1月3日(金):戊辰戦争開戦の日
「ねえ、おじいちゃん、今日は何の日か知ってる?」と、海斗が歴史の教科書を片手に聞いた。
「うーん、1月3日か。なんだろうなあ、もしかしてお年玉をもらえる日?」勝が目を細めながら冗談を言うと、海斗は大きく首を振った。
「違うよ!今日は戊辰戦争が始まった日だって!」と得意げに答える。
「戊辰戦争か。鳥羽・伏見の戦いがあった日だな」と勝が即座に答えると、海斗の目が輝いた。「おじいちゃん、さすがだね!でも、どうして戦争が始まったの?」
勝は一呼吸置いて、孫の顔をじっと見つめた。「それはな、大きな時代の転換点だったからだよ。幕府と新しい時代を目指す勢力がぶつかり合ったんだ。」
「えーっと、どっちが勝ったんだっけ?」と、リビングのソファに寝転がっていた愛が顔を上げる。「新政府の方だよね?」
「その通りだ、愛。薩摩や長州が力を合わせて、幕府を倒そうとしたんだ。」勝が頷く。「ただ、歴史の話は一方から見るだけじゃなく、いろんな視点で考えることが大事だ。負けた側にも理由があったからね。」
結衣が台所から顔を出して、「お父さんの話、相変わらずわかりやすいわね。でも、ちょっと待って、みんな。お雑煮ができたから、そろそろ食べましょう」と言うと、子どもたちは「わーい!」と声を上げてこたつから飛び出した。
食卓に並ぶお雑煮を囲みながら、話題は自然と続いた。
「でもさ、幕府軍って、装備が古かったんでしょ?」海斗が大根をつつきながら聞く。
「うん、確かにそうだ。西洋式の武器や戦術を持つ新政府軍に比べると、不利だったんだな。でも、戦いは武器だけじゃない。人の心のあり方が勝敗を決めることもあるんだよ。」勝の話を聞きながら、愛はスマホを手に取り、検索を始めた。
「でも、今だったらこんな戦争なんて絶対ダメだよね。」愛がつぶやくと、結衣がうなずいた。「その通りよ。過去を知るのは大事だけど、それを繰り返さないことがもっと大事ね。」
翔太が新聞をたたみながら、「確かに。でもさ、戦争の話だけじゃなくて、何か楽しい話題にしようよ。たとえば、今年の目標とか!」と提案する。
「じゃあ、私から!」愛が手を挙げた。「私は、今年はもっとイラストを描いて、将来のためにポートフォリオを作る!」
「いい目標だね。お姉ちゃん、頑張って!」と海斗が拍手すると、勝がにっこり笑った。「それじゃあ、海斗はどうだ?」
「僕は、昆虫の図鑑を作る!それで、夏休みにたくさん昆虫を捕まえてもっと調べたい!」
「それ、また家に虫が増えるやつでしょ?」愛が苦笑いすると、翔太が横から「家の中じゃなくて庭でな!」と釘を刺した。
最後に、澄江が静かに言った。「みんなそれぞれ目標があっていいわね。私は刺繍の新しいデザインに挑戦しようかな。春にぴったりの桜の模様を作りたいの。」
「いいね、おばあちゃん!お花見に使えるクロスなんて最高だよ。」と、結衣が嬉しそうに言う。
「よし、みんながんばろう!しっかりスタートを切ろう!」翔太の声に、家族全員がうなずいた。