6月8日(日):バイキングの日
日曜日の午前中、山本家のキッチンでは、冷蔵庫の扉が何度も開け閉めされていた。
「今日は“バイキングの日”らしいからさ、うちでもやってみようよ!」と提案したのは海斗。
「バイキング?ホテルとかにあるあれ?」と翔太が聞くと、結衣が笑いながら頷いた。
「そうよ。1958年に帝国ホテルが日本で初めて取り入れたスタイルなの。今日は“食べ放題”というより、“少しずつ、色々楽しむ”をやってみようかって。」
「冷蔵庫整理にもなるしね」と、愛がスマホでレイアウト案を描きながら張り切っていた。
勝と澄江も加わって、「冷奴」「ひじき煮」「卵焼き」「ポテトサラダ」「きゅうりの浅漬け」など、少しずつ残っていたおかずを小鉢に分け、テーブルにずらりと並べた。
結衣は冷ごはんで小さなおにぎりを用意し、翔太は冷凍庫のウインナーを炒めてアツアツを追加。
海斗は紙で手作りの「山本家バイキング」看板を作って、リビングの入り口に貼り付けた。
「それでは、本日の営業を開始します〜!1人ずつトレーを持って並んでください!」
「お、ちゃんと列を守らないといけないのか。厳しいなぁ」と翔太が冗談を言いながら一番後ろに並ぶ。
「私はこういうの、大好きよ」と澄江は嬉しそうに小鉢を選び、愛はカメラで「彩りプレート」の写真をパシャリ。
「これ、SNS映えするな〜」とにやりと笑う。
「ねぇ、思ったより豪華じゃない?残り物とは思えない」と結衣も驚く。
海斗はお皿に少しずつよそって「全部ちょっとずつ食べられるって、すごい幸せ〜!」とニコニコ。
勝も「まるで旅館の朝ごはんみたいだな」と箸を運びながら満足そうに言った。
食後には、結衣が「お口直しに」とヨーグルトにジャムを添えて登場。
翔太が「これ、次の休日もやる?」とぽつりと聞くと、全員が一斉に「賛成!」と手を挙げた。
「“うちごはん”が楽しいって、贅沢だね」と愛がつぶやくと、結衣が微笑んで答える。
「どんな食事も、みんなで笑って食べるのが一番のごちそうよ。」