12月17日(火):飛行機の日
飛行機の日。ライト兄弟が世界で初めて空を飛んだ日だと、山本家の朝食中におじいちゃん、勝が教えてくれた。
「ライト兄弟って知ってるか、海斗?」
「うーん、飛行機を作った人?」
「そうだ!今日はその記念日なんだぞ。」勝が微笑む。
そのやりとりに結衣がクスクスと笑いながら、温かいスープをよそう。
「でも、私も詳しく知らないかも。どんな人たちだったの?」
勝は一瞬考えてから、まるでおとぎ話を語るようにゆっくりと話し始めた。
「兄弟で夢を追いかけたんだ。大空を飛ぶことをね。失敗もたくさんしたが、諦めずに挑戦し続けた。そして、1903年の今日、ついにその夢が叶ったんだよ。」
その言葉に海斗の目が輝いた。
「すごい!僕も大空を飛んでみたいな!」
翔太が新聞をたたみながら言った。
「いいじゃないか。夢を持つのは大事だぞ。」
「じゃあ、パパも昔、空を飛びたかった?」海斗が無邪気に尋ねると、翔太は少し考える仕草をしてから答えた。
「そうだな…俺はどちらかと言えば地に足をつけた夢だったかな。けど、お前の夢はどんどん飛ばせ。」
愛が少し照れくさそうに口を開く。
「でも夢って、現実を見るのも大事だよね。絵を描いてても、やっぱりプロになるのって簡単じゃないし。」
勝が優しく頷きながら、孫たちに目を向けた。
「夢ってのは、追いかける過程が大切なんだ。飛べるか飛べないかじゃない。ライト兄弟も、失敗から学んで、それを積み重ねていった。愛、お前もそうだろ?」
愛は少し驚いたような顔をして、静かにうなずいた。
「…そうかも。」
結衣が話をまとめるように微笑みながら言った。
「じゃあ今日は家族みんなで、自分の夢について話してみるのもいいかもね。」
その日の夕方、山本家のリビングでは、家族それぞれの夢が語られた。
翔太は「もっと時間をうまく使える人になりたい」と真面目に話し、結衣は「将来、カフェをもっと多くの人が訪れる場所にしたい」と目を輝かせた。
愛は「いつか自分のデザインで人を喜ばせたい」としっかりした声で伝え、海斗は「大空を飛び回る冒険家になりたい!」と元気よく叫んだ。
そして、勝が締めくくるように言った。
「夢を追いかける限り、毎日が特別な記念日になる。ライト兄弟のようにな!」