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6月5日(木):環境の日

夕方、山本家の庭からにぎやかな声が響いていた。今日は「環境の日」。国連が制定したこの日は、自然や地球の未来に目を向ける日だ。


「おお、こっちのミニトマト、また育ってきたな」と翔太がつなぎ姿で雑草を抜きながら感心する。


「この葉っぱ、これなんて名前だろう…雑草だけど、なんか可愛いかも」と、愛はスマホで調べながらスケッチ帳に描いていた。


「雑草の絵なんて…ほんと、変わってるなあ」と海斗が笑う。


「でもね、そういう雑草だって、地球の一部なんだよ。みんな役割があるの」と、結衣が穏やかに語る。


「ビニール袋のゴミとかも、昔はなかったから、環境に悪いって意識もなかったのよ」と、澄江が小さな鎌を手に語り始めた。


「え、ビニールなかったの?」海斗が目を丸くする。


「ええ、買い物には新聞紙や布の袋を使ってたのよ。豆腐を買いに行くときは、小さな鍋を持って行ってね。ラップもなかったから、お皿にふたをしてたの。」


「なんか、今の“エコ”って、昔の“あたりまえ”だったんだね」と愛がつぶやく。


勝も手を止めて、空を見上げた。


「昔はね、自然と共に生きるというより、自然の一部だったんだ。今は、自然を“守る”という言葉になってしまった。でも、それも必要な時代なんだろうな。」


翔太がうなずく。


「便利になった分、気をつけなきゃいけないことも増えたよな。俺も最近、職場で“脱プラ”の取り組み始まったよ。」


「それなら僕もやる!学校にもマイ箸持って行こうかな!」と、海斗が両手を挙げる。


「そうね。今日の晩ごはんは、なるべくゴミを出さないメニューにしようか」と結衣が提案。


「ふふ、じゃあ庭の野菜を使って、“地産地消ごはん”にしましょう」と澄江がにっこり微笑んだ。


その夜の食卓には、庭で採れた春菊の天ぷら、ミニトマトのマリネ、自家製味噌の味噌汁が並び、紙ナプキンの代わりに布のランチョンマットが敷かれていた。


「こういうの、気持ちいいね」と愛がふとつぶやく。


「うん。なんか、地球にやさしくしてるって感じ」と海斗も笑う。


「“環境の日”って、特別なことをする日じゃなくて、“ちょっと気づく”だけでいいのかもな」

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