1月29日(水):昭和基地開設記念日
リビングに集まる山本家。今日は1月29日、「昭和基地開設記念日」だと勝が言い出したことで、家族の話題が南極に向かっていく。
「今日は何の日だか知ってるか?」
勝が新聞をたたみながら、孫たちに問いかけた。
「えーと、昭和基地開設記念日だっけ?」
愛がスマホを見ながら答える。曖
「その通り!」勝がにっこりと頷いた。「1957年、日本の観測隊が南極に上陸して昭和基地を作ったんだ。タロとジロもそこにいたんだぞ。」
「おじいちゃん、南極ってどれくらい寒いの?」
愛が興味津々に身を乗り出す。
「夏でも氷点下だ。冬なんて、マイナス60度以下になることもあるらしい。」
「うわ、信じられない!そんなところで生活するなんて無理!」
愛が大げさに肩をすくめると、海斗が得意げに言った。
「僕なら平気かも!タロとジロみたいに強くなりたいから!」
「いやいや、南極はそんなに甘くないぞ、海斗。」
翔太が仕事帰りのスーツ姿のまま話に加わる。「南極観測隊の人たちがどれだけ準備して挑んだか、想像してみろ。装備も食糧もギリギリだったんだ。」
「お父さん、そんなこと知ってるの?」
愛がからかうように笑うと、翔太が苦笑いで応じた。
「さっきスマホで調べただけだけどな。でも、こういう話は面白いだろ?」
「確かに、南極の話って冒険小説みたい。」
愛は自分の手帳に何かを書き込んでいる。きっと次のデザインのヒントにするのだろう。
「冒険といえば、今日は特別な話をしてやろう。」
勝が目を細め、少し誇らしげに言った。
「またおじいちゃんの即興冒険譚?」
海斗が声を弾ませる。
「そうとも。南極の昭和基地を舞台にした物語だ。」
夜、リビングの照明が少し暗くなり、みんながソファに集まる。勝の語りが始まった。
「昔々、南極の昭和基地には、とある探検家と犬のリーダーがいた。その犬の名前はコウタ。そしてコウタには特別な使命があった…」
物語は、雪と氷に覆われた大地で起こる冒険譚。コウタという犬が、迷子になった仲間を救い出すため、嵐の中を駆け回る話だ。
「そしてコウタは、最後に見つけた仲間を引き連れて基地に戻るんだ。探検家たちは彼を英雄として迎えた。」
勝が語り終えると、海斗が目を輝かせた。
「僕もコウタみたいな犬を飼いたいな!」
「おじいちゃん、また南極の話してね。」
その夜、愛は机に向かいスケッチを描いた。南極の白い大地と、その上を駆ける犬の絵。
海斗は、勝が読み聞かせてくれた南極の本を手に取り、夢中でページをめくっている。
「昭和基地って、すごいなぁ…」




