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6月14日(土):認知症予防の日

土曜日の午前。曇り空の下、山本家のリビングには、湯気の立つコーヒーと、何やらたくさんのメモ用紙が広げられていた。


「今日は“認知症予防の日”なんだってね」と結衣が新聞をめくりながら言うと、勝がゆっくりとうなずいた。


「6月14日。“む(6)い(1)よ(4)い”の語呂合わせで、“無為にせず、良い脳を保とう”という意味が込められているらしい。…実に興味深い。」


「へえ〜、語呂合わせにしては、意味が深いね」と愛。


すると、勝は小さく咳払いをして、皆を見渡した。


「というわけで、今日はわしから“脳トレクイズ大会”を開こうと思う!」


「待ってました〜!おじいちゃんのクイズ、めっちゃおもしろいから大好き!」と海斗が拍手する。


「賞品はあるの?」と翔太が冗談交じりに聞くと、勝はにやりと笑って「優勝者には、“おじいちゃんの特製の冒険物語、登場権”をプレゼントしようかの」と言った。


「やったぁぁぁ!」と海斗は両手を挙げて大喜び。


リビングのテーブルには、家族6人がぐるりと集まり、勝が手作りのカードを1枚ずつめくっていく。


第1問:「1円玉を全部足して、10枚で10円にならない組み合わせは?」**


「そんなのあるの…?」と翔太が頭をかかえる。


「ヒント、あるよね?……あ、あれだ!5円玉とか混ざってるとか!」と愛が気づき、正解!


第3問:「トマトは野菜?果物?」**


「これは、家庭科でやった!」と海斗が即答。「植物学的には果物だけど、食文化的には野菜なんだって!」


「おぉ〜、成長してるな」と翔太が感心。


第5問:なぞなぞ「朝には四本足、昼には二本足、夜には三本足。これは何?」**


「これ、聞いたことある!人間だ!」と愛が正解。翔太は唸り声をあげる。「うーん、やっぱり昔のなぞなぞ、奥が深い…」


クイズは全部で10問。勝の出題に、海斗が途中から「対抗してクイズ出していい?」と自作問題を出し始めたり、澄江が「もうちょっと簡単な問題ないかしら」と苦笑したりしながら、終始にぎやかだった。


最終的な優勝は…なんと、同点で愛と海斗。


「じゃあ、2人とも次の物語に登場させてやるか。姉弟の冒険譚にしよう」と勝がにっこり。


「やったー!僕、空飛ぶカメに乗りたい!」「私は迷路を抜ける天才キャラで!」


そんな未来の物語を想像して、リビングには笑いが溢れた。


夕暮れ、クイズカードを片付けながら、翔太がふと勝に言った。


「父さん、ほんとに頭キレッキレだな。俺、途中でついていけなかったよ。」


「まだまだ現役だからな。わしの脳は、家族との会話で一番動いておる」


「かっこいい〜!」と海斗が抱きつく。


「じゃあ明日もクイズ出して!」「いいとも、そのかわり、お前たちもわしの“若さの秘訣”になってくれよ」

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