるか?」朝食の席で、祖父の勝が孫たちに問いかけた。
「えーっと…クリスマスじゃないし、冬至でもないし…」愛がパンを口に運びながら考え込む。
「今日は国連加盟記念日。日本が国連に加盟して68年になるんだ。1956年のことだったな。」
「国連って何するところ?」海斗が首をかしげる。 「戦争が起きないように国同士で話し合ったり、貧しい国を助けたりするところだよ。」母の結衣が優しく説明する。
「でもさ、そんな昔のことより、今日の数学テストの方が大事じゃない?」愛が少し投げやりに言うと、海斗が反発した。 「おじいちゃんの話、面白いじゃん!もっと聞きたい!」
勝はそんな二人を微笑ましそうに眺めながら言葉を続けた。 「おじいちゃんが小学校の先生だった頃、国際理解の授業で世界地図を使って説明したことがあったんだよ。国連に加盟してる国々がどれだけ団結しているかを、子どもたちに教えたくてね。」
「団結か…でも、今の世界ってケンカばっかりな気がするけど。」愛が少し寂しそうな顔をする。
「そうだな、愛の言うことも正しい。」勝が頷く。「でも、こうやって家族が一緒に食卓を囲むように、小さな単位での団結が大きな力につながるんだ。家族が仲良しなら、それがやがて地域、国、そして世界に波及していくかもしれない。」
「おじいちゃん、話うまいね!」海斗が目を輝かせながら手を叩いた。「学校の先生だったのがわかるよ!」
「確かに、今日一日そんな目で物事を見てみたらいいかもしれない。」父の翔太が朝刊を畳みながら笑った。「仕事でも、同僚とちゃんと協力することを意識してみるよ。」
結衣がテーブルを片付けながら「じゃあ、私もカフェでお客さんに特別な笑顔を届ける日ってことで!」と冗談めかして言った。
愛も重い鞄を肩にかけながら「よし、テスト頑張ってくるか…団結の力で!」とつぶやくと、皆が笑った。
その日の夜、山本家の居間では、家族が一緒に「世界の国々を巡るクイズ大会」を開いた。勝が手作りした問題は、国旗や国名だけでなく、国連に関連するものも多かった。
「おっ、海斗が3連続正解だ!」翔太が驚きの声を上げる。 「やったー!おじいちゃん、もっと出して!」海斗がはしゃいだ。
一方で、愛は地味にメモを取りながら「これ、受験に役立つかも…」とつぶやいていた。